複素数と方程式|2つの2次方程式の解の種類の判別について

2つの2次方程式の解の種類の判別を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
問題文を注意深く読み、与式をよく観察しましょう。2つの2次方程式の係数や定数項には、文字aが含まれています。
問の解答・解説
問題文には、「2つの2次方程式の一方は実数解を、他方は虚数解をもつ」とあります。ここで注意したいのは、一方や他方がどの方程式を指し示しているかです。
特定の方程式を指して一方と言っているわけではありません。ですから、1番目の方程式を一方とすれば、2番目の方程式が他方になります。もちろん、その逆も言えます。そこで、2つの2次方程式がもつ解を分類してみます。
2つの2次方程式がもつ解の分類
- (1番目,2番目)=(実数解,実数解)
- (1番目,2番目)=(実数解,虚数解)
- (1番目,2番目)=(虚数解,実数解)
- (1番目,2番目)=(虚数解,虚数解)
題意を満たすのは、2,3番目の組合せのときです。このことを踏まえて、判別式の値の条件を考えましょう。
問の解答例 1⃣
2つの方程式の一方だけが虚数解をもてば良いことに注目します。とりあえず、虚数解をもつときの条件から、文字aの値の範囲ををそれぞれ求めます。
問の解答例 2⃣
それぞれの方程式が虚数解をもつときの定数aの値の範囲を導くことができました。
ここで間違いが多いのが、虚数解をもつ範囲の和集合を求めることです。単純に和集合を求めたり、共通部分を求めたりしないことです。
和集合であれば共通部分も含むことに気付かなければなりません。共通部分では、2つの方程式はともに虚数解をもちます。
一方だけが虚数解をもつとき、他方は実数解をもちます。ともに虚数解をもつことはないので、共通部分を除外しなければなりません。一方だけが虚数解をもつ範囲だけを探しましょう。
問の解答例 3⃣
整数であるaの値を求めるので、範囲を求めて終わりにしないように注意しましょう。
平方根の値は概数でも良いので、自分で調べることができるようにしておきましょう。
平方根の値の求め方
問の別解
上述の解答例はスマートな解法ですが、少し分かりにくいかもしれません。
解の種類を分類した(2)と(3)を求めた方が直接的で分かりやすいかもしれません。
2つの2次方程式がもつ解の分類
- (1番目,2番目)=(実数解,実数解)
- (1番目,2番目)=(実数解,虚数解)
- (1番目,2番目)=(虚数解,実数解)
- (1番目,2番目)=(虚数解,虚数解)
判別式を求めるところまでは上述の解答例と同じです。それ以降は、場合分けします。
共通範囲を求めたり、範囲を合わせたりするとき、不等式だけでなく、数直線で図解しながら作業しましょう。
問の別解例
答案が長くなりましたが、場合分けした方が取り組みやすくなります。
この単元で混乱しやすいのは、複数の条件の関係についてです。これらの条件の関係が、「かつ」の関係なのか「または」の関係なのかをきちんと考えることが大切です。
また、範囲の共通部分や和集合を求める際には、数直線を上手に使うことも大切です。
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さいごにもう一度まとめ
- 解の種類の話では、判別式を意識しよう。
- 2次方程式と判別式には、1対1の対応関係がある。
- 2つ以上の条件があるとき、「かつ」と「または」に注意しよう。
- 2つの条件が同時に成り立つ必要があれば「かつ」、一方だけで良ければ「または」