運用力を鍛える英文法基礎【第2回】

英文法

運用力を鍛える英文法

問2の訂正例

【問2】日本語訳を参考に、次の英文の文法的な誤りを直しなさい。

She smiled bitterly because the coffee tasted bitterly.

「彼女が苦々しそうに笑ったのは、コーヒーが苦かったからだ」

※英文には文法的な誤りがあります

問2の英文では、従位接続詞「because」の前後に節が2つあります。ですから、述語動詞(V)は主節の「smiled」と従属節の「tasted」です。

smiled は、原形が smile の過去形です。smile は「微笑する、にっこりする」という意味では自動詞(Vi)として用いられます。それに対して「微笑して~と示す」や「微笑して~という」などの意味では他動詞(Vt)として用いられます。

tasted は、原形が taste の過去形です。taste は「(物が~の)味がする、(~の)風味がある」という意味では自動詞(Vi)として用いられます。

特に「(物が~の)味がする」という意味では、その後ろに補語(C)を必要とします。それに対して「(飲食物)の味見をする」や「(飲食物)を試食(試飲)する」などの意味では他動詞(Vt)として用いられます。

問2の英文を、文法的に正しい英文に直すと以下のようになります。

問2の訂正例

× She smiled bitterly because the coffee tasted bitterly.

〇 She smiled bitterly because the coffee tasted bitter.

「彼女が苦々しそうに笑ったのは、コーヒーが苦かったからだ」

訂正例の要素を考えると、以下のようになります。「because」の前後で分けて考えます。

訂正例の要素

主節の要素

She / smiled / ( bitterly )

彼女が / 笑った /(苦々しそうに)

  • S+Vi+(M):第1文型(SV)+(M)【主節】
  • 主語(S):She
  • 述語動詞(Vi):smiled
  • 副詞的修飾句(M):bitterly【smiled を修飾】

従属節の要素

[ because ] the coffee / tasted / bitter.

[なぜなら]コーヒーが / 味がしたからだ / 苦い

  • because S+Vi+C:because+第2文型(SVC)【従属節・副詞節】
  • 主語(S):the coffee
  • 述語動詞(Vi):tasted
  • 補語(C):bitter【the coffee = bitter】

(物が~の)味がする」の意味なので、動詞「taste」は、補語(C)をとる自動詞(Vi)として用いられます。副詞「bitterly」では補語(C)にならないので、形容詞「bitter」に修正します。

接続詞の働き

問2の英文には、接続詞「because」が出てきました。接続詞は、語と語、句と句、節と節などをつなぐ働きをする品詞です。

接続詞単体では英文の要素になりません。しかし、接続詞以下の部分が名詞節になったり、形容詞節になったりするので、カタマリ全体で見れば英文の要素になることがあります。

接続詞と節の関係
  • 接続詞があれば、節が複数あると考えよう。
  • 述語動詞(V)の個数=節の個数+1

接続詞は、等位接続詞従位接続詞に分類されます。

等位接続詞は、一般に、語と語、句と句、節と節などを等しい立場でつなぎます。それに対して従位接続詞は、主節と従属節と言うように主従関係のある立場でつなぎます。

種類結び付け方
等位接続詞語句や節どうしを対等な関係でつなぐand, but, or
従位接続詞名詞節や副詞節を作るbecause, that, when, if

問2の英文では、2つの節が従位接続詞「because」によってつながれています。because 以下の節が従属節で、because より前の節が主節です。because 以下の節は、主節を修飾する副詞的修飾節、いわゆる副詞節を作っています。

動詞と接続詞を意識しよう

英文を読んだり書いたりするとき、以下の方針で英文を見ていくと少しはましになるかもしれません。

英文の構造を把握してから日本語訳をとろう
  1. 接続詞の有無を確認
  2. 述語動詞(V)を探す
  3. 述語動詞(V)の前の要素は、一般に主語(S)
  4. 述語動詞(V)の後ろの要素は、述語動詞(V)が自動詞(Vi)か他動詞(Vt)かで判断

高校英語では英文の構造が複雑化します。ですから、文法を学習しないと、単語の意味をいくら覚えても上手く訳すことが難しくなります。

英文の構造を考えるとき、真っ先に押さえておくのが動詞接続詞です。この2つに注目すると、英文の構造を把握しやすくなります。

接続詞の有無が分かると、述語動詞(V)、すなわちの数が分かります。節がいくつあるのかを知るのはとても大切です。

述語動詞(V)の特定は、助動詞や時制などを頼りにします。不定詞や動名詞などの準動詞は、述語動詞(V)にならないので注意しましょう。

述語動詞(V)が特定できれば、その前にあるのが主語(S)です。ただし、倒置などの特殊な構文を除きます。

また、述語動詞(V)に続くものは、述語動詞(V)によって決まります。一般に、自動詞(Vi)であれば副詞的修飾語句補語(C)で、他動詞(Vt)であれば目的語(O)です。

動詞は、文型を決めるので、特に重要な品詞です。後ろに続く要素を意識しながら覚えましょう。また、接続詞は句や節などのカタマリを作る品詞です。これらを意識しながら英文を観察しましょう。

動詞と接続詞、この2つだけでも意識してみると、英文の見え方が変わるかもしれません。

第1回と第2回のまとめ

第1回と第2回には共通のテーマがあります。動詞と文型の関係の中でも「自動詞と他動詞がそれぞれどのような文型をとるか」ということです。

知識が定着しているかの確認のために、以下の事柄について確認しましょう。

  • 自動詞(Vi)と他動詞(Vt)の違い【第1回】
  • 第1文型(SV)と第3文型(SVO)の述語動詞(V)の違い【第1回】
  • 間違えやすい自動詞(Vi)と他動詞(Vt)(他動詞扱いできる句動詞)【第1回】
  • 第2文型(SVC)の述語動詞(V)【第2回】
  • 第2文型(SVC)をとる動詞【第2回】

他にも色々ありましたが、テーマに沿った内容が定着していれば最初のステップはクリアしたと考えて良いでしょう。

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