図形と方程式|2直線の共有点と連立1次方程式の解について

数学2

図形と方程式 直線

2直線の共有点と連立1次方程式の解を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

次の連立方程式

\begin{align*} \quad \left\{ \begin{array}{l} 3x-2y+4=0 \\ ax+3y+c=0 \end{array} \right. \end{align*}

の解が、次のようになるための条件を求めよ。

$\quad (1) \quad$ ただ $1$ 組の解をもつ

$\quad (2) \quad$ 解をもたない

$\quad (3) \quad$ 無数の解をもつ

問(1)の解答・解説

問(1)

次の連立方程式

\begin{align*} \quad \left\{ \begin{array}{l} 3x-2y+4=0 \\ ax+3y+c=0 \end{array} \right. \end{align*}

の解が、次のようになるための条件を求めよ。

$\quad$ ただ $1$ 組の解をもつ

例題と同じように、直線という文言が出てきていません。与えられた方程式を直線の方程式と捉えることが大切です。

与えられた方程式を変形して、傾きと切片が分かるようにします。

問(1)の解答例 1⃣

\begin{align*} \quad \left\{ \begin{array}{l} 3x-2y+4=0 \\ ax+3y+c=0 \end{array} \right. \end{align*}

与えられた方程式を変形すると

\begin{align*} &\quad y=\frac{3}{2}x+2 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad y=-\frac{a}{3}x-\frac{c}{3} \quad \cdots \text{②} \end{align*}

連立方程式①,②がただ1組の解をもてば、直線①,②は1点で交わります。2直線が1点で交わるのは、2直線の傾きが一致していないときです。

2直線の傾きが一致しないということは、言い換えると2直線が平行でないということです。

問(1)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad y=\frac{3}{2}x+2 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad y=-\frac{a}{3}x-\frac{c}{3} \quad \cdots \text{②} \end{align*}

連立方程式①,②がただ $1$ 組の解をもつための条件は、直線①,②が $1$ 点で交わる、すなわち、平行でないことである。

よって

\begin{align*} \quad -\frac{a}{3} \neq \frac{3}{2} \end{align*}

すなわち

\begin{align*} \quad a \neq -\frac{9}{2} \end{align*}

一般形での2直線の平行条件を利用した方がすっきり解けます。

問(1)の別解例

\begin{align*} \quad \left\{ \begin{array}{l} 3x-2y+4=0 \\ ax+3y+c=0 \end{array} \right. \end{align*}

連立方程式がただ $1$ 組の解をもつための条件は、$2$ 直線の平行条件を満たさないことである。

よって

\begin{align*} \quad 3 \cdot 3-a \cdot \left(-2 \right) \neq 0 \end{align*}

これを解くと

\begin{align*} \quad a \neq -\frac{9}{2} \end{align*}

直線の方程式を一般形のままで扱えるようになっておくと、答案作成も楽になります。

2直線が1点で交わる=2直線が平行でない

問(2)の解答・解説

問(2)

次の連立方程式

\begin{align*} \quad \left\{ \begin{array}{l} 3x-2y+4=0 \\ ax+3y+c=0 \end{array} \right. \end{align*}

の解が、次のようになるための条件を求めよ。

$\quad$ 解をもたない

例題(2)と同じ要領で解きます。直線の方程式については、問(1)の結果を利用します。

問(2)の解答例 1⃣

$(1)$ より

\begin{align*} &\quad y=\frac{3}{2}x+2 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad y=-\frac{a}{3}x-\frac{c}{3} \quad \cdots \text{②} \end{align*}

連立方程式①,②が解をもたなければ、直線①,②は平行で一致しません。2直線が平行であるための条件は傾きが一致することです。

ただし、2直線が平行だからと言って、一致してはいけません。2直線が一致しないために切片の条件も考えます。これを踏まえて解答例の続きを記述します。

問(2)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad y=\frac{3}{2}x+2 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad y=-\frac{a}{3}x-\frac{c}{3} \quad \cdots \text{②} \end{align*}

連立方程式①,②が解をもたないための条件は、直線①,②が平行で一致しないことである。

よって

\begin{align*} \quad -\frac{a}{3} = \frac{3}{2} \quad \text{かつ} \quad -\frac{c}{3} \neq 2 \end{align*}

すなわち

\begin{align*} \quad a = -\frac{9}{2} \quad \text{かつ} \quad c \neq -6 \end{align*}

したがって

\begin{align*} \quad a = -\frac{9}{2} \ , \ c \neq -6 \end{align*}

2直線が平行で一致しない=傾きは一致、切片は一致しない

問(3)の解答・解説

問(3)

次の連立方程式

\begin{align*} \quad \left\{ \begin{array}{l} 3x-2y+4=0 \\ ax+3y+c=0 \end{array} \right. \end{align*}

の解が、次のようになるための条件を求めよ。

$\quad$ 無数の解をもつ

例題(3)と同じ要領で解きます。直線の方程式については、問(1)の結果を利用します。

問(3)の解答例 1⃣

$(1)$ より

\begin{align*} &\quad y=\frac{3}{2}x+2 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad y=-\frac{a}{3}x-\frac{c}{3} \quad \cdots \text{②} \end{align*}

連立方程式①,②が無数の解をもてば、直線①,②が一致します。2直線が一致するための条件は、傾きと切片が一致することです。これを踏まえて解答例の続きを記述します。

問(3)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad y=\frac{3}{2}x+2 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad y=-\frac{a}{3}x-\frac{c}{3} \quad \cdots \text{②} \end{align*}

連立方程式①,②が無数の解をもつための条件は、直線①,②が一致することである。

よって

\begin{align*} \quad -\frac{a}{3} = \frac{3}{2} \quad \text{かつ} \quad -\frac{c}{3} = 2 \end{align*}

すなわち

\begin{align*} \quad a = -\frac{9}{2} \quad \text{かつ} \quad c = -6 \end{align*}

したがって

\begin{align*} \quad a = -\frac{9}{2} \ , \ c = -6 \end{align*}

2直線が一致 = 傾きも切片も一致

なお、一般形のままで2直線が一致するための条件を利用することもできます。

問(3)の別解例

\begin{align*} \quad \left\{ \begin{array}{l} 3x-2y+4=0 \\ ax+3y+c=0 \end{array} \right. \end{align*}

連立方程式が無数の解をもつための条件は、$2$ 直線が一致することである。

よって

\begin{align*} \quad \frac{a}{3} = \frac{3}{-2} \quad \text{かつ} \quad \frac{3}{-2}=\frac{c}{4} \end{align*}

すなわち

\begin{align*} \quad a = -\frac{9}{2} \quad \text{かつ} \quad c = -6 \end{align*}

したがって

\begin{align*} \quad a = -\frac{9}{2} \ , \ c = -6 \end{align*}

条件を利用するとき、分母に文字が含まれないように分数を作るのがコツです。

問では方程式①の係数がすべて分かっているので、それらが分母になるようにしています。

2直線が一致するための条件

$2$ 直線の方程式を

\begin{align*} &\quad a_{1}x+b_{1}y+c_{1}=0 \\[ 7pt ] &\quad a_{2}x+b_{2}y+c_{2}=0 \end{align*}

とするとき、$2$ 直線が一致するための条件は

\begin{align*} \quad \frac{a_{1}}{a_{2}}=\frac{b_{1}}{b_{2}}=\frac{c_{1}}{c_{2}} \end{align*}

ただし、$a_{2} \neq 0 \ , \ b_{2} \neq 0 \ , \ c_{2} \neq 0$

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さいごにもう一度まとめ

  • 2直線の共有点の個数と連立1次方程式の解の個数は一致する。
  • 2直線が1点で交われば、2直線は平行でない(傾きは一致しない)。
  • 2直線が平行であれば、傾きが一致する。
  • 2直線が平行で一致しなければ、傾きは一致するが切片は一致しない。
  • 2直線が一致すれば、傾きも切片も一致する。