図形と方程式|2直線の平行条件や垂直条件について

数学2

図形と方程式 直線

2直線の平行条件や垂直条件を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

次の $2$ 直線

\begin{align*} &\quad 2x+5y-3=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad 5x+ky-2=0 \quad \cdots \text{②} \end{align*}

が平行になるときと垂直になるときの定数 $k$ の値をそれぞれ求めよ。

問の解答・解説

直線②の方程式を変形しようとして、何気なく定数kで両辺を割ってしまうと減点対象になります定数kの値が0かどうか不明だからです。

0で割る割り算はできないので、文字で割る割り算をするときは注意しましょう。文字の値が0ではないと確実に分かるとき以外では割り算しないようにしましょう。

文字で割る割り算には注意しよう。

定数kの値について吟味しましょう。k=0のときを考えて矛盾を引き出します。

問の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad 2x+5y-3=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad 5x+ky-2=0 \quad \cdots \text{②} \end{align*}

$k=0$ のとき、直線②は

\begin{align*} \quad x=\frac{2}{5} \end{align*}

となる。これは直線①と平行でも垂直でもない。

よって

\begin{align*} \quad k \neq 0 \end{align*}

定数kが0でないことを示せたので、これ以降であれば直線②の式を変形しても問題ありません。

2直線が平行であるときの定数kの値を求めます。

問の解答例 2⃣

\begin{align*} \quad &2x+5y-3=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] \quad &5x+ky-2=0 \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \end{align*}

$2$ 直線①,②をそれぞれ変形すると

\begin{align*} &\quad y=-\frac{2}{5}x+\frac{3}{5} \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad y=-\frac{5}{k}x+\frac{2}{k} \quad \cdots \text{②} \end{align*}

$2$ 直線①,②が平行であるための条件は

\begin{align*} \quad -\frac{2}{5}=-\frac{5}{k} \end{align*}

これを解くと

\begin{align*} \quad k=\frac{25}{2} \end{align*}

2直線の傾きさえ分かれば良いので、解答例のように直線の方程式を変形せずに暗算で済ませても問題ないでしょう。

2直線の平行条件:2直線の傾きが一致する

次は、2直線が垂直であるときの定数kの値を求めます。

問の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] \quad &y=-\frac{2}{5}x+\frac{3}{5} \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] \quad &y=-\frac{5}{k}x+\frac{2}{k} \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \end{align*}

また、$2$ 直線①,②が垂直であるための条件は

\begin{align*} \quad \left(-\frac{2}{5} \right) \left(-\frac{5}{k} \right)=-1 \end{align*}

これを解くと

\begin{align*} \quad k=-2 \end{align*}

2直線の垂直条件:2直線の傾きの積=-1

問の別解例

上述の解答例では、傾きが分かるように方程式を変形しました。どちらかと言えば、中学数学での解法です。

しかし、高校数学では色々な直線を扱うので、これまでの解法では面倒になることが多くなります。たとえば、上述のような定数kの値の吟味(場合分け)です。

たいていの場合、この吟味を忘れて解いてしまいます。吟味を忘れてしまうと、当然、減点対象になります。kの値を求めることができても、内容が不十分だからです。

そういうこともあり、中学数学での解法で解くことはあまりお勧めしません。

それに対して、一般形から得られる平行条件や垂直条件を利用する場合、この吟味が必要ありません。直線の方程式を変形する必要もないので取り組みやすくなります。

まず、2直線が平行であるときのkの値を求めます。

問の別解例 1⃣

\begin{align*} &\quad 2x+5y-3=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad 5x+ky-2=0 \quad \cdots \text{②} \end{align*}

$2$ 直線①,②が平行であるための条件は

\begin{align*} \quad 2 \cdot k-5 \cdot 5=0 \end{align*}

これを解くと

\begin{align*} \quad k=\frac{25}{2} \end{align*}

2直線の方程式を一般形のまま上下に並べておきます。平行条件のときは「係数をたすき掛けに掛けてから引く」です。

2直線の平行条件:2直線の傾きが一致する

次は、2直線が垂直であるときのkの値を求めます。

問の別解例 2⃣

\begin{align*} \quad &2x+5y-3=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] \quad &5x+ky-2=0 \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \end{align*}

また、$2$ 直線①,②が垂直であるための条件は

\begin{align*} \quad 2 \cdot 5+5 \cdot k=0 \end{align*}

これを解くと

\begin{align*} \quad k=-2 \end{align*}

2直線の方程式を一般形のまま上下に並べておきます。垂直条件のときは「係数を上下に掛けてから足す」です。

別解例の方がかなり簡単に解くことができることが分かります。直線の方程式は一般形で与えられることが多いので、平行条件や垂直条件を使いこなせるようにしておきましょう。

直線の方程式が一般形であれば、平行条件や垂直条件を求めるときは傾きを求めるよりも方程式の係数を利用しよう。

直線の方程式が一般形で与えられている問題では、傾きと切片の分かる基本的な形に変形せずに、係数を用いた平行条件や垂直条件を利用しましょう。

2直線の平行条件と垂直条件

$2$ 直線

\begin{align*} &\quad a_{1}x+b_{1}y+c_{1}=0 \\[ 7pt ] &\quad a_{2}x+b_{2}y+c_{2}=0 \end{align*}

について

\begin{align*} &\quad \text{平行} \quad \Longleftrightarrow \quad a_{1} b_{2}-a_{2} b_{1}=0 \\[ 7pt ] &\quad \text{(たすき掛けに掛けて引く)} \\[ 10pt ] &\quad \text{垂直} \quad \Longleftrightarrow \quad a_{1} a_{2}+b_{1} b_{2}=0 \\[ 7pt ] &\quad \text{(上下に掛けて足す)} \end{align*}

傾きと切片を用いた基本的な方程式y=mx+nでは、x軸に垂直な直線を表すことができません

ですから、解答例のように、直線がx軸に垂直となる場合のことを別途に考える必要があります

それに対して、一般形ax+by+c=0はすべての直線を表すことができます。

ですから、一般形のままであれば、直線がx軸に垂直となる場合の考察を省略できます。場合分けが不要になるのは、答案を作成する上でかなり負担が軽くなります。

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さいごにもう一度まとめ

  • 2直線が平行であるとき、傾きは一致する。
  • 2直線が垂直であるとき、傾きの積は-1となる。
  • 直線の方程式が一般形のときの平行条件や垂直条件を覚えておこう。
  • 一般形から基本形に変形するとき、文字で割る割り算に気を付けよう。