データの分析|データの整理について
度数分布表やヒストグラムを扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
次の表は、$2$ つの学校のあるクラスの数学の得点をまとめたものである。
$(1) \ 61$ 点以上~ $70$ 点以下の階級における人数の割合は、$A$ 校、$B$ 校のどちらの方が大きいか。
$(2) \ 71$ 点以上の人数の割合は、$A$ 校、$B$ 校のどちらが大きいか。
階級(点) | 度数(人) | |
---|---|---|
A校 | B校 | |
1点以上~10点以下 | 0 | 1 |
11点以上~20点以下 | 2 | 1 |
21点以上~30点以下 | 1 | 2 |
31点以上~40点以下 | 3 | 3 |
41点以上~50点以下 | 4 | 5 |
51点以上~60点以下 | 6 | 12 |
61点以上~70点以下 | 12 | 14 |
71点以上~80点以下 | 7 | 5 |
81点以上~90点以下 | 3 | 4 |
91点以上~100点以下 | 2 | 3 |
計 | 40 | 50 |
問の解答・解説
問(1),(2)のどちらも割合の比較なので、相対度数を扱った問題です。
データの分析では、度数分布表にまとめたり、ヒストグラムを書いたりすることはそれほど難しくありません。それよりも、データを比較したり、表やグラフから情報を正確に読み取ったりできるようにしておきましょう。
相対度数は以下のように表せます。
相対度数を求める式
\begin{align*} \quad \text{相対度数} = \frac{\text{階級の度数}}{\text{全体の度数}} \end{align*}以上のことを踏まえて、問(1)を考えてみましょう。
問(1)の解答・解説
問(1)
次の表は、$2$ つの学校のあるクラスの数学の得点をまとめたものである。
$61$ 点以上~ $70$ 点以下の階級における人数の割合は、$A$ 校、$B$ 校のどちらの方が大きいか。
問(1)では、61点以上~70点以下の階級における相対度数をそれぞれ求めて比較します。
問(1)の解答例
$61$ 点以上~ $70$ 点以下の階級における人数の割合を求めると
$A$ 校は
\begin{align*} \quad \frac{12}{40} = 0.3 \end{align*}$B$ 校は
\begin{align*} \quad \frac{14}{50} = 0.28 \end{align*}であるので、$A$ 校の方が大きい。
A校とB校とで度数の合計が異なるので注意しましょう。次は問(2)を考えてみましょう。
問(2)の解答・解説
問(2)
次の表は、$2$ つの学校のあるクラスの数学の得点をまとめたものである。
$71$ 点以上の人数の割合は、$A$ 校、$B$ 校のどちらが大きいか。
問(2)も問(1)と同じように相対度数を求めますが、71点以上の人数の割合なので、複数の階級での度数となることに注意しましょう。
問(2)の解答例
$71$ 点以上の階級における人数を求めると
$A$ 校は
\begin{align*} \quad 7+3+2 = 12 \quad \text{(人)} \end{align*}$B$ 校は
\begin{align*} \quad 7+3+2 = 12 \quad \text{(人)} \end{align*}であるので、度数の合計が少ない方が割合は大きくなる。
よって、$71$ 点以上の人数の割合は $A$ 校の方が大きい。
解答例では、人数が同じになったので、相対度数を求めていません。もちろん、相対度数をそれぞれ求めて比較しても構いません。
Recommended books
データの分析を扱った問題は、測定値や観測値が多いと手際よく表やグラフを使って整理していく必要があります。また、表やグラフの目の付け所も知っておかなければなりません。こればかりは頭で分かっていても、実際に整理したり、表やグラフを扱ったりしたことがないと手際よくできません。
ただ、データを手早く扱うコツや表やグラフから読み取るコツを掴んでしまえば、得点源にできる単元です。単元別の問題集で集中的に取り組んでマスターしましょう。
これから紹介する教材で気になるものがあれば、ぜひ一読してみて下さい。気に入ったら最後まで徹底的にこなしましょう。
オススメその1『教科書だけでは足りない 大学入試攻略 7日間完成 データの分析』
『教科書だけでは足りない 大学入試攻略 7日間完成 データの分析』は、「データの分析」の学習を短期間でこなすための教材です。1日60分の学習を7日間で完成させることができます。短期間で周回できます。また、教科書レベルから扱っているので、基礎から習得できます。
内容をできる限り絞り、短時間で「データの分析」の学習が一通りできるようにしました。また、微妙な違いがわかることが必要な「図の読み取り」については、多くの図を掲載し、違いが判断できるようにしました。「計算方法」については、効率よく計算を行うことを最優先に、その計算方法を徹底的にマスターできるようにしました。
オススメその2『改訂版 佐々木隆宏の数学I「データの分析」が面白いほどわかる本』
『改訂版 佐々木隆宏の数学I「データの分析」が面白いほどわかる本』は、参考書兼問題集です。教科書よりも丁寧に解説されているので、教科書で躓いてもこれでカバーできます。算数から扱っているので、自習でも躓きにくくなっています。
小学校の算数における資料の調べ方から始めて、高等学校の数学1における「データの分析」までを扱った「統計分野」の参考書。中学校までの復習を扱った「ホームルーム」、数学1データの分析で学習する内容をていねいに説明した「授業」、あらゆる問題形式(センター形式や記述式)を演習する「講習」の3部構成。好評だった初版のよいところを活かしつつ、2015年から実施された現行課程下の入試でのセンター試験の問題を追加したほか、私大・国公立入試で出題された問題のうち、とくに重要かつ今後の出題が見込まれるものを収録。
オススメその3『ふたたびの確率・統計[2]統計編』
『ふたたびの確率・統計[2]統計編』は、学び直しの人だけでなく、初学者も意識して書かれています。
本書に収められている統計の内容は、高校数学における統計の全単元を網羅しています。項目の詳細は、現指導要領に含まれる内容だけでなく、令和4年(2022 年)度から実施予定の新指導要領で新たに盛り込まれる内容も、統計に関するものはすべてカバーしているのが特徴です。
公式と記号の意味を理解しながら使いこなす!「統計」という訳語をひねり出した明治人の奮闘から、「戦死」の実態を統計で視覚化した白衣の天使の話、100人中62人がその効果を認めたダイエットサポート飲料の判定まで、「統計リテラシー」の核心に迫る。
確率編の方が先です。
さいごにもう一度まとめ
- データを上手にまとめよう。
- データを整理するときは、度数分布表を利用しよう。
- データを視覚化するときは、ヒストグラムを利用しよう。
- 複数の変量があるとき、度数の合計の違いに気をつけよう。