図形と計量|三角比の拡張について

05/20/2017数学1三角比,三角比の拡張,座標系,図形と計量

三角比の拡張について

実際に鈍角三角形で三角比を求めてみよう

鈍角、たとえば $\theta = 120^{\circ}$ のときの三角比を求めてみましょう。

120度の角を座標平面で作図しよう

座標平面で作図しよう

先ほど設定した座標平面で $120^{\circ}$ の角を作図します。必ず作図できるようになっておきましょう。

原点Oを中心とする半径2の半円を描きます。そして、角θの大きさが $120^{\circ}$ となるように、点Pと動径OPを円周上に描きます。

点Pから $x$ 軸に垂線を下ろして直角三角形を作ります。$120^{\circ}$ の外角の大きさは $60^{\circ}$ であるので、$60^{\circ}$ の三角比を利用します。

$60^{\circ}$ の三角比を利用するために、半径を斜辺の長さや比に相当する値にしておく。半径が2であれば、$1:2:\sqrt{3}$ の比を利用できる。

$60^{\circ}$ の直角三角形を利用すると、点Pの座標は $(-1 \ , \ \sqrt{3})$ となります。準備ができたので、三角比を求めます。

三角比は長さで求めない

$120^{\circ}$ の三角比を求めるときに注意したいのは、長さではなく、点Pの座標 $(-1 \ , \ \sqrt{3})$ を使うことです。点Pの座標を使わないと、三角比がみな等しくなってしまいます。

先ほどの半径と座標で表される三角比の式を用いて、三角比を求めます。

半径 $r$、点P $(x \ , \ y)$ のとき
\begin{align*}
\sin \theta &= \frac{y}{r} \\[ 10pt ]
\cos \theta &= \frac{x}{r} \\[ 10pt ]
\tan \theta &= \frac{y}{x}
\end{align*}

120度のときの三角比

三角比の拡張の式では分かり辛かったですが、具体的な角で考えてみると違いがよく分かります。

$120^{\circ}$ の三角比は、$60^{\circ}$ の三角比を利用しつつ、座標を使って三角比を求めました。ですから、正弦・余弦・正接は、その絶対値は等しいですが、正負の区別がついています。

余弦と正接では点Pの $x$ 座標が関わるので、正負が異なります。このように正弦・余弦・正接のうち、どれか1つでも異なれば、角の大きさも異なります。

角の大きさを区別するときは、正弦・余弦・正接を1セットで考えよう。どれか1つが異なれば、同じ三角形ではないということ。

また、$60^{\circ}$ のときでも、半径と座標を使っても三角比を求めることが可能だと分かります。今後はこの座標平面で三角比を考えるようにしましょう。

覚えておきたい鋭角と鈍角の関係と、その三角比

直角三角形において内角の組み合わせで3辺の比が分かるのは、$30^{ \circ } \ , \ 45^{ \circ } \ , \ 60^{\circ}$ のときでした。これらが三角比を扱うときの基本になります。これらの角と対応する鈍角をセットにして覚えましょう。

対応関係が分かるように一覧表にまとめてみました。このように一覧表を作ってみると、符号の違いが良く分って覚えやすくなります。

三角比の一覧表

ちなみに、$0^{ \circ } \ , \ 90^{ \circ } \ , \ 180^{\circ}$ のときですが、三角形としてどうなんだと思うかもしれません。しかし、拡張によって三角比の値を導出することができます。三角比の拡張と言うくらいなので、三角形という図形から徐々に離れていきます。

また、一通り作図してみると、覚えると言うよりも「半径を決めて作図し、座標に注意して三角比を求める」という作業ができさえすれば、無理やり暗記する必要がないことが分かると思います。

今後は作図の機会が増えるので、数字を覚えることに労力を使うよりも、実際に作業しながら三角比を覚えていく方が絶対に効率的です。

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さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう

  • 三角比の拡張では、直角三角形を利用して鈍角の三角比を求めること。
  • 三角比を求めるとき、座標平面で作図して求める。
  • 三角比を求めるとき、半径と座標を使うことで、鋭角の三角比を利用できる。
  • 半径と座標を使うことで、絶対値が等しくても、符号の違いがついた三角比を得られる。