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複素数と方程式|2乗すると○○になる複素数について

数学2

2乗すると指定された数になる複素数を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

2 乗すると i になるような複素数z=x+yix , y は実数)はちょうど 2 つ存在する。この z を求めよ。

例題と同じ要領で解きます。複素数の相等を利用するので、実部と虚部の条件に気を付けましょう。

問の解答・解説

題意に沿って等式を立式します。

問の解答例 1⃣

z を 2 乗すると i となるのでz2=i

この等式の左辺に与式を代入し、左辺を虚数単位について整理します。

問の解答例 2⃣

z2=iここで、z=x+yi より(x+yi)2=iよってx2y2+2xyi=i

複素数を求めるためには、実部と虚部を求めれば良いので、複素数の相等を利用します。このとき、実部と虚部がともに実数であることを断っておきましょう。

問の解答例 3⃣

x2y2+2xyi=ix , y は実数であるので、x2y2 , 2xy も実数である。よってx2y2=02xy=1

複素数の相等を利用して実部と虚部を比較すると、実数x,yについての方程式が2つ得られます。これらを連立させて解きます。

問の解答例 4⃣

x2y2=02xy=1①より(x+y)(xy)=0よってx=±yすなわちy=±x

①式を実数xについての2次方程式と考えると因数分解できます。すると、実数xの解±yが得られます。②式に代入したとき、実数yを消去したいので、最後に手を加えてyについて変形しています。

①式で得られた結果は2通りあるので、場合分けして②式に代入します。

問の解答例 5⃣

y=±xy=x のとき、②より2x2=1よってx=±12これより、x=12 のときy=12x=12 のときy=12また、y=x のとき、②より2x2=1これを満たす実数 x は存在しない。したがって、求める複素数はz=12+12i , 1212i

②式に代入すると、実数xの値が2つ得られるので、ここでも場合分けして実数yの値を求めます。

平方根が出てきますが、平方根も実数です。自分で等式を立式する必要がありますが、複素数の相等を扱った問題とほとんど変わりません。

連立方程式を代入法で解いたとき

例題の別解例のように、代入法を利用して連立方程式を解いてみましょう。

問の別解例 1⃣

x2y2=02xy=1②より x0 であるのでy=12xこれを①に代入するとx2(12x)2=0よって4x41=0

分母を払うと、4次方程式が得られます。

問の別解例 2⃣

4x41=0これを解くと(2x2+1)(2x21)=0(2x+1)(2x1)(2x2+1)=02x2+10 よりx=±12x=12 のときy=121x =122 =12x=12 のときy=121x =12(2) =12したがって、求める複素数はz=12+12i , 1212i

係数が平方根になりますが、実数の範囲での因数分解を学習していれば問題ないはずです。

複号同順について

なお、求めた複素数の表記をまとめることができます。この場合、複号同順ということばを添えておきましょう。問の解答例であれば以下のようになります。

2つの複素数をまとめて記述する

z=12+12i , 1212iこれをまとめて表すとz=±12±12i(複号同順)またはz=±(12+12i)(複号同順)

複号同順は、数字が同じで符号が異なるときに利用できる表記です。

たとえば、+A+Bと-A-Bの場合、A,Bは同じですが、符号の組合せが異なります。2組の符号の組合せが分かるように、1つにまとめて±A±Bと記述します。符号の組合せは、上に並んだ組(+と+)と下に並んだ組(-と-)です。

他の例を挙げると、もし2つの複素数が+A-Bと-A+Bであれば、±A∓Bとまとめて記述できます。

座標と同じような表記をすることもできます。色々な表記の仕方があるので、覚えておきましょう。

複号同順

x=2 のときy=2x=2 のときy=2を座標のように(x , y)=(2 , 2) , (2 , 2)と書くことがある。さらに、この場合を(x , y)=(±2 , ±2)(複号同順)と書くことがある。

複号同順の表記を覚えると、読みやすい答案の作成に役立ちます。

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さいごにもう一度まとめ

  • 複素数を2乗するとき、虚数単位の扱いに注意しよう。
  • 複素数の相等では、実部と虚部がともに実数であることが条件。
  • 少し難しい連立方程式でも解けるように練習しよう。