運用力を鍛える英文法基礎【第2回】

01/27/2020英文法英文法,第2文型,補語,名詞,形容詞

運用力を鍛える英文法

大学別の個別試験のような記述形式の試験では、いくら知識があっても、その運用力がなければ上手くいきません。センター試験から共通テストに変わって、思考力・表現力・判断力を問われる問題がより一層増えることが考えられます。

これからの受験生にとって、運用力は大切な能力となるでしょう。応用力のある人は、知識を適切に運用できる運用力をもつ人のことです。たくさんの知識を蓄え、それを適切に運用できる応用力のある人になりましょう!

文法的に誤りのある英文を訂正してみよう

次の英文は、問題のない英文に見えます。しかし、文法的な誤りがあります。どこに文法的な誤りがあるのか分かるでしょうか。また、文法的に正しい英文に訂正できるでしょうか。

【問2】日本語訳を参考に、次の英文の文法的な誤りを直しなさい。

She smiled bitterly because the coffee tasted bitterly.

「彼女が苦々しそうに笑ったのは、コーヒーが苦かったからだ」

※英文には文法的な誤りがあります

誤文訂正に必要な知識

少なくともこの問題を解くのに必要な知識は以下の通りです。

  • 第2文型(SVC)
  • 第2文型(SVC)をとる動詞

第2文型(SVC)

第2文型(SVC)は、主語(S)、述語動詞(V)、補語(C)の3つの要素から成ります。

述語動詞(V)となる動詞は、自動詞(Vi)です。自動詞(Vi)は、その後ろに目的語(O)をとらない動詞です。ただ、第2文型(SVC)のように、後ろに補語(C)を必要とする場合があります。

第2文型(SVC)のように、補語(C)を必要とする自動詞(Vi)のことを不完全自動詞と言います。それに対して、第1文型(SV)のように、補語(C)を必要としない自動詞(Vi)のことを完全自動詞と言います。

完全自動詞と不完全自動詞

  • 完全自動詞:後ろに目的語(O)をとらず、補語(C)も必要としない動詞
  • 不完全自動詞:後ろに補語(C)をとらないが、補語(C)を必要とする動詞

補語(C)となる品詞には、名詞形容詞、それに準ずる語句などがあります。補語(C)は、主語(S)や目的語(O)を補足説明する働きを持っています。

補語(C)が主語(S)の補足説明をするので、第2文型(SVC)では意味の上で「S=C」が成り立ちます。このことを知っておくと、日本語訳を考えるときに重宝します。

第2文型(SVC)をとる動詞

第2文型(SVC)をとる動詞の筆頭は「be 動詞」です。be 動詞は第1文型(SV)もとります。be 動詞を見たら、第1文型(SV)か第2文型(SVC)のどちらかだと考えて良いでしょう。

be 動詞以外の一般動詞であれば、以下のような動詞があります。

SVCの意味(訳し方)主な動詞
Cになるbecome, come, fall, get, go, grow, turn
Cの感じがするfeel, look, smell, sound, taste
Cのままであるkeep, remain, stay
Cに思われる(見える)seem, appear
Cだとわかるprove, turn out

第2文型(SVC)では意味の上で「S=C」が成り立つので、例に挙げた一般動詞を be 動詞に置き換えても文が成り立つという特徴があります。

ですから、動詞の細かいニュアンスは異なりますが、SVCの意味で訳しても不自然にはなりません。一覧表にある5パターンの意味で訳せるようにしておけば良いでしょう。

第2文型(SVC)

意味の上で「S=C」が成り立つ。述語動詞(V)によらず、決まったパターンで訳せる。

「S=C」を意識しよう

第2文型(SVC)は単純な文型ですが、日本語訳に引っ張られるとよく間違えます。英作文ではよく見られる失敗です。

第2文型(SVC)で書かれた英文の間違い例

「私の仕事はコンピュータ技師です」

× My job is a computer engineer.

第2文型(SVC)で書かれた英文です。間違い例のように日本語訳からそのまま英作すると、不自然な英文になります。英作文などの問題では、意図的に出題されているので気を付けましょう。

主語(S)と補語(C)の意味上の関係を考えると、「仕事=技師」となってしまいます。仕事は物で、技師は人なので、イコールの関係にはなりません。正しくは以下のようになります。

例文の訂正例

「私の仕事はコンピュータ技師です」

I’m a computer engineer.

訂正例の要素

I / am / a computer engineer.

私は / = / コンピュータ技師

  • S+Vi+C:第2文型(SVC)
  • 主語(S):I
  • 述語動詞(Vi):am
  • 補語(C):a computer engineer

「仕事=技師」ではなく、「私=技師」です。英語を苦手とする人は、基本的に日本語の土俵で英語を考えがちです。そうではなく、英語に日本語を合わせることが大切です。

英作文の上達には国語力が必要

「私の仕事はコンピュータ技師です」は日本語では通じる表現ですが、そのまま英文にすると通じません。そこで英文にする前に「私はコンピュータ技師です」という日本語訳に修正する必要があります。つまり、日本語訳そのままでは英文に適さない場合があるということです。

言われてみれば納得できますが、意外と引っ掛かりやすいと思います。英作文を上達させるには「国語の力も必要」と言われるのが良く分かります。

主述が対応していない、あいまいな表現の日本語であっても、日常生活ではあまり問題になりません。相手が汲み取ってくれるからかもしれません。しかし、それに慣れてしまうと厄介です。

慣れを防ぐには、たとえば現代文(特に評論)の学習に積極的に取り組んで、論理的に読む訓練をした方が良いでしょう。訓練中、間違ってもフィーリングで読んだり、書いたりしないようにしましょう。

「~しに行く」の表現

第2文型(SVC)とは直接関係ありませんが、述語動詞(V)が動詞「go」となるときの話です。動詞「go」を述語動詞(V)として、その後ろに現在分詞「~ing」を伴う表現があります。

主に娯楽や趣味で出かけるときに用いられる表現で、「~しに行く」という意味になります。たとえば、「go shopping」であれば、「買い物に行く」という意味です。

もともとは go [ somewhere ] for ~ing(~するためにどこかへ行く)のように、前置詞「for」に続く動名詞だった形の名残りです。かつては動名詞でしたが、前置詞が省かれている現在は、慣用句に使われている現在分詞と見なされるようです。

現在分詞は形容詞に相当するので、現在分詞句は補語(C)として働いていると考えられます。そうなると第2文型(SVC)の英文だと解釈できます。

ただ、現在では慣用句としての扱いなので、「go+~ing」で1つの動詞扱いされています。もちろん、現在分詞句と考えても問題ありませんが、わざわざ慣用句を分解する必要はないでしょう。

この表現で注意したいのは、現在分詞の後にある前置詞です。例文を見てみましょう。

「go+~ing」の例文

「湖へスケートをしに出掛けた」

a) He went skating to the lake.(※文法的な誤りがあります)

「湖へ泳ぎに出掛けた」

b) He went swimming to the lake.(※文法的な誤りがあります)

どちらの例文でも現在分詞の後に前置詞「to」を使っています。日本語訳から「湖へ出掛けた」と考えれば良さそうな気がします。しかし、この前置詞の使い方は間違っています。要素を考えてみると分かります。

例文 a) の要素

「湖へスケートをしに出掛けた」

He / went skating / ( to the lake ).(※文法的な誤りがあります)

He / went / skating to the lake. (※文法的な誤りがあります)

例文 b) の要素

「湖へ泳ぎに出掛けた」

He / went swimming / ( to the lake ).(※文法的な誤りがあります)

He / went / swimming to the lake.(※文法的な誤りがあります)

「慣用句を意識したもの」と「現在分詞句を意識したもの」の2つの解釈を挙げました。基本的には慣用句の方で良いでしょう。ただ、現在分詞句を意識した方が、文法的な誤りに気付きやすいので、上述した背景について知っておいて損はありません。

日本語訳の意味をもう少し考えてみると、スケートは凍った湖の上でするもので、泳ぎは湖の中に入ってするものです。

このことを踏まえると、「湖へスケートをしに出掛けた」は「湖の上でスケートをするために出かけた」という意味で、「湖へ泳ぎに出掛けた」は「湖の中で泳ぐために出かけた」という意味であることが分かります。

正しくは以下の通りです。

例文 a) の訂正例

He / went skating / ( on the lake ).

彼は / スケートをし(するため)に出掛けた /(湖の上で)

  • S+Vi+(M):第1文型(SV)+(M)
  • 主語(S):He
  • 述語動詞(Vi):went skating
  • 副詞的修飾句(M):on the lake

例文 b) の要素

He / went swimming / ( in the lake ).

彼は / 泳ぎ(泳ぐため)に出掛けた /(湖の中で)

  • S+Vi+(M):第1文型(SV)+(M)
  • 主語(S):He
  • 述語動詞(Vi):went swimming
  • 副詞的修飾句(M):in the lake

「~しに行く」を「~行く」と勘違いして「go to ~」を思い浮かべてしまうと間違ってしまいます。「~しに行く」という表現では、「skating」や「swimming」などの活動に合わせて前置詞を決めましょう

「go+~ing」の表現

  • go+[ camping / fishing / jogging / skiing / skating / swimming ]+前置詞句
  • 活動を表す「~ing」に合わせて前置詞を決める。

予備知識を確認したので、英文の文法的な誤りを訂正してみましょう。