運用力を鍛える英文法基礎【第3回】
問3の訂正例
【問3】日本語訳を参考に、次の英文の文法的な誤りを直しなさい。
Don’t forget locking the door behind you.
「あなたの後ろの扉の鍵をかけるのを忘れないでください」
※英文には文法的な誤りがあります
問3の英文では、述語動詞(V)は動詞「forget」です。forget は、命令文なので原形です。命令文は主語(S)のない英文なので注意しましょう。
forget は自動詞(Vi)と他動詞(Vt)の両方の用法があります。ここでは、後ろに動名詞をとるので、他動詞(Vt)の用法だと考えることができます。
また、forget は目的語(O)に動名詞と不定詞の両方をとることができます。ただし、意味が変わります。不定詞は「これからすること(する予定だったこと)」を表し、動名詞は「すでにしたこと」を表します。
不定詞は未来志向的、動名詞は事実志向的
日本語訳から、これからする予定の意味だと分かるので、問3の英文を文法的に正しい英文に直すと以下のようになります。
問3の訂正例
× Don’t forget locking the door behind you.
〇 Don’t forget to lock the door behind you.
「あなたの後ろの扉の鍵をかけるのを忘れないでください」
動名詞を不定詞に修正します。また、訂正例の要素を考えると、以下のようになります。
訂正例の要素
Don’t forget / to lock the door ( behind you ).
忘れないでください / 扉の鍵をかけるのを(あなたの後ろの)
- Don’t+Vt+O:第3文型(SVO)の命令文
- 主語(S):なし
- 述語動詞(Vt):Don’t forget
- 目的語(O):to lock the door ( behind you )【不定詞句・名詞的用法】
- 形容詞的修飾句:behind you【the door を修飾】
目的語(O)は、不定詞の名詞的用法による名詞句です。不定詞の表現によって、動詞「lock」という動作に向かっていくニュアンスになります。
不定詞による名詞句だけを見ると、lock が他動詞で、その目的語が the door behind you です。the door behind you では、 形容詞的修飾句「behind you」が the door を修飾しています。
to lock / the door [ behind you ]【他動詞+目的語+目的語の修飾語句】
鍵をする / 扉に[どこの?あなたの後ろの]
⇒ あなたの後ろの扉に鍵をする
behind you は「前置詞+代名詞」の前置詞句です。前置詞句は、形容詞と同じ働きをすることができます。
返り読みだと長文読解では時間が掛かります。英文法が身についてくると、前からそのまま読んでいけるようになります。前から読むのは速読のために必要なのでマスターしておきましょう。
不定詞と動名詞で意味が異なる動詞のまとめ
不定詞と動名詞で意味が異なる動詞については、すでに扱っていますが、それも含めてまとめておきます。以下の3パターンに整理して覚えると良いでしょう。
① remember タイプ(動名詞:事実志向的・不定詞:未来志向的)
- remember doing「~したことを覚えている」
- remember to do「~することを覚えておく(忘れずに~する)」
- forget doing「~したことを忘れる」
- forget to do「~することを忘れる」
- regret doing「~したことを後悔している」
- regret to do「残念ながら~する」
② need タイプ(動名詞:受動・不定詞:能動)
- need doing「~される必要がある」(= need to be done)
- need to do「~する必要がある」
- want doing「~される必要がある」(= need doing)
- want to do「~したいと思う」
- deserve doing「~されるだけの価値がある」(= deserve to be done)
- deserve to do「~する価値がある(~してもおかしくない)」
③ その他
- try doing「試しに~してみる」
- try to do「~しようと努力する」
- mean doing「~することを意味する」
- mean to do「~するつもりである」(= intend to do)
- go on doing「~し続ける」
- go on to do「さらに続けて~する」(=proceed to do)
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文型や語法についての解説がある辞書を使おう
文法の知識は文法書で身に付けられますが、あくまでも原理原則です。個別の単語については説明不足の場合があります。そんなときに辞書があります。
辞書にも扱いやすいものとそうでないものがあります。それは個々人がもつ知識の量が原因です。高校英語の初学者だと、十分な語彙力とは言えないので、できるだけ多くの情報をまとめた辞書を持った方が無難です。
初学者にお勧めの辞書は『ライトハウス英和辞典』です。慣れもあるかもしれませんが、レイアウトがすっきりしていて、とにかく読みやすい辞書です。
語義、熟語、語法なとが分かりやすくまとめてあります。また、類義語との比較もまとめてあるので、細かなニュアンスの違いも知ることができます。
使っていて特に助かるのは、動詞の場合、例文と合わせて文型が示してあることです。 意味に合わせて文型が分かるので、単語の意味を覚えるだけにはなりません。 辞書によっては文型が示されていないので、自分で考えることになります。
個人的には『ライトハウス英和辞典』で必要十分だと思いますが、他の辞書にも独自の良さがあります。自分好みのレイアウトや、収録内容などをよく吟味して購入しましょう。
『コンパスローズ英和辞典』には文型の情報がありませんが、実用的な辞書だと思います。