数学A|意外と苦手な人が多い整数に関する入試問題を解いてみよう

03/01/2020数学A合同式,整数の性質,入試問題

入試問題にチャレンジ

問題(3)の解答・解説

問題(3)

$a \ , \ b \ , \ c$ はどの2つも $1$ 以外の共通な約数をもたない正の整数とする。
$a \ , \ b \ , \ c$ は $a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}}=c^{\scriptsize{2}}$ を満たしている。
(3) $a \ , \ b$ の1つは $4$ の倍数であることを示せ。

問題(3)では、4の倍数を考えるので、4で割った余りで分類したいところです。

しかし、問題(1)の結果を参考にすると、どうも上手くいかないようです。確認のため4で割った余りで考えてみます。

4で割った余りで考える

任意の自然数 $n$ を $4$ で割った余りを考えると
\begin{equation*} \quad n \equiv 0 \ , \ 1 \ , \ 2 \ , \ 3 \pmod 4 \end{equation*}
のいずれかが成り立つ。
このとき、$n^{\scriptsize{2}}$ を $4$ で割った余りは表のようになる。
\begin{array}{c|c|c|c|c} n & 0 & 1 & 2 & 3 \\ \hline n^{\scriptsize{2}} & 0 & 1 & 0 & 1 \end{array}
$a \ , \ b$ が $4$ の倍数でないとすると、表から
\begin{align*} &\quad a^{\scriptsize{2}} \equiv 0 \ \text{または} \ 1 \pmod 4 \\[ 10pt ] &\quad b^{\scriptsize{2}} \equiv 0 \ \text{または} \ 1 \pmod 4 \end{align*}
であるので
\begin{equation*} \quad a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} \equiv 0+0=0 \pmod 4 \end{equation*}
または
\begin{equation*} \quad a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} \equiv 0+1=1 \pmod 4 \end{equation*}
または
\begin{equation*} \quad a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} \equiv 1+1=2 \pmod 4 \end{equation*}
これと①から
\begin{equation*} \quad c^{\scriptsize{2}} \equiv 0 \ , \ 1 \ , \ 2 \pmod 4 \quad \cdots \text{②} \end{equation*}
ここで、(1)より $c$ は奇数であるので
\begin{equation*} \quad c \equiv 1 \ , \ 3 \pmod 4 \end{equation*}
よって
\begin{equation*} \quad c^{\scriptsize{2}} \equiv 1 \pmod 4 \quad \cdots \text{③} \end{equation*}
②と③は
\begin{equation*} \quad c^{\scriptsize{2}} \equiv 1 \pmod 4 \end{equation*}
のときにともに成り立つので矛盾しない。
よって、矛盾を引き出せない。

a,bが4の倍数でないという条件から得られた②式と、cが奇数であるという条件から得られた③式では、4で割った余りが1となる結果では矛盾しません。ですから、4で割った余りでは上手く矛盾を引き出せません。

4が駄目だったので、8で割った余りで分類します。

問題(3)の解答例

(1)と同様に、任意の自然数を $n$ とする。
$n$ を $8$ で割った余りを考えると
\begin{equation*} \quad n \equiv 0 \ , \ \pm 1 \ , \ \pm 2 \ , \ \pm 3 \ , \ 4 \pmod 8 \end{equation*}
のいずれかが成り立つ。
このとき、$n^{\scriptsize{2}}$ を $8$ で割った余りは表のようになる。
\begin{array}{c|c|c|c|c|c} n & 0 & \pm 1 & \pm 2 & \pm 3 & 4 \\ \hline n^{\scriptsize{2}} & 0 & 1 & 4 & 1 & 0 \end{array}
ここで、$a \ , \ b$ が $4$ の倍数でないとすると、表から
\begin{align*} &\quad a^{\scriptsize{2}} \equiv 1 \ \text{または} \ 4 \pmod 8 \\[ 10pt ] &\quad b^{\scriptsize{2}} \equiv 1 \ \text{または} \ 4 \pmod 8 \end{align*}
であるので
\begin{equation*} \quad a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} \equiv 1+1=2 \pmod 8 \end{equation*}
または
\begin{equation*} \quad a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} \equiv 1+4=5 \pmod 8 \end{equation*}
または
\begin{equation*} \quad a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} \equiv 4+4=8 \equiv 0 \pmod 8 \end{equation*}
これと①から
\begin{equation*} \quad c^{\scriptsize{2}} \equiv 0 \ , \ 2 \ , \ 5 \pmod 8 \quad \cdots \text{②} \end{equation*}
ここで、(1)より $c$ は奇数であるので
\begin{equation*} \quad c \equiv \pm 1 \ , \ \pm 3 \pmod 8 \end{equation*}
よって
\begin{equation*} \quad c^{\scriptsize{2}} \equiv 1 \pmod 8 \quad \cdots \text{③} \end{equation*}
②と③は矛盾するので、$a \ , \ b$ の1つは $4$ の倍数である。
(ただし、$a \ , \ b$ がともに $4$ の倍数となると、$( \ast )$ と矛盾する。)

平方前の数が4の倍数である場合、平方数は 16 の倍数となります。ただ、16 で割った余りで分類するとなると、かなり細かく分類されることになります。そこでもう少し分類が楽になるように、8で割った余りで分類します。

8で割った余りで上手く証明できたことを考えると、「2の倍数」や「4の倍数」と言われても、2や4で割った余りで分類する必要はないということです。

どうしても矛盾を引き出せない場合、たとえば2の倍数で4、4の倍数で8などのように、数字を大きくして少しだけ細かく分類しましょう。

大切なことは「矛盾を引き出せる分類ができるか」です。

ピタゴラス数

問題に出てきた式を満たす自然数の組のことをピタゴラス数と言います。特に、3つの自然数の最大公約数が1のものを原始ピタゴラス数と言います。

ピタゴラス数

\begin{equation*} \quad a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}}=c^{\scriptsize{2}} \end{equation*}
を満たす自然数 $a \ , \ b \ , \ c$ の組をピタゴラス数と言う。
特に、どの2つも $1$ 以外の共通な約数をもたない自然数の場合、原始ピタゴラス数と言う。
たとえば
\begin{equation*} \left( a \ , \ b \ , \ c \right)=\left( 3 \ , \ 4 \ , \ 5 \right) \ , \ \left( 5 \ , \ 12 \ , \ 13 \right) \end{equation*}
は原始ピタゴラス数である。

合同式のまとめ

覚えておきたい合同式の定義とその性質は、以下の通りです。

合同式のまとめ

  1. 合同式
    • $a-b$ が $m$ の倍数であるとき、$a \ , \ b$ は $m$ を法として合同であるといい、$a \equiv b \pmod m$ と式で表す。このような式を合同式という。
  2. 合同式の性質①
    • 反射律 $a \equiv a \pmod m$
    • 対称律 $a \equiv b \pmod m$ のとき、$b \equiv a \pmod m$
    • 推移律 $a \equiv b \pmod m \ , \ b \equiv c \pmod m$ のとき、$a \equiv c \pmod m$ または $a\equiv b \equiv c \pmod m$
  3. 合同式の性質② $a \equiv b \pmod m \ , \ c \equiv d \pmod m$ のとき、次のことが成り立つ。
    • $a+c \equiv b+d \pmod m$
    • $a-c \equiv b-d \pmod m$
    • $ac \equiv bd \pmod m$
    • 自然数(0以上の整数も可) $n$ に対し $a^n \equiv b^n \pmod m$

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整数の合同を最初に研究したのはガウスだそうです。研究内容は、1801年に出版されたガウスの『Disquisitiones Arithmeticae (整数論)』に収録されています。

整数の合同だけでなく、奥の深い整数。興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか。

これで整数問題は怖いものなしです。

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