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複素数と方程式|複素数の加法・減法・乗法について

数学2

今回は、複素数の加法・減法・乗法について学習しましょう。特別に難しい計算ではないので、演習を繰り返してしっかりとマスターしましょう。

複素数の計算

前回の記事で、複素数に関する用語やその定義について学習しました。虚数単位iを用いることによって、虚数であっても実数部分を虚部という形で分離することができました。

このように、実数部分をはっきりさせることによって、複素数も実数と同じような扱いをすることができます。たとえば、四則計算がそれに当たります。

複素数の四則計算

複素数の四則計算、特に乗法除法では、虚数単位iの定義をよく用いるので、しっかりと覚えておく必要があります。

虚数単位の定義

虚数単位を i とするとi2=1を満たす。

複素数を扱う場合、実数以外では、必ず虚数単位iが出てきます。ですから、虚数単位の定義を絶対に覚えておかなければなりません。

このように虚数単位を含む複素数の四則計算では、虚数単位iを文字xなどと同等に考えて、これまでと同じ要領で計算します。

虚数単位iを文字と考えて計算しよう。

複素数の加法・減法・乗法

ここでは、四則計算のうち、加法・減法・乗法について解説します。一般に、以下のように表されます。

複素数の加法・減法・乗法

a , b , c , d を実数、i を虚数単位とする。加法(a+bi)+(c+di)=(a+c)+(b+d)i減法(a+bi)(c+di)=(ac)+(bd)i乗法(a+bi)(c+di)=(acbd)+(ad+bc)i

加法と減法では、実部どうし、虚部どうしをそれぞれ加減算します。複素数を文字iについての1次式と捉えれば、同類項の整理と同じ感覚で計算できます。

また、乗法では、これまでの文字式の展開と同じように、分配法則乗法公式で展開します。ただし、虚数単位iの扱いには慣れが必要なので注意しましょう。展開後は、実部どうし、虚部どうしをそれぞれ加減算します。

複素数の加法・減法・乗法では、上式から分かるように、複素数の和・差・積(商も同様)も複素数となります。

さらに、複素数の乗法について、以下のような関係が成り立ちます。

複素数の乗法

α , β を複素数とする。αβ=0ならばα=0 または β=0

2つの数や式の積が0となることから得られる関係は、2次方程式の解法で学習済みです。

共役な複素数

複素数では、特別な関係にあるものがあります。それらを共役な複素数と言います。

共役な複素数

2 つの複素数a+bi , abiを互いに共役な複素数という。なお、複素数 α と共役な複素数を¯α で表す。

共役な複素数では、実部は全く同じですが、虚部の符号が異なります。このような共役な複素数の和と積は、独特の性質を持ちます。

共役な複素数の和と積

a , b , c , d を実数、i を虚数単位とする。(a+bi)+(abi)=2a(a+bi)(abi)=a2+b2

計算結果から分かるように、共役な複素数の和と積はともに実数となります。

いくつか式を紹介しましたが、複素数の加法・減法・乗法の式を覚えていなくても計算できないわけではありません。ただし、計算の煩雑さや時間短縮がどうしても気になる場合、やはり覚えておいた方が良いでしょう。

複素数の和や積を求めてみよう

ここで、理解度を確認するために、共役な複素数の計算を考えてみましょう。

例題

次の複素数と、それぞれに共役な複素数との和、積を求めよ。

(1)35i(2)2(3)4i

例題の解答・解説

まず、それぞれに共役な複素数を考えます。ここで間違うと、和と積も間違うので注意しましょう。

例題の解答例 1⃣

共役な複素数を考えると

(1)35i と共役な複素数は 3+5i

(2)2 と共役な複素数は 2

(3)4i と共役な複素数は 4i

(2),(3)の間違いが多いかもしれません。詳しくは以下のように考えます。

共役な複素数を考えるときのコツ

複素数の定義から (2) は2=2+0iよって、共役な複素数は20i=2同様に (3) は4i=0+4iよって、共役な複素数は04i=4i

あとは、先ほどの和と積の式に当てはめて計算します。

例題の解答例 2⃣

公式に当てはめると

(1) の和と積和:(35i)+(3+5i)=23=6積:(35i)(3+5i)=32+52=34(2) の和と積和:(2)+(2)=2(2)=4積:(2)(2)=(2)2+02=4(3) の和と積和:(4i)+(4i)=20=0積:(4i)(4i)=02+42=16

すべての和と積が実数になっていることを確認しましょう。

次は、複素数の加法・減法・乗法を扱った問題を実際に解いてみましょう。