02/10/2020
静電気
クーロンの法則
q1〔C〕とq2〔C〕の点電荷(大きさの無視できる電荷)がr〔m〕離れて存在するとき、この2つの点電荷が及ぼしあう力の大きさF〔N〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad F =k \frac{q_{1} q_{2}}{r^{\scriptsize{2}}}
\end{equation*}
ただし、kは比例定数
電位
無限遠点を電位0Vの基準点とすると、q〔C〕の点電荷からr〔m〕離れた点の電位V〔V〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad V =k \frac{q}{r}
\end{equation*}
ただし、kはクーロンの法則の比例定数
電場
電荷が電場から受ける力
$\overrightarrow{ E }$〔N/C〕の電場の中でq〔C〕の点電荷が受ける力 $\overrightarrow{ F }$〔N〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad \overrightarrow{ F } =q \overrightarrow{ E }
\end{equation*}
点電荷による電場
q〔C〕の点電荷からr〔m〕離れた点の電場の強さE〔N/C〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad E =k \frac{q}{r^{\scriptsize{2}}}
\end{equation*}
ただし、kはクーロンの法則の比例定数
一様な電場
一様な電場中で、電位差V〔V〕の2点が電場に沿ってd〔m〕離れているとき、この電場の強さE〔V/m〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad E =\frac{V}{d}
\end{equation*}
ただし、〔V/m〕と〔N/C〕は同じ単位を表す。
電気力のする仕事
電位差V〔V〕の2点間をq〔C〕の点電荷を動かすために、電気力がこの電荷に対してする仕事W〔J〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad W=qV
\end{equation*}
電気容量
平行平板コンデンサーの電気容量
面積S〔m2〕の極板を間隔d〔m〕離して平行に置いたコンデンサーの電気容量C〔F〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad C=\varepsilon \frac{S}{d}
\end{equation*}
ただし、εは極板間にはさまれた物質の誘電率
誘電率
誘電率εとクーロンの法則の比例定数kとの間には、次の関係がある。
\begin{equation*}
\quad \varepsilon =\frac{1}{4 \pi k}
\end{equation*}
比誘電率
物質の誘電率εと真空の誘電率ε0との比を比誘電率εrという。
\begin{equation*}
\quad \varepsilon_{r} =\frac{\varepsilon}{\varepsilon_{0}}
\end{equation*}
極板間が真空のときの電気容量がC0〔F〕である平行平板コンデンサーの、極板間を比誘電率εrの物質で満たすと、電気容量C〔F〕は、以下の式で表される。
\begin{equation*}
\quad C=\varepsilon_{r} C_{0}
\end{equation*}
コンデンサーに蓄えられる電荷
電気容量C〔F〕のコンデンサーにV〔V〕の電位差をかけたとき、コンデンサーに蓄えられる電荷(電気量)Q〔C〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad Q=CV
\end{equation*}
コンデンサーの合成容量
並列接続
電気容量C1〔F〕, C2〔F〕, …, Cn〔F〕のコンデンサーを並列に接続したときの合成容量C〔F〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad C=C_{1} +C_{2} + \cdots +C_{n}
\end{equation*}
直列接続
電気容量C1〔F〕, C2〔F〕, …, Cn〔F〕のコンデンサーを直列に接続したときの合成容量C〔F〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad \frac{1}{C}=\frac{1}{C_{1}} +\frac{1}{C_{2}} + \cdots +\frac{1}{C_{n}}
\end{equation*}
コンデンサーに蓄えられるエネルギー(静電エネルギー)
電気容量C〔F〕のコンデンサーにV〔V〕の電位差をかけたとき、コンデンサーに蓄えられる静電エネルギーU〔J〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad U=\frac{1}{2} CV^{\scriptsize{2}}
\end{equation*}
直流回路
電流
電流の大きさは、導体の断面を単位時間に通過する電荷の量で表す。ある断面を時間Δt〔s〕の間にΔQ〔C〕の電荷が通過したときの電流I〔A〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad I=\frac{\varDelta Q}{\varDelta t}
\end{equation*}
オームの法則
導体を流れる電流は電圧に比例する。これをオームの法則という。R〔Ω〕の抵抗にI〔A〕の電流が流れるとき、抵抗の両端にかかる電圧V〔V〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad V=RI
\end{equation*}
抵抗と抵抗率
抵抗率
導体の抵抗R〔Ω〕は、長さℓ〔m〕に比例し、断面積S〔m2〕に反比例する。比例定数ρ〔Ω・m〕を抵抗率という。
\begin{equation*}
\quad R=\rho \frac{l}{S}
\end{equation*}
抵抗の温度変化
一般に金属の抵抗率は温度が上がると増加する。0℃における抵抗率をρ0とすると、t〔℃〕における抵抗率ρは、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad \rho=\rho_{0} \bigl( 1+\alpha t \bigr)
\end{equation*}
ただし、αは抵抗率の温度係数
電流による発熱
R〔Ω〕の抵抗にV〔V〕の電圧をかけ、I〔A〕の電流を流したとき、抵抗が時間t〔s〕の間に発生する熱量Q〔J〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad Q=IVt=I^{\scriptsize{2}} Rt=\frac{V^{\scriptsize{2}}}{R} t
\end{equation*}
また、抵抗が単位時間に発生する熱量P〔W〕を電力という。
\begin{equation*}
\quad P=IV=I^{\scriptsize{2}} R=\frac{V^{\scriptsize{2}}}{R}
\end{equation*}
合成抵抗
直列接続
抵抗R1〔Ω〕, R2〔Ω〕, R3〔Ω〕, …, Rn〔Ω〕を直列につないだときの合成抵抗R〔Ω〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad R=R_{1} +R_{2} +R_{3} + \cdots +R_{n}
\end{equation*}
並列接続
抵抗R1〔Ω〕, R2〔Ω〕, R3〔Ω〕, …, Rn〔Ω〕を並列につないだときの合成抵抗R〔Ω〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad \frac{1}{R}=\frac{1}{R_{1}} +\frac{1}{R_{2}} +\frac{1}{R_{3}} + \cdots +\frac{1}{R_{n}}
\end{equation*}
電気と磁気
電流がつくる磁場
直流電流がつくる磁場
無限に長い直線状の導線にI〔A〕の電流を流したとき、導線からr〔m〕離れた点に生じる磁場の強さH〔A/m〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad H=\frac{I}{2 \pi r}
\end{equation*}
円形電流の中心の磁場
半径r〔m〕の円形の導線にI〔A〕の電流を流したとき、中心にできる磁場の強さH〔A/m〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad H=\frac{I}{2r}
\end{equation*}
ソレノイド内部の磁場
導線を1mあたりn回密に巻いて作ったソレノイドにI〔A〕の電流を流したとき、ソレノイド内にできる磁場の強さH〔A/m〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad H=n I
\end{equation*}
磁束密度
透磁率μの物質中にH〔A/m〕の磁場が生じたときの磁束密度B〔T〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad B=\mu H
\end{equation*}
電流が磁場から受ける力
導線の受ける力
磁束密度B〔T〕の磁場中に、磁場と角θをなす方向に置いた長さℓ〔m〕の導線にI〔A〕の電流を流したとき、導線が受ける力F〔N〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad F=IBl \sin {\theta}
\end{equation*}
力の向きは、フレミングの左手の法則によって決める。
フレミングの左手の法則
電流が磁場から受ける力の向きを知りたいときの手順は以下の通り。
- 左手の親指、人差し指、中指を互いに垂直に開いておく(L字型になるように開く)。
- 中指を電流I、人差し指を磁場Bの向きに合わせて向ける。
- 親指の向いた向きが、電流が磁場から受ける力の向きを示す。
ローレンツ力
q〔C〕の電荷をもつ粒子が、磁束密度B〔T〕の磁場中を、磁場と垂直にv〔m/s〕の速さで運動するとき、粒子が受けるローレンツ力の大きさF〔N〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad F=qvB
\end{equation*}
ローレンツ力の向きは、正の荷電粒子の運動方向を電流の向きとみなして、フレミングの左手の法則に当てはめて決めればよい。
電磁誘導と交流
電磁誘導の法則
磁束密度B〔T〕の磁場中に断面積S〔m2〕のコイルを、コイル面を磁場に垂直に置いたとき、コイルを貫く磁束Φ〔Wb〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad \varPhi=BS
\end{equation*}
また、コイルを貫く磁束が変化すると、コイルに誘導起電力が生じる。N回巻きのコイルを貫く磁束が、短い時間Δt〔s〕の間にΔΦ〔Wb〕だけ変化すると、そのときの誘導起電力V〔V〕は、次のように表される。
\begin{equation*}
\quad V=-N \frac{\varDelta \varPhi}{\varDelta t}
\end{equation*}
磁場中を運動する導線の誘導起電力
磁束密度B〔T〕の磁場中を、磁場に垂直に、長さℓ〔m〕の導線がv〔m/s〕の速さで運動するとき、導線の両端に生じる誘導起電力の大きさV〔V〕は、次のように表される。
\begin{equation*}
\quad V=\upsilon Bl
\end{equation*}
自己誘導と相互誘導
自己誘導起電力
コイルを流れる電流が変化すると、そのコイル自身に誘導起電力を生じる。コイルを流れる電流が短い時間Δt〔s〕にΔI〔A〕だけ変化したときの自己誘導起電力V〔V〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad V=-L \frac{\varDelta I}{\varDelta t}
\end{equation*}
ただし、Lは自己インダクタンスと呼ばれ、それぞれのコイルに特有の比例定数で、その単位はヘンリー〔H〕
相互誘導起電力
2つのコイルを接近させ、1次コイルに生じた磁束が2次コイルをも貫くようにすると、1次コイルの電流の変化によって2次コイルに誘導起電力を生じる。1次コイルの電流が短い時間Δt〔s〕にΔI1〔A〕だけ変化したとき、2次コイルに生じる相互誘導起電力V2〔V〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad V_{2}=-M \frac{\varDelta I_{1}}{\varDelta t}
\end{equation*}
ただし、Mは相互インダクタンスと呼ばれ、2つのコイルの組み合わせ方などによって決まる比例定数で、その単位はヘンリー〔H〕
コイルの磁気エネルギー
自己インダクタンスL〔H〕のコイルにI〔A〕の電流が流れているとき、コイルは、次の式で表される磁気エネルギーを蓄えている。
\begin{equation*}
\quad E=\frac{1}{2} LI^{\scriptsize{2}}
\end{equation*}
交流
交流電圧
交流電圧V〔V〕は、最大値をV0〔V〕、発電機の回転角速度をω〔rad/s〕とすると、時間t〔s〕に対して次の式で示される変化をする。
\begin{equation*}
\quad V=V_{0} \sin {\omega t}
\end{equation*}
交流電流
上の式で表される交流電圧が抵抗に加わったときに流れる交流電流I〔A〕は、最大値をI0〔A〕とすると、時間t〔s〕に対して次の式で示される変化をする。
\begin{equation*}
\quad I=I_{0} \sin {\omega t}
\end{equation*}
実効値
交流電圧および交流電流の実効値は、それぞれの最大値V0, I0の $\frac{1}{\sqrt{2}}$ である。
交流回路
コイルのリアクタンス
自己インダクタンスL〔H〕のコイルに各周波数ω〔rad/s〕の交流電流I〔A〕が流れるとき、コイルの両端の電圧V〔V〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad V=\omega LI
\end{equation*}
ただし、電流の位相は電圧の位相より $\frac{\pi}{2}$ だけ遅れている。
コンデンサーのリアクタンス
電気容量C〔F〕のコンデンサーに角周波数ω〔rad/s〕の交流電流I〔A〕が流れるとき、コンデンサーに加わる電圧V〔V〕は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad V=\frac{1}{\omega C}
\end{equation*}
ただし、電流の位相は電圧の位相より $\frac{\pi}{2}$ だけ進んでいる。
電気振動
自己インダクタンスL〔H〕のコイルと電気容量C〔F〕のコンデンサーからなる電気振動回路の固有周波数f〔Hz〕は、次のように表される。
\begin{equation*}
\quad f=\frac{1}{2 \pi \sqrt{LC}}
\end{equation*}
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