複素数と方程式|複素数の除法について

複素数の除法や負の数の平方根を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
複素数を含む分数式では、分母の実数化を優先します。また、負の数の平方根では、正の数の平方根と虚数単位を分けることを優先します。
問(1)の解答・解説
問(1)
分母は複素数を含むので、共役な複素数を掛けて分母を実数化します。
与式をよく見ると、2つの分母は互いに共役な複素数であることに気付きます。ですから、分数の通分が分母の実数化の作業になります。また、分母と分子をそれぞれ展開して整理します。
問(1)の解答例
複素数では、実部と虚部が分かるように表記するのが一般的です。1つの分数のままにせず、きちんと実部と虚部が分かる表記にしましょう。
通分を上手に利用すれば、分母の有理化や実数化を手際よく行うことができます。また、分数式の差を計算する際、符号ミスが多いので気をつけましょう。
問(2)の解答・解説
問(2)
負の数の平方根を正の数の平方根と虚数単位iに分けてから展開します。展開した後は、複素数の加減算です。実部どうし、虚部どうしを加減算します。
問(2)の解答例
ここでは、乗法公式ではなく、分配法則を用いて展開しています。分配法則と乗法公式のどちらを利用しても構いませんが、計算ミスをしにくい方を採用しましょう。
問(3)の解答・解説
問(3)
分母が負の数の平方根なので、虚数単位iを用いて表します。すると、分母は複素数となるので、分母を実数化する必要があります。
ここで、分母の複素数は、実部をもたない純虚数です。このような場合、共役な複素数ではなく、虚数単位iを掛ければ分母を実数化できます。
問(3)の解答例
純虚数の実数化では、共役な複素数を掛けるのは間違いではありません。しかし、計算が面倒になるので、一般に虚数単位iだけを掛けます。
純虚数の実数化では、虚数単位iだけを掛けよう。
間違っても、以下のような計算をしないように注意しましょう。
問(3)の間違いの例
間違い例に挙げた計算は、正の数の平方根の除法であれば問題ありません。しかし、負の数の平方根では乗法と同じように成り立たないので注意しましょう。
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さいごにもう一度まとめ
- 複素数の除法では、分母の実数化を優先しよう。
- 負の数の平方根を見たら、正の数の平方根と虚数単位に分けよう。
- 分母に複素数を含む分数式の差では、通分すれば分母を実数化できる場合がある。
- 分母の実数化では、共役な複素数を利用しよう。
- 正の数の平方根の扱いと、負の数の平方根の扱いの違いに注意しよう。