式と証明|条件が比例式の等式の証明について

比例式が条件の等式の証明を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
比例式が条件として与えられています。比例式の扱い方に従って解きましょう。
問(1)の解答・解説
問(1)
条件として与えられた比例式は、2つの比が等しいことを表す等式です。このままだと「=k」とおくことができないので、2つの比の値が等しいことを表す比例式に置き換えます。
問(1)の解答例 1⃣
2つの比の値が等しいことを表す比例式から、「=k」とおいて新たな等式を導出します。
問(1)の解答例 2⃣
これらを等式の左辺と右辺にそれぞれ代入して整理します。
問(1)の解答例 3⃣
左辺と右辺はともに同じ式で表すことができるので、等式が成り立ちます。
比から比の値への置き換え
ところで、比例式と言っても、比を用いたものと比の値を用いたものがあります。
比の値を用いたものであれば良いのですが、比を用いた比例式であれば、比の値を用いた比例式に置き換える必要があります。
置き換えの方法はいくつかあって、よく利用されるのは以下の2つです。
比から比の値への置き換え
【その1】の比の値は、中学で学習する比の値です。上述の解答例でも利用しています。
それに対して、【その2】の比の値は、両辺の前の比から得られる比の値と、後ろの比から得られる比の値です。
どちらも成り立つことは、内項の積と外項の積の性質から明らかです。
内項の積と外項の積の性質を利用
連比から比の値への置き換え
【その2】の比の値が効果的なのは、3つの数量の比(連比)を比の値に置き換えるときです。
連比から比の値へ
a:b:cのことをa,b,cの連比と言います。このように連比を用いた比例式であれば、【その2】の方で比の値を用いた比例式に置き換えます。
問(1)の別解例
別解として、【その2】の置き換え方での解答例を紹介しておきます。
問(1)の別解例
問(2)の解答・解説
問(2)
(2)でも条件が比例式です。条件の比例式は連比から得られる式です。
連比と比の値
比例式を定石通りに扱います。比例式=kとおいて変形します。
問(2)の解答例 1⃣
これらを等式の左辺と右辺にそれぞれ代入して整理します。
問(2)の解答例 2⃣
左辺と右辺はともに同じ式で表すことができるので、等式が成り立ちます。
比例式が条件として与えられれば、とにかく「比例式=k」とおくことが基本です。比例式のままでは上手く使えないことがほとんどだからです。与式に代入するにしても変形してからになります。
「比例式=k」とおく解法では、特に難しい変形や計算がないので完答を目指しましょう。
Recommended books
おすすめというよりも、ちょっと気になる書籍を紹介します。気になる人はぜひ一読してみて下さい。
オススメその1『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』
「中学生は決して読まないでください!!」という触れ込みの本書。それは、5~6時間で中学3年分の数学がほぼ終わってしまう「禁断の書」だからです。
本書は、中学・高校で数学に挫折してしまった大人のための「最速・最短で数学のやり直しができる本」です。しかし、中学生や高校生が全体像を掴むのに役立つのではないかと思います。
誰にでも必要な数学知識の基礎になる中学数学。
時間がない社会人のために、3年分で学ぶ内容を、ぎゅっと凝縮しました。
本書のために、つくられた「3つのゴール」を目指して問題を解くと、中学数学で習う最重要の単元がほぼすべて学べます。
東大人気教授の数学教室、開校です!
高校数学バージョンはこちらです。
オススメその2『数学の傑作を味わう 驚異の23のエッセンス』
数学の面白さと美しさを伝える23の傑作集。絵画の「モナ・リザ」に匹敵する数学の傑作を通して、 数学の面白さ、美しさ、可能性を知る、 最高の数学入門書。
本書のテーマは、絵画におけるモナ・リザや、物理学におけるE = mc^2に相当する、数学の傑作を紹介することです。
共通する特徴は、
(1)数学者以外にはあまり知られていないこと
(2)「証明」の考え方を教えてくれること
(3)高校までの数学で理解できること
(4)驚きの帰結であること
(5)実用と結びつくこと
本書によって、読者は、数学の面白さと美しさ、可能性を知るとともに、真に数学的な考え方をみにつけることがができるでしょう。
さいごにもう一度まとめ
- 条件付きの等式では、条件式を代入して「条件式のない等式の証明」に帰着させよう。
- 条件が比例式のとき、「比例式=k」とおいて新たな条件式を導こう。
- 比例式において、比から比の値への置き換え方は主に2通り。
- 連比を用いた比例式には注意しよう。