大学入試|大学入学共通テストのポイント(背景や概要)

大学入試

新しい大学入試 大学入学共通テストの傾向と対策

大学入試改革によって、センター試験に変わって大学入学共通テストが実施されます。この新しい大学入試では、これまで以上に多面的、かつ総合的に能力が評価されます。

これまでの入試と比べてどこが変化したのかを見極め、早めの対策を施すことが大切です。

大学入試改革の背景

今現在も激動の時代と言えるかもしれませんが、これからも日進月歩で時代が変わっていくでしょう。そこで時代に即した人材を育成するために、教育改革が行われました。そのうちの一つが大学入学者選抜の改革です。

これからの社会で求められる人材

  • グローバルな社会で活躍できる。
  • 知識を活用できるリーダーとなれる。
  • 正解のない問いを解決していける。

大学入試で選抜される人物像

  • 英語4技能「書く・読む・聞く・話す」が使える。
  • 知識は「多さ」より「使い方」。
  • 他者の意見・資料を踏まえ、論理的に伝えられる。

改革によって、「知識」はもちろんですが、より高度な「思考力・判断力・表現力」に加えて「主体性・多様性・協働性」まで問われるようになります。

また、これからの大学入試のスケジュールは以下のようになっています。

これからのスケジュール

  • 2020年1月:大学入試センター試験の実施(2019年4月時点の高校3年生が対象)
  • 2020年4~12月:英語の民間試験の実施(2019年4月時点の高校2年生が対象)
  • 2021年1月:大学入学共通テストの実施(2019年4月時点の高校2年生が対象)

次は大学入試の変化を個別に見ていきます。注目したい変化は3つあります。

ここが変わった大学入試

変化その1:センター試験から大学入学共通テストへ

これまでは、すべて客観式(マーク式)のセンター試験でした。これとは異なり、国語と数学で記述形式の問題が3問ほど加わります

国語と数学の記述式問題は、2025年度以降の導入が見送りになりました。

大学入試センター:大学入学共通テストの記述式問題の導入見送りについて

文部科学省:大学入学共通テストの記述式問題について

その他には、客観式(マーク式)の問題では「問題解決のプロセスを選択しながら解答」「複数の資料から情報を組み合わせて判断」など、思考力・判断力・表現力を問う問題になります。

これまで … センター試験:全教科マークシート

2021年から … 大学入学共通テスト

  • 数学1・Aと国語で記述形式の問題を導入。(導入は見送り
  • 英語で民間検定試験の結果を活用。(導入は見送り
  • 資料提示型の問題の増加。

変化その2:英語で民間の資格・検定試験の活用

2019年11月1日、萩生田光一・文科相から「2020年度の英語民間試験導入を2024年度に延期する」と発表されました。

以降は延期前に決定されていた内容ですが、概念的なものはほとんど変わりません。

英語はセンター試験に引き続き、当面は大学入学共通テストでも「読む」「聞く」の能力を測ります。しかし、これだけでは「話す」「書く」の能力を測れません。ですから、4技能を評価するために、民間の資格・検定試験の結果が用いられます。

選抜する際にどちらの結果を用いるのか、あるいは両方を用いるのかは、今のところ大学共通ではなく、それぞれの大学によって異なります。ですから、志望大学の選抜要項を早めに確認しておきましょう。

また、資格や検定は何でも良いわけでなく、条件を満たしたものでなければならないので注意しましょう。

大学入試英語成績提供システム参加条件を満たしていることが確認された資格・検定試験

  • Cambridge Assessment English(ケンブリッジ英語検定)
  • Educational Testing Service(TOEFL iBTテスト)
  • IDP IELTS Australia(IELTS™)
  • 一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(TOEIC®)
  • 株式会社ベネッセコーポレーション(GTEC®)
  • 公益財団法人日本英語検定協会(TEAP、TEAP CBT、英検®)
  • ブリティッシュ・カウンシル(IELTS™)

英検®は、公益財団法人日本英語検定協会の登録商標です。
「GTEC」は株式会社ベネッセコーポレーションの登録商標です。
TOEIC is a registered trademark of Educational Testing Service (ETS). This product is not endorsed or approved by ETS.
TOEFL iBT is a registered trademark of Educational Testing Service(ETS). This product is not endorsed or approved by ETS.

高校生であればほとんどが英検を受検するので、他の資格・検定試験については気にする必要はないでしょう。もし、気になる資格・検定試験があれば、公式サイトをご確認下さい。

民間の資格・検定試験を受検するのは強制ではない

上述のように、民間の資格・検定試験を利用する予定でしたが、導入が見送られることになりました。ですから、今とのころ、共通テストのために受検する必要はありません。

英語における民間の資格・検定試験の結果の利用について、導入が見送りになりました。

大学入試センター:大学入試英語成績提供システムの導入見送りに関する理事長のメッセージ

文部科学省:大臣メッセージ(英語民間試験について)

共通テストへの導入は見送られましたが、民間の資格・検定試験の結果を補助的に利用することは、センター試験と変わず可能です。

たとえば、共通テスト英語(筆記)の結果が80点だったとします。20点相当に換算される英検の結果であれば、共通テスト英語の結果は100点の扱いになります。大学によりますが、あくまでも共通テストの結果に加点できる結果として利用可能ということです。

民間の資格・検定試験の結果を点数換算できるかどうかは、大学ごとに変わるので、受験案内を確認しましょう。

共通テストの結果に加算できるのは、受験生にとって良いことだと思います。また、資格や検定の取得が、日常の英語学習でのモチベーション維持に役立ちます。ですから、在学中に資格・検定試験をできる限り受検することをお勧めします。

変化その3:推薦・AO入試での入学者の拡大

すでに実施されている国公立大学の推薦入試やAO入試は、「学校推薦型選抜」「総合型選抜」として拡大される見込みです。どのくらい拡大されるかと言うと、入学定員の30%とすることが目標となっています。

各大学が明示する選抜方針に基づいて、調査書や提出書類、小論文、面接試験などによって、多面的に評価されます。

以下に、平成31年度の募集人員の例を挙げておきます。

平成31年度の募集人員

  • 東京大学:一般入試2,960人・推薦入試100人程度
  • 京都大学:一般入試2,666人・特色入試157人
  • 大阪大学:一般入試 2,878人・AO入試190人推薦入試170人

推薦入試やAO入試での入学者が拡大するとは言いましたが、たとえば東京大学の場合、100人程度を募集していますが、実際に合格しているのは60~70人ほどです。

募集人員よりも少ないのは、各大学が求めている人材でなければ選抜されないからです。

詳細な結果については公式サイトをご確認下さい。

さいごに

センター試験は、とにかく暗記して知識を身に着けていれば何とかなるという一面がありました。しかし、新しい大学入学共通テストでは、知識だけでは足りないことが、2つの変化の中身を詳しく調べると分かります。

記述式問題や資格・検定試験の結果を導入することは見送られましたが、「思考力・判断力・表現力」を求める問題が出題されることは変わらないでしょう。

形式的にはセンター試験とそれほど変わりませんが、難易度は上がるかもしれないと考えておいた方が良いでしょう。自分たちが求められているレベルをきちんと認識し、そのレベルに到達できる準備が必要です。

また、制度の見直しや変更などがある場合、当事者は振り回されがちです。できるだけ振り回されないようにするには、公式の情報源から自分で情報を収集することです。決して他人任せにしないことです。公式サイトをこまめにチェックすることも大事です。

自分で収集した情報をもとに、高校の3年間という期間を上手に活用すれば、しっかり準備できるはずです。いかに早くから行動を起こすかが重要です。

大学入学共通テストの傾向や対策に役立つ書籍

記述力や思考力を鍛えよう

記述力や思考力は、日頃からの訓練の成果です。短期間であれば、コツくらいは掴めるかもしれません。しかし、完全に習得するとなると時間が掛かるでしょう。だからこそ価値があります。

身に付けるのは簡単ではありませんが、育成の仕方を知っておくことは大切です。日常学習の際に、無自覚にこなすのではなく、意識的に取り組むことができるからです。

大学入試を知ろう

仕組みを知らないまま受験するのは、あまり良いことだとは思いません。情報がなければ適切な対策を立てられないからです。

期間や難易度などの情報を知らなければ、中途半端な準備しかできません。また、進学したい大学や学部についての情報がなければ、有名大学に進学できたとしても後悔するかもしれません。

少なくとも高校3年間を準備に費やします。また、自分の将来にも大いに関わります。義務教育ではないので、先生や親任せでなく、自分で行動しなければなりません。後悔しないためにも情報収集をしっかり行いましょう。