数列の極限|漸化式と極限 -極限値を視覚的に見よう-

数学3極限,数列,漸化式,特性方程式

漸化式と極限 極限値を視覚的に見よう

漸化式の扱い方

漸化式は、隣り合ういくつかの項の関係を表す等式のことです。漸化式から数列の一般項を求める問題はよく出題されます。

隣接2項間の漸化式

漸化式の形から変形の仕方が決まっているので、変形の仕方を覚えることが大切です。たとえば、よく出題される隣接2項間の漸化式を例に挙げます。

数列 $\{ a_n \}$ の漸化式
\begin{align*}
&a_{n+1} = pa_{n} + q \\[ 10pt ]
&\quad ( p \ , \ q \ \text{は定数} \ , \ p \neq 1 )
\end{align*}

この漸化式を変形すると、数列 $\{ a_n \}$ から新しい数列 $\{ a_n – \alpha \}$ の漸化式になります。

数列 $\{ a_n – \alpha \}$ の漸化式
\begin{align*}
&\alpha = p \alpha + q \ \text{を満たす $\alpha$ に対して} \\[ 10pt ]
&\quad a_{n+1} – \alpha = p ( a_{n} – \alpha )
\end{align*}

漸化式において、$a_{n+1} = a_n = \alpha$ のときに得られる $\alpha = p \alpha + q$ は、特性方程式と言います。この特性方程式の解 $\alpha$ の値を使って、漸化式を変形します。

変形した後は、もう数列 $\{ a_n \}$ の漸化式ではなく、数列 $\{ a_n – \alpha \}$ の漸化式として扱います。

数列 $\{ a_n \}$ から数列 $\{ a_n – \alpha \}$ へ
\begin{array}{c|cccccc}
\text{数列 $\{ a_n \}$} & a_1 & a_2 & \cdots & a_n & a_{n+1} & \cdots \\
\hline
\text{数列 $\{ a_n – \alpha \}$} & a_1 – \alpha & a_2 – \alpha & \cdots & a_n – \alpha & a_{n+1} – \alpha & \cdots
\end{array}

変形後の漸化式は、数列 $\{ a_n \}$ の各項から $\alpha$ だけ引いた数列 $\{ a_n – \alpha \}$ の関係を表しています。

変形後は別の数列の漸化式

慣れればそのままでも扱えますが、最初のうちは $b_n = a_n – \alpha$ と置き換えた方が扱いやすいでしょう。$b_n = a_n – \alpha$ のとき、$b_{n+1} = a_{n+1} – \alpha$ です。

数列 $\{ a_n \}$ から数列 $\{ b_n \}$ へ
\begin{array}{c|cccccc}
\text{数列 $\{ a_n \}$} & a_1 & a_2 & \cdots & a_n & a_{n+1} & \cdots \\
\hline
\text{数列 $\{ a_n – \alpha \}$} & a_1 – \alpha & a_2 – \alpha & \cdots & a_n – \alpha & a_{n+1} – \alpha & \cdots \\
\hline
\text{数列 $\{ b_n \}$} & b_1 & b_2 & \cdots & b_n & b_{n+1} & \cdots
\end{array}

漸化式は $b_n \ , \ b_{n+1}$ を使って以下のように表されます。

数列 $\{ b_n \}$ の漸化式
\begin{align*}
&\quad a_{n+1} – \alpha = p ( a_{n} – \alpha ) \\[ 10pt ]
&b_n = a_n – \alpha \ \text{とおくと} \\[ 10pt ]
&\quad b_{n+1} = p b_{n}
\end{align*}

数列 $\{ b_n \}$ の漸化式と見ると、この式は等比数列を表す漸化式です。ですから、数列 $\{ b_n \}$ は等比数列だと分かります。等比数列では初項と公比が分かれば、一般項を求めることができます。

もとの数列の一般項へ

数列 $\{ b_n \}$ について、初項は、$b_n = a_n – \alpha$ において $n=1$ のときなので $b_1 = a_1 – \alpha$ です。また、公比は $p$ です。

初項と公比を使って数列 $\{ b_n \}$ の一般項を求めたら、$b_n = a_n – \alpha$ を使って $a_n$ を求めます。

数列 $\{ b_n \}$ から数列 $\{ a_n \}$ へ
\begin{align*}
&b_n = a_n – \alpha \ \text{より} \\[ 10pt ]
&\quad a_n = b_n + \alpha
\end{align*}

漸化式を扱った問題では、一般に、もとの数列 $\{ a_n \}$ は等差数列や等比数列ではありません。このままでは一般項 $a_n$ を求めることができないので、別の数列 $\{ b_n \}$ の漸化式に変形します。

このとき、等差数列や等比数列の漸化式になるように変形するのがコツです。新しい数列 $\{ b_n \}$ は等差数列や等比数列になっているので、その一般項 $b_n$ を求めることができます。

一般項 $b_n$ が分かったら、式変形のときに使った $b_n = a_n – \alpha$ から数列 $\{ a_n \}$ の一般項 $a_n$ を得ることができます。

実際に問題を解いてみましょう。

漸化式を扱った問題を解いてみよう

例題1で扱った漸化式で練習してみましょう。

例題4
\begin{equation*}
a_1 = 5 \ , \ a_{n+1} = \frac{2}{3} a_n + 1 \quad (n = 1 \ , \ 2 \ , \ 3 \ , \cdots )
\end{equation*}
で定義される数列 $\{ a_n \}$ を求めよ。

例題4の解答・解説

特性方程式の解を使って漸化式を変形します。

例題4の解答例
\begin{align*}
&\alpha = \frac{2}{3} \alpha + 1 \ \text{とおくと} \\[ 10pt ]
&\quad \alpha = 3
\end{align*}

$\alpha$ の値が分かったら、パターン通り変形します。

例題4の解答例つづき
\begin{align*}
&a_{n+1} = \frac{2}{3} a_n + 1 \ \text{を変形すると} \\[ 10pt ]
&\quad a_{n+1} -3 = \frac{2}{3} \left( a_n – 3 \right)
\end{align*}

これで数列 $\{ a_n \}$ から数列 $\{ a_n – 3 \}$ の漸化式に変わりました。

数列 $\{ a_n \}$ から数列 $\{ a_n – 3 \}$ へ
\begin{array}{c|cccccc}
\text{数列 $\{ a_n \}$} & a_1 & a_2 & \cdots & a_n & a_{n+1} & \cdots \\
\hline
\text{数列 $\{ a_n – 3 \}$} & a_1 – 3 & a_2 – 3 & \cdots & a_n – 3 & a_{n+1} – 3 & \cdots
\end{array}

数列 $\{ a_n – 3 \}$ の初項と公比を求めます。初項と公比が分かったら、数列 $\{ a_n – 3 \}$ の一般項を求めます。

例題4の解答例つづき
\begin{align*}
&\quad a_{n+1} -3 = \frac{2}{3} \left( a_n – 3 \right) \\[ 10pt ]
&\text{数列 $\{ a_n – 3 \}$ は等比数列であり、その初項は} \\[ 10pt ]
&\quad a_1-3 = 5-3 =2 \\[ 10pt ]
&\text{また、公比は $\scriptsize {\frac{2}{3}}$ なので、数列 $\{ a_n – 3 \}$ の一般項は} \\[ 10pt ]
&\quad a_n – 3 = 2 \cdot {\left( \frac{2}{3} \right)}^{n-1}
\end{align*}

数列 $\{ a_n – 3 \}$ の一般項の式を変形すると、数列 $\{ a_n \}$ の一般項を表す式になります。

例題4の解答例つづき
\begin{align*}
&\vdots \\[ 10pt ]
a_n – 3 &= 2 \cdot {\left( \frac{2}{3} \right)}^{n-1} \\[ 10pt ]
a_n &= 2 \cdot {\left( \frac{2}{3} \right)}^{n-1} +3
\end{align*}

例題のように、等差数列でも等比数列でもない数列の場合、その一般項を別の数列の一般項から間接的に求めます。これが漸化式から一般項を求めるときの基本的な考え方です。

手順をまとめると以下のようになります。

漸化式から一般項を求める手順

  1. 等差数列や等比数列の漸化式になるように変形
  2. 変形後の漸化式から新しい数列の一般項を求める
  3. 求めた一般項を変形して、もとの数列の一般項を求める

漸化式によって変形の仕方は異なりますが、考え方は一貫しています。色々な変形パターンがあって面白いので、ぜひチャレンジしてみて下さい。

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