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式と証明|部分分数への分解について

数学2

数学2 式と証明

今回は部分分数への分解について学習しましょう。

部分分数は、この後に学習する恒等式や数列の単元でも扱われます。特に、数列ではよく利用するので、しっかりマスターしておきましょう。

部分分数

部分分数とは、1つの分数式から分解された、2つ以上の分数式のことです。このような部分分数を分解すると、1つの分数式が2つ以上の分数式の和として表されます。分解後の1つ1つの分数式は、それ以上、簡単にできません。

たとえば、以下のような式への変形が、部分分数に分解したものです。

部分分数への分解の一例

(1)1(n+1)(n+2)=1n+11n+2(2)2x1x(x1)=1x+1x1

例から分かるように、1つの分数式から2つの分数式に分解されています。分解後の分数式を部分分数と言います。

部分分数に分解するためには、分母が因数分解されていることが条件です。

また、2つ以上の部分分数の和として表すと言っても、例(1)のように、分数式の差とも言える、正の数と負の数の和の場合もあるので注意しましょう。

1つの分数式を複数の部分分数の和に分解するので、単項式から多項式へ変形することになります。項の数が増えてしまうのが欠点と言えるかもしれません。

しかし、部分分数への分解を利用することで、計算がとても簡単になります。

分数式を部分分数に分解する

部分分数を扱った計算の一例を確認してみましょう。

例題

次の計算をせよ。(1)1ba(1x+a1x+b)(2)1n(n+1)+1(n+1)(n+2)+1(n+2)(n+3)

例題(1)の計算例

例題(1)

次の計算をせよ。1ba(1x+a1x+b)

例題(1)は、複数の分数式を1つにまとめる問題です。カッコ内の2つの分数式を通分すれば、1つの分数式にまとめることができます。

カッコの中の計算を優先します。通分して1つの分数式にまとめます。

例題(1)の解答例

1ba(1x+a1x+b)= 1ba{1(x+b)(x+a)(x+b)1(x+a)x+b}= 1ba((x+b)(x+a)(x+a)(x+b))= 1baba(x+a)(x+b)= 1(x+a)(x+b)

特に難しい計算ではありません。最後に約分するのを忘れないようにしましょう。

部分分数に分解するとき、ほとんどが例題(1)の形になっています。ですから、この形になっていれば、まずは変形してみましょう。

この形は頻出なので、基本的な公式として覚えておくと良いでしょう。

部分分数の公式

1(x+a)(x+b)=1ba(1x+a1x+b)ただし、ab のとき

ここでの目標は部分分数に分解できるようになることなので、与式としては左辺の分数式が与えられます。

数列では、この形の分数式をよく扱う。覚えておこう。

例題(2)の計算例

例題(2)

次の計算をせよ。1n(n+1)+1(n+1)(n+2)+1(n+2)(n+3)

例題(2)は、与式の各項を部分分数に分解する問題です。先ほどの例題(1)の結果を利用すると、簡単に分解できます。

公式のx,a,bがそれぞれ何に置き換わっているかを把握しましょう。

部分分数の公式

1(x+a)(x+b)=1ba(1x+a1x+b)ただし、ab のとき

公式との対応関係が分かったら、各項を変形して、与式を整理しましょう。

例題(2)の解答例 1⃣

1n(n+1)=110(1n1n+1)=1n1n+11(n+1)(n+2)=121(1n+11n+2)=1n+11n+21(n+2)(n+3)=132(1n+21n+3)=1n+21n+3

より、与式を計算すると

1n(n+1)+1(n+1)(n+2)+1(n+2)(n+3)= 1n1n+1+1n+11n+2+1n+21n+3= 1n1n+3

部分分数を扱った計算では、n(n+1)のように、分母が隣り合う2数の積であることが多いのが特徴です。

このような分母であれば、一般に、小さい方nを前の分数式の分母に、大きい方(n+1)を後ろの分数式の分母にして分解します。

部分分数に分解すると、絶対値が同じで異符号の分数式ができます。整理すると、結局、最初と最後の分数式だけが残ります。

もちろん、通分しても計算できますが、分数式が多くなると、部分分数に分解した方が計算しやすいです。工夫することによって、簡単に計算できる良い例です。なお、例題(2)も数列の単元でよく用いられます。

公式は使いこなしてこそ。覚えることが目的ではない。

最後に2つの分数式を通分して、1つの分数式にまとめます。

例題(2)の解答例 2⃣

1n(n+1)+1(n+1)(n+2)+1(n+2)(n+3)= 1n1n+3= 1(n+3)n(n+3)1nn(n+3)= n+3nn(n+3)= 3n(n+3)

次は、部分分数への分解を扱った問題を実際に解いてみましょう。