物理の要点|力と運動その3
目次
円運動
等速円運動
速度
半径 $r \ \mathrm{[m]}$ の円軌道上を角速度 $\omega \ \mathrm{[rad/s]}$ で等速円運動している物体の速度 $\upsilon \ \mathrm{[m/s]}$ は、次のように表される。また、速度の向きは円の接線向きである。
\begin{equation*}
\quad \upsilon=r \omega
\end{equation*}
周期
半径 $r \ \mathrm{[m]}$ の円軌道上を角速度 $\omega \ \mathrm{[rad/s]}$ で等速円運動している物体の速度 $\upsilon \ \mathrm{[m/s]}$ があるときの周期 $T \ \mathrm{[s]}$ は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad T=\frac{2 \pi r}{\upsilon}=\frac{2 \pi}{\omega}
\end{equation*}
加速度
上述のような等速円運動をしている物体に生じる加速度は、円の中心向きで、その大きさ $a \ \mathrm{[m/s^{\scriptsize{2}}]}$ は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad a=\frac{{\upsilon}^{\scriptsize{2}}}{r}=r{\omega}^{\scriptsize{2}}
\end{equation*}
円運動の運動方程式
運動方程式
直線運動の場合の運動方程式の加速度 $a$ の代わりに、等速円運動の加速度を用いたものが、円運動の運動方程式である。
円運動の運動方程式
\begin{align*}
&\text{直線運動における運動方程式} \\[ 5pt ]
&\quad ma=F \\[ 7pt ]
&\text{の $a$ に} \\[ 5pt ]
&\quad a=\frac{{\upsilon}^{\scriptsize{2}}}{r}=r{\omega}^{\scriptsize{2}} \\[ 5pt ]
&\text{を代入すると} \\[ 5pt ]
&\quad m \frac{{\upsilon}^{\scriptsize{2}}}{r}=F \\[ 7pt ]
&\text{または} \\[ 5pt ]
&\quad mr{\omega}^{\scriptsize{2}}=F \\[ 7pt ]
&\text{これが円運動の運動方程式である。}
\end{align*}
向心力
円運動の運動方程式における $F$ は、物体に働く力の合力で、円軌道の中心を向く力となるので、向心力と呼ばれる。
遠心力(非慣性系)
等速円運動をしている物体を、それと同じ角速度で回転している座標系から見ると、円の中心とは反対向きに慣性力が働いているように見える。この見かけ上の力を遠心力という。遠心力の大きさ $F \ \mathrm{[N]}$ は、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad F=m \frac{{\upsilon}^{\scriptsize{2}}}{r}=mr{\omega}^{\scriptsize{2}}
\end{equation*}
この場合、物体に働く力はつり合っていると考えればよい。
単振動
単振動
半径 $A \ \mathrm{[m]}$ の円周上を角速度 $\omega \ \mathrm{[rad/s]}$ で等速円運動している物体の正射影の運動は、振幅 $A \ \mathrm{[m]}$、角振動数 $\omega \ \mathrm{[rad/s]}$ の単振動に相当する。この単振動の変位 $x \ \mathrm{[m]}$、速度 $\upsilon \ \mathrm{[m/s]}$、加速度 $a \ \mathrm{[m/s^{\scriptsize{2}}]}$ は、それぞれ次の式で表される。
変位
\begin{equation*}
\quad x=A \sin {\omega t}
\end{equation*}
速度
\begin{equation*}
\quad \upsilon=A \omega \cos {\omega t}
\end{equation*}
加速度
\begin{equation*}
\quad a=-A{\omega}^{\scriptsize{2}} \sin {\omega t}=-{\omega}^{\scriptsize{2}} x
\end{equation*}
加速度の式のマイナスは、加速度の向きが変位の向きと反対であることを示す。
単振動の復元力
単振動をする質量 $m \ \mathrm{[kg]}$ の物体に働く力 $F \ \mathrm{[N]}$ は、運動方程式から次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad F=ma=-m {\omega}^{\scriptsize{2}} x \quad \cdots \text{①}
\end{equation*}
この力は、物体の変位と反対向きで、物体を元の位置に戻すように働くので、復元力と呼ばれる。①式の $m {\omega}^{\scriptsize{2}}$ を $K$ とおくと、次の②式のようになる。
\begin{equation*}
\quad F=-Kx \quad \cdots \text{②}
\end{equation*}
②式から、復元力は変位 $x$ に比例し、変位と反対向きに働く力であることが分かる。逆に、物体に②式で示される力 $F$ が働くときは、物体は単振動をする。この単振動の運動方程式は、①,②式から次のように表せる。
\begin{equation*}
\quad m \cdot \left(-{\omega}^{\scriptsize{2}} x \right)=-Kx \quad \cdots \text{③}
\end{equation*}
③式から角振動数 $\omega \ \mathrm{[rad/s]}$ は、次の式で表される。
③より
\begin{equation*}
\quad {\omega}^{\scriptsize{2}}=\frac{K}{m}
\end{equation*}
$\omega \gt 0$ より
\begin{equation*}
\quad \omega=\sqrt{\frac{K}{m}} \quad \cdots \text{④}
\end{equation*}
④式を周期の式に代入すると、単振動の周期 $T \ \mathrm{[s]}$ は、次の式で表される。
④より
\begin{equation*}
\quad T=\frac{2 \pi}{\omega}=2 \pi \sqrt{\frac{m}{K}}
\end{equation*}
単振り子
長さ $l \ \mathrm{[m]}$ の単振り子は、振幅が小さいとき、近似的に単振動をする。その周期 $T \ \mathrm{[s]}$ は、重力加速度の大きさを $g \ \mathrm{[m/s^{\scriptsize{2}}]}$ とすると、次のように表される。
\begin{equation*}
\quad T=2 \pi \sqrt{\frac{l}{g}}
\end{equation*}
万有引力
万有引力
質量 $m \ \mathrm{[kg]} \ , \ M \ \mathrm{[kg]}$ の2つの物体が距離 $r \ \mathrm{[m]}$ だけ離れて存在するとき、両者の間に働く万有引力 $F \ \mathrm{[N]}$ は、次のように表される。
\begin{equation*}
\quad F=G \frac{mM}{r^{\scriptsize{2}}}
\end{equation*}
ただし、$G$ は万有引力定数で、
\begin{equation*}
\quad G=6.67 \times 10^{\scriptsize{-11}} \quad \mathrm{N \cdot m^{\scriptsize{2}} / {kg}^{\scriptsize{2}}}
\end{equation*}
天体上の重力加速度
地球などの天体の表面にある物体に働く重力は、天体と物体との間に働く万有引力にほかならない。天体の表面の重力加速度の大きさを $g \ \mathrm{[m/s^{\scriptsize{2}}]}$、天体の質量を $M \ \mathrm{[kg]}$、半径を $R \ \mathrm{[m]}$、物体の質量を $m \ \mathrm{[kg]}$ とすると、重力加速度の大きさ $g \ \mathrm{[m/s^{\scriptsize{2}}]}$ は、次のように表される。
\begin{equation*}
\quad mg=G \frac{mM}{R^{\scriptsize{2}}}
\end{equation*}
よって
\begin{equation*}
\quad g= \frac{GM}{R^{\scriptsize{2}}}
\end{equation*}
万有引力の位置エネルギー
質量 $M \ \mathrm{[kg]}$ の物体の中心から距離 $r \ \mathrm{[m]}$ の点にある質量 $m \ \mathrm{[kg]}$ の物体の位置エネルギーは、無限遠の点を基準にすると、次の式で表される。
\begin{equation*}
\quad U=-G \frac{Mm}{r}
\end{equation*}
ケプラーの法則
ケプラーの第1法則
惑星は、太陽を1つの焦点とする楕円軌道上を公転する。
ケプラーの第2法則
惑星と太陽とを結ぶ線分(動径)が一定時間に描く面積は一定である(面積速度一定の法則)。惑星の近日点、遠日点での速さをそれぞれ $\upsilon_{\scriptsize{1}} \ , \ \upsilon_{\scriptsize{2}}$ とし、近日点、遠日点の太陽からの距離をそれぞれ $r_{\scriptsize{1}} \ , \ r_{\scriptsize{2}}$ とすると、ケプラーの第2法則から、次の関係が成り立つ。
\begin{equation*}
\quad r_{\scriptsize{1}} \upsilon_{\scriptsize{1}}=r_{\scriptsize{2}} \upsilon_{\scriptsize{2}}
\end{equation*}
ケプラーの第3法則
惑星の公転周期 $T \ \mathrm{[s]}$ の2乗は、惑星の公転軌道の長半径 $a \ \mathrm{[m]}$ の3乗に比例する。
\begin{equation*}
\quad T^{\scriptsize{2}}=ka^{\scriptsize{3}}
\end{equation*}
ただし、$k$ は比例定数で、全惑星に共通である。
物理・物理基礎のオススメ本
おすすめ その1
- 宇宙一わかりやすい高校物理(力学・波動)
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おすすめ その2
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おすすめ その3
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