図形と方程式|平行四辺形の頂点の座標について
今回は、平行四辺形の頂点の座標について学習しましょう。ここでは、平行四辺形を作るとき、4つの頂点のうち3つが既知で、残りの頂点の座標を考えます。
図形を扱った問題では、三角形や四角形は題材としてよく用いられます。演習をこなして慣れておきましょう。
平行四辺形の頂点
平行四辺形の名称の有無
平行四辺形の頂点を考える問題では、平行四辺形の名称の有無を確認しておく必要があります。
たとえば、「平行四辺形ABCD」と明記されていれば、点Dの位置はただ1つに固定されます。上図を見ると分かるように、反時計回りに頂点A,B,C,Dと並んでいる平行四辺形だけになります。
しかし、「4点A,B,C,Dが平行四辺形の頂点となるように」と明記されていれば、3点A,B,Cの頂点の座標が予め与えられていても、点Dの位置はただ1つに固定されません。
上図で言えば、点Dの位置は3通り考えられます。4点で平行四辺形ができていれば、平行四辺形ABCDでも良いし、平行四辺形ABDCや平行四辺形ADBCでも良いわけです。
このことから分かるのは、図形の名称は、頂点の並びを示す情報だということです。図形の名称を言うとき、頂点に振ったアルファベットを時計回り、または反時計回りに順番に読みます。このことが分かっていれば、図形の名称が大切な情報だと分かるはずです。
平行四辺形の頂点の求め方
平行四辺形の4つの頂点のうち、3つの座標が分かっているとき、残りの点の座標を求めるには、平行四辺形の性質を利用します。
平行四辺形の対角線には以下の性質があります。
平行四辺形の2本の対角線は、互いに他を二等分する。
言い換えると、平行四辺形の2本の対角線の中点は一致するということです。ですから、それぞれの対角線で中点を求めておき、そしてx座標どうし、y座標どうしを等号でそれぞれ結べば、方程式を導くことができます。
平行四辺形の頂点の座標を求めてみよう
\begin{align*}
&\text{3点 $A(5 \ , \ -1) \ , \ B(3 \ , \ 3) \ , \ C(-1 \ , \ -3)$ を頂点とする} \\[ 5pt ]
&\text{平行四辺形の残りの頂点Dの座標を求めよ。}
\end{align*}
例題の解答・解説
問題文を注意深く読みましょう。平行四辺形の頂点にアルファベットが振ってありますが、平行四辺形の名称はありません。つまり、頂点の順序が示されていないことが分かります。
3点A,B,Cの座標が与えられているので、座標平面に図示してみましょう。そうすれば、点Dの位置を予想することができるでしょう。
先程の上図を参考にすれば、点Dの候補は3通りあるだろうと予想できます。点Dの座標を定義しておき、できる平行四辺形を書き並べます。
\begin{align*}
&\text{残りの頂点Dの座標を $(x \ , \ y)$ とする。} \\[ 5pt ]
&\text{平行四辺形の頂点の順序は、次の3つの場合がある。} \\[ 5pt ]
&\quad \text{(i) 平行四辺形ABCD} \quad \text{(ii) 平行四辺形ABDC} \quad \text{(iii) 平行四辺形ADBC}
\end{align*}
それぞれの平行四辺形において、点Dの座標を求めます。平行四辺形の対角線の性質を利用します。
まずは、平行四辺形ABCDの場合です。対角線は、線分BDと線分ACです。
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\text{(i) 平行四辺形ABCDの場合} \\[ 5pt ]
&\text{線分BDと線分ACの中点が一致するので、} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{x+3}{2}=\frac{5+(-1)}{2} \ , \ \frac{y+3}{2}=\frac{(-1)+(-3)}{2} \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad x=1 \ , \ y=-7
\end{align*}
次は、平行四辺形ABDCの場合です。対角線は、線分ADと線分BCです。
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\text{(ii) 平行四辺形ABDCの場合} \\[ 5pt ]
&\text{線分ADと線分BCの中点が一致するので、} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{x+5}{2}=\frac{3+(-1)}{2} \ , \ \frac{y+(-1)}{2}=\frac{3+(-3)}{2} \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad x=-3 \ , \ y=1
\end{align*}
さいごは、平行四辺形ADBCの場合です。対角線は、線分CDと線分ABです。
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\text{(iii) 平行四辺形ADBCの場合} \\[ 5pt ]
&\text{線分CDと線分ABの中点が一致するので、} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{x+(-1)}{2}=\frac{5+3}{2} \ , \ \frac{y+(-3)}{2}=\frac{(-1)+3}{2} \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad x=9 \ , \ y=5 \\[ 7pt ]
&\text{(i),(ii),(iii)より、頂点Dの座標は} \\[ 5pt ]
&\quad (1 \ , \ -7) \ , \ (-3 \ , \ 1) \ , \ (9 \ , \ 5)
\end{align*}
中点の座標の求め方は、図形を扱った問題では頻出なので、しっかりマスターしておきましょう。
\begin{align*}
&\text{$A(x_{1} \ , \ y_{1}) \ , \ B(x_{2} \ , \ y_{2})$ とするとき、} \\[ 5pt ]
&\text{線分ABの中点の座標は} \\[ 5pt ]
&\quad \biggl(\frac{x_{1}+x_{2}}{2} \ , \ \frac{y_{1}+y_{2}}{2} \biggr)
\end{align*}
次は、平行四辺形の頂点の座標を扱った問題を実際に解いてみましょう。