数学を学習するときに実践したいことについて

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数学を学習するときに実践したいこと

何事も意識的に行う場合とそうでない場合では効果が全く異なります。これは日常の学習でも同じことが言えます。数学を学習する際に少しでも意識しているとだいぶ変わってくると思います。

ここでは数学の問題を解くときに実践したいことのいくつかを紹介します。特に、理系志望の場合、記述を意識した学習をしておきたいので少しは参考になるかと思います。

数学の問題を解くときに実践したいことのいくつか

問題で与えられた情報を書き出して整理しよう

問題で色々な情報が与えられますが、その情報があまりにも数が多かったり、条件が理解し辛かったりします。特に、化学の問題が顕著で、リード文が長く、情報を整理するのが大変です。

そのような場合、問題を解くことよりも、まずは与えられた情報を箇条書きにして書き出すことから始めましょう。

教科や分野に限らず、基本的には情報を書き出した方が良いと個人的には考えています。情報を書き出す利点は、問題の内容を整理できることです。

内容を整理できれば全体像を把握でき、方針を決めやすくなります。問題によっては、問1から順に解くのではなく、問2の方を先に解くといった解き方もできます。

また、情報が頭の中に残りやすいので、解きながら問題を何度も読み直す必要がなくなります。

問題を解く前に、与えられた情報を箇条書きにし、頭の中を整理しよう。

次の問題を読んで、情報を整理してみましょう。

全体集合 $U=\{ 1 \ , \ 2 \ , \ 3 \ , \ 4 \}$ の $2$ つの部分集合 $A=\{1 \ , \ 2 \} \ , \ B=\{2 \ , \ 3 \}$ について、次の集合を求めよ。

\begin{align*} &1. \quad A \cup B \\[ 7pt ] &2. \quad A \cap B \\[ 7pt ] &3. \quad \overline{A} \end{align*}

要素の個数が少ないのであまり参考にならないかもしれませんが、余白を利用して情報を書き並べてみましょう。

情報を整理しよう

与えられた情報を整理すると

\begin{align*} &\text{全体集合} \quad U=\{ 1 \ , \ 2 \ , \ 3 \ , \ 4 \} \\[ 7pt ] &\text{部分集合} \quad A=\{1 \ , \ 2 \} \\[ 7pt ] &\text{部分集合} \quad B=\{2 \ , \ 3 \} \\[ 7pt ] &\text{求めるもの} \quad A \cup B \ , \ A \cap B \ , \ \overline{A} \end{align*}

書き出した方が、共通の要素も探しやすいです。国語や英語の要約みたいなものをイメージすると良いでしょう。

要するに、相手(出題者)の土俵でやる必要はないということです。

情報を書出し、自分なりに整理することが自分の土俵で考えるための1つの手段になります。これも視覚化の1つなのかもしれませんが、出題の意図を把握するのに非常に有効です。

記述の仕方を工夫しよう

集合を例に挙げます。集合を扱うとき、要素を書き並べることがよくあります。

時々、要素を書き洩らしたり、間違った要素を書き込んだりするといったミスが起こります。そのようなミスは、記述の仕方に原因があるかもしれません。

人間ですからミスをすることはありますが、それが試験の最中に起こってしまうと大変です。そうならないためにも、ミスの起こりにくい記述をすることが大切です。

集合の要素の書き方を少し工夫するだけで些細なミスを減らせます。複数の集合を扱うとき、集合を横ではなく縦に並べて記述します。

記述の一例

集合を横に並べて記述した場合

\begin{align*} \quad A=\{ a \ , \ b \ , \ c \} \ , \ B=\{ b \ , \ c \ , \ d \} \end{align*}

集合を縦に並べて記述した場合

\begin{align*} &\quad A=\{ a \ , \ b \ , \ c \} \\[ 7pt ] &\quad B=\{ b \ , \ c \ , \ d \} \end{align*}

視線の動きを意識すれば、どちらの記述の方が良いのかすぐに分かります。

たとえば、共通の要素を探してみましょう。どちらが探しやすいでしょうか。縦に並べた記述の方が見つけやすいはずです。

横に記述した場合、視線が左右に動きます。このとき、不要な情報が目に入りやすくなります。そうなると見間違いなどのミスが起こりやすくなります。

それに対して、縦に記述した場合、視線が上下に動きます。このとき、横の場合よりも不要な情報が入りにくくなります

このように、情報を書き出すと言っても、何も考えずにただ書き出すのではなく、書き出した情報を有効活用できる記述を意識しましょう。

要素を書くときのコツ
要素を抜き出すときのコツ

問題文では横に並べて記述されるので、情報の整理と合わせて縦に書き出そう。

このことは計算過程の記述でも言えます。式の移り変わりが良く分かるのは縦に記述した場合です。

記述の一例

計算過程を横に並べて記述した場合

\begin{align*} \quad x^{4} -1 = \left( x^{2} – 1 \right) \left( x^{2} + 1 \right) = \left( x – 1 \right) \left( x + 1 \right) \left( x^{2} + 1 \right) \end{align*}

計算過程を縦に並べて記述した場合

\begin{align*} x^{4} -1 &= \left( x^{2} – 1 \right) \left( x^{2} + 1 \right) \\[ 7pt ] &= \left( x – 1 \right) \left( x + 1 \right) \left( x^{2} + 1 \right) \end{align*}

教科書や参考書などで横書きになっている場合があります。あれはおそらくスペースやページ数の制約があるからだろうと思われます。そのような解答例があったら、自分なりに縦書きに書き直してみると良い訓練になるでしょう。

数学の記述は縦に。横への記述だとミスが増える。

印のつけ方を工夫しよう

複数の集合を扱うとき、共通の要素がある場合がほとんどです。共通の要素があれば、印を付けたり、下線を引いたりするのはよく行われる工夫です。

このとき両方の集合ではなく、どちらか一方の集合の要素だけに印を付けると良いでしょう。

共通の要素を見つけたときのコツ
印の付け方のコツ

たとえば、和集合A⋃Bを考えます。

和集合A⋃Bを求めるには、単純に2つの集合A,Bの要素を合わせれば良いというわけではありません。共通の要素が重複するからです。

ここで〇を付けた共通の要素を上手に利用します。図では、集合Bの要素を〇で囲んでいます。

和集合の要素を見つけるコツ
印をつけた後の処理

2つの集合A,Bの要素を合わせるとき、集合Bから〇で囲まれていない要素を集合Aに加えます。

そうすると、和集合A⋃Bの要素になります。〇で囲まれた要素はすでに集合Aにあるので、移動させる必要はありません。

もちろん、両方の要素に印が付いていても、同じようにできます。ただ、場合によっては片方だけに印を付けた方がやりやすいかもしれません。あくまでも上記のやり方は一例で、唯一の方法ではありません。

分かってほしいのは「自分なりに少し工夫すれば、効率を上げたり、ミスを減らしたりできる」ということです。ただ漠然と課題やノルマをこなす学習をしていても楽しくありません。

普段から「正確に速く解くには?」や「間違いの少ない記述の仕方は?」などと考えながら学習すると、学習の質もかなり変わってくるでしょう。それが実感できると、楽しく学習に取り組めるのではないでしょうか。

せっかく何年間も学習に携わるわけですから、自分の能力を伸ばしたり、新たな能力を身に付けたりできるような時間の過ごし方を心掛けましょう。

そして、試行錯誤しながらでも身に付けた学習法は、きっと大切な財産になることでしょう。

Recommended books

学校では記述のやり方を教えてくれることはないだろうと思います。ですから、書き方の指南書を紹介しておきます。

教科書や参考書の模範解答を真似しているうちに書き方を覚えることはできますが、知っておいて損はないかと思います。

正答例と誤答例が挙げてあるので、見比べながら学習できます。

「伝える」をテーマに、言葉づかい、論理的な説明の順序、条件と命題の違いの意識、いろいろな文字の立場の理解などについて解説してあります。こちらにも答案例が複数挙げてあるので、記述の参考になります。

数学記述

Posted by kiri