複素数と方程式|2つの解の関係をもとにした係数の決定について(基本)

2つの解の関係をもとにした係数の決定を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
次の条件を満たす定数 k の値と方程式の解をそれぞれ求めよ。
(1)2 次方程式 x2+kx+4=0 の 1 つの解が他の解の 4 倍
(2)2 次方程式 6x2−kx+k−4=0 の 2 つの解の比が 3:2
(3)2 次方程式 3x2+6x+k−1=0 の 2 つの解の差が 4
問(1)の解答・解説
問(1)
次の条件を満たす定数 k の値と方程式の解をそれぞれ求めよ。
2 次方程式 x2+kx+4=0 の 1 つの解が他の解の 4 倍
例題(1)とほとんど変わりません。2つの解を定義します。一方の解を決めることで、他方の解も決めることができます。
問(1)の解答例 1⃣
2つの解を定義できたので、解と係数の関係を利用します。α,kについての方程式を2つ導くことができます。
問(1)の解答例 2⃣
①,②式を連立して解いて、α,kの値を求めます。②式の方から解きます。
問(1)の解答例 3⃣
②式を満たすαの値には、±1の2通りあります。それぞれの場合に分けて、定数kの値と他の解を求めます。
問(1)の解答例 4⃣
②式は2次方程式なので、αの値は2つあります。場合分けしてkの値を求めましょう。また、他の解も忘れずに求めましょう。
問(2)の解答・解説
問(2)
次の条件を満たす定数 k の値と方程式の解をそれぞれ求めよ。
2 次方程式 6x2−kx+k−4=0 の 2 つの解の比が 3:2
2つの解の表し方で紹介したパターンです。紹介例を参考にして、2つの解を定義します。一方の解が決まると、他方の解も決まります。
問(2)の解答例 1⃣
2つの解を定義できたので、解と係数の関係を利用します。α,kについての方程式を導きます。
問(2)の解答例 1⃣
解と係数の関係を利用するとき、定数項が多項式k-4であることに注意しましょう。
①,②式を連立して解いて、α,kの値を求めます。これまでと異なるのは、片方の方程式だけでαの値を求めることができないことです。
どちらの方程式も2種類の文字を含むので、加減法または代入法を利用して、αとkのどちらかを消去します。ここでは、加減法だと上手くいかないので、代入法を利用します。
問(2)の解答例 2⃣
kについての2次方程式を導くことができました。もちろん、αについての方程式を導いても構いません。
新たに得られた2次方程式を解きます。
問(2)の解答例 3⃣
kについての2次方程式の解は5,20です。それぞれの場合に分けて、αの値と2つの解を求めます。
問(2)の解答例 4⃣
2つの解の比が3:2になっていることを確認しましょう。
問(2)で気を付けたいのは、2つの解を求めるときです。αの値が分かっても、それが解ではないからです。αをそれぞれ3倍、2倍したものが解になります。
αの値が分かっても、それがどちらの解でもない場合がある。
問(3)の解答・解説
問(3)
次の条件を満たす定数 k の値と方程式の解をそれぞれ求めよ。
2 次方程式 3x2+6x+k−1=0 の 2 つの解の差が 4
2つの解の表し方で紹介したパターンです。紹介例を参考にして、2つの解を定義します。
問(3)の解答例 1⃣
2つの解を定義できたので、解と係数の関係を利用します。α,kについての方程式を導きます。
問(3)の解答例 2⃣
解と係数の関係を利用するとき、定数項が多項式k-1であることに注意しましょう。
①,②式を連立して解いて、α,kの値を求めます。①式の方から解きます。
問(3)の解答例 3⃣
α,kの値が分かったので、他の解を求めます。
問(3)の解答例 4⃣
αの値が分かっても、2次方程式の解でないことがあるので注意しましょう。
2つの解の関係には色々なパターンがありますが、基本的な流れは変わりません。せいぜい計算の中身が変わる程度です。
2つの解の関係から係数を決定する手順は以下の通りです。
2つの解の関係から係数を決定する手順
- 2つの解を定義する。
- 解と係数の関係を利用して方程式を導く。
- 連立方程式を解く。
- 解は定義したものを使って求める。
自分なりに覚えやすい表現を使って箇条書きにすると覚えやすくなります。
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さいごにもう一度まとめ
- 2つの解の関係が分かっていれば、できるだけ1種類の文字で2つの解を表す。
- 2つの解を定義したら、解と係数の関係を利用して方程式を導く。
- 2つの解を求めるとき、自分で定義した解を確認しよう。
- 2つの解の表し方にはパターンがあるので、きちんと覚えておこう。
- 2つの解の関係を満たす解の組合せは、1組だけとは限らない。