数と式|一次不等式を扱った応用問題を解いてみよう その1(立式の基本)
一次不等式や連立不等式の扱い方を学習したので、一次不等式を扱った応用問題を解いてみましょう。
一次不等式を扱った応用問題では、方程式のときと同じように文章問題になります。設問を読んで自分で立式しなければなりません。自分で立式する流れは、等号と不等号の違いくらいで方程式のときとほぼ変わりません。
自分で立式するのは難しそうですが、文章中のどこかに必ずヒントがあります。どこに注目すれば良いのかを意識しながら学習すると、立式のコツを掴めるでしょう。
立式の基本的な流れ
方程式や不等式を扱った文章問題であれば、等しい数量や大小関係のある数量が、文章中にヒントとして存在しています。
たとえば、「AはBである」という言い回しは「AはBに等しい」という意味です。これを数式で表せば、「A=B」と表せます。このことは現代文の参考書や問題集でも見られるので、知っている人も多いかと思います。
このように、方程式や不等式を扱った文章問題では、数式で表せる言い回し(ヒント)が文章中に必ずあります。その言い回しを見つけ出し、数式に置き換える訓練を積めば、文章問題は全く怖くありません。
文章から立式するまでの流れをまとめると、大まかに以下のようになります。
立式までの大まかな流れ
- 求めたい数量を文字で表す。
- 立式できそうな言い回しを探して、等式か不等式かを決める。
- 式の左辺や右辺の数量に注意する。
求めたい数量を文字で表す
方程式や不等式を立式する問題では、出題者が解答者に求めてもらいたい(解答者が求めたい)数量が必ず存在します。その数量を文字(xなど)で表すのが立式の初手になります。
出題者が解答者に何を求めてほしいのかは、だいたい文章の最後に「~を求めよ」と書かれているのでとても分かりやすいです。
求めるべき数量は文章の最後に出てくることが多い。立式するために文字で表そう。
立式できそうな表現を探して、等式か不等式かを決める
求めたい数量を文字で表したら、文章中から立式できそうな言い回し(ヒント)を探します。立式できそうな言い回しは、数量の関係を説明している言い回しで、たとえば以下のようなものがあります。
ヒントになる言い回しの例
- 「AとBを合わせるとCになった」=「AとBの合計(和)はC」=「A+B=C」
- 「AはBよりも小さくなった」=「A小なりB」=「A<B」
「合わせると~になった」は、「合わせると~に等しくなった」という意味なので、和や等式を使って立式できます。
買い物の話では、「代金が~になった」と言われることもあります。「代金が~になった」も「各商品の代金の合計が~に等しくなった」と読み取れるので、同じように和や等式を使えます。
また、「AはBよりも小さくなった」はAとBの大小関係を表しているので、不等式を使って立式できます。
このように言い回しによって、等式(方程式)か不等式かを決めることができます。等式か不等式かが分かるということは、式全体の形が決まるということです。
「合わせる」「合計」「より大きい」「より小さい」など、計算記号や等式・不等式に対応する言い回しがきちんと出てくる。立式する式の形を決めるので、見落とさないようにしよう。
式の左辺や右辺の数量に注意しよう
方程式や不等式のどちらかで立式するめどが立ったら、その式の左辺や右辺の数量を確認します。
たとえば1個の値段が異なる商品をいくつか購入したとき、各商品の代金の和が支払った代金です。このことから「各商品の代金の和=支払った代金」という関係が分かります。
(各商品の代金の和)=(支払った代金)
⇒ 式の形は等式(方程式)
ここで左辺に注目すると、左辺は代金の和です。和は2つ以上の数量を加算したものなので、商品ごとの代金を加算したものになります。
商品の代金は「1個の値段×個数」で求めることができます。文章中から1個の値段や個数を探します。商品ごとに代金を求めてそれらの和を取れば、これが左辺の数量になります。
(各商品の代金の和) = (商品Aの代金) + (商品Bの代金) +…
⇒ 左辺は和だから多項式で1つのかたまり
購入金額の和のように、立式すると多項式になる場合があります。このような場合、いきなり商品1つ1つに目を向けると、上手に立式できないことがあります。
そうならないためには、「式全体から左辺または右辺」というように、「全体から部分へ」を意識して立式しましょう。
また、意外と盲点なのが、両辺の単位は同じであることです。
例に挙げた買い物の場合、左辺の購入金額の和も右辺の支払った金額も単位は円です。単位のある問題では、両辺の単位を確認するとミスに気付けます。物理や化学でも重宝するので覚えておくと良いでしょう。
文章中に必ず立式できるだけのヒントが提示されている。あとは読み手が見落とさずに拾い上げられるかどうか。
次は一次不等式を扱った文章問題を実際に解いてみましょう。