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図形と方程式|座標を利用した証明について

数学2

図形と方程式 直線上の点、平面上の点

今回は、座標を利用した証明について学習しましょう。辺の長さの関係を表す等式が成り立つことを証明する際に、辺の長さを求めるのではなく、座標を用います。

座標を用いることで証明しやすくなるのですが、上手に座標平面に図形を設置できなければ、かえって難しくなります。そうならないように、ポイントをしっかり押さえましょう。

座標を利用した証明

上述したように、座標を利用すると図形の性質を簡単に証明できる場合があります。ここで注意したいのは2つです。

座標を用いた証明での注意点

  • 座標軸をどこにとるか
  • 与えられた図形を座標を用いてどう表すか

この2点を疎かにすると、計算が大変になり、かえって難しい証明になってしまいます。後の計算が楽になるように、座標軸を定める必要があります。

座標軸の定め方は1つではありませんが、次の2点を意識しましょう。

座標軸を定めるときのコツ

  • 頂点や特定の点の座標に0が多く含まれるようにする。
  • 座標を定義するとき、できるだけ変数が少なくなるようにする。

座標に0が多く含まれるには、問題で扱う点がx軸やy軸上になるべく多く配置されるようにします。計算量が減るので、辺の長さを求めるのが易しくなります。

また、変数を少なくするには、図形の対称性を利用します。たとえば、原点やx,y軸に対称になるように点をとります。変数が少なくなれば、必要な方程式の数を減らすことができます。

ほとんどの問題では、未知のものに対応させて変数を当てますが、そうすると変数が多くなります。ですから、変数をなるべく少なくするという考え方はとても大切です。

以上のことから分かるのは、証明する前の準備で難易度が決まるということです。できるだけ難易度を下げるために、しっかり考えた上で座標を設定しましょう。そうは言っても、設定の仕方はほとんど変わらないので、例題を真似てみるのが良いでしょう。

座標を利用して証明してみよう

例題

ABC の重心を G とするとき、AB2+BC2+CA2=3(GA2+GB2+GC2)が成り立つことを証明せよ。

例題の解答・解説

図形を座標平面上にいきなり設置するのは、慣れていないと意外と難しいです。まずは図形だけを作図してみて、どのような点が出てくるのかを確認しましょう。問題で出てくる点以外にも必要な点があることに気付くはずです。

重心をとるには、頂点とその対辺の中点とを結ぶ中線が必要です。対辺の中点は問題で与えられていません。中点も考慮して図形の配置を考えましょう。

まず、座標軸を定めます。

例題の解答例 1⃣

直線 BC を x 軸に、辺 BC の垂直二等分線を y 軸にとると、線分 BC の中点は原点 O になる。

座標軸が定まったら、点の座標を定義します。変数がなるべく少なくなるようにします。

例題の解答例 2⃣

とると、線分 BC の中点は原点 O になる。3 点 A , B , C の座標をA (3a , 3b) , B (c , 0) , C (c , 0)とすると、点 G は重心であるのでG (a , b)と表すことができる。

頂点B,Cの座標は原点(またはy軸)に関して対称なので、同じ変数を利用できます。また、頂点Aの座標については、重心Gの座標を考慮に入れます。

線分AOは重心Gによって2:1に内分されます。頂点B,Cの座標がすでに定義されているので、重心Gの座標に分数が含まれないように、頂点Aの座標を設定します。

作図すると以下の通りです。

例題の図形を座標平面上に設置した図
座標軸と点の座標の設定

ほとんどの問題では、底辺がx軸と重なるように三角形を設置すると上手くいきます。また、答案を作成するのは、先に作図を済ませてからにしましょう。

座標軸や座標が定まったので、等式が成り立つことを証明します。左辺の計算です。

例題の解答例 3⃣

A (3a , 3b) , B (c , 0) , C (c , 0)G (a , b)このときAB2+BC2+CA2={(c3a)2+(03b)2}+{c(c)}2+{(3ac)2+(3b0)2}={(c+3a)2+(3b)2}+(2c)2+{(3ac)2+(3b)2}=(c2+6ca+9a2+9b2)+4c2+(9a26ca+c2+9b2)=18a2+18b2+6c2=3(6a2+6b2+2c2)

辺BCはx軸上にある2点間の距離です。ですから、三平方の定理を利用しなくても、x座標だけで計算できます。他の辺の長さの求め方とは異なるので注意しましょう。

次に、右辺を計算します。

例題の解答例 4⃣

A (3a , 3b) , B (c , 0) , C (c , 0)G (a , b)=3(6a2+6b2+2c2)またGA2+GB2+GC2={(3aa)2+(3bb)2}+{(ca)2+(0b)2}+{(ca)2+(0b)2}={(2a)2+(2b)2}+{(c+a)2+b2}+{(ca)2+b2}=(4a2+4b2)+(c2+2ca+a2+b2)+(c22ca+a2+b2)=6a2+6b2+2c2

右辺全体の計算ではなく、必要な部分だけを計算しておきましょう。

与式を導くには、②式を①式に代入します。これで等式が成り立つことを示せます。

例題の解答例 4⃣

=3(6a2+6b2+2c2)=6a2+6b2+2c2①,②よりAB2+BC2+CA2=3(GA2+GB2+GC2)

このように座標を用いて等式を証明することができます。また、座標軸や点の座標を上手に定めると、2点間の距離を求める計算が易しくなります。

次は、座標を利用した証明を扱った問題を実際に解いてみましょう。