数学B|数列を扱った入試問題を解いてみよう

数学B

入試問題にチャレンジ

今回、紹介する問題は数列を扱ったものです。問題文から正確に分野を特定できた人はかなり演習をこなしていると言えます。

自分なりにじっくりと試行錯誤してみましょう。

過去問を解いてみよう

過去の入試問題なので、それなりに難易度は高いです。まずは力試しに自力で解いてみましょう。

問題

先頭車両から順に $1$ から $n$ までの番号のついた $n$ 両編成の列車がある。

ただし、$n \geqq 2$ とする。各車両を赤色、青色、黄色のいずれか一色で塗るとき、隣り合った車両の少なくとも一方が赤色となるような色の塗り方は何通りか。

自力で解けない場合、以下の「問題を解く前に」がヒントになります。

問題を解く前に

方針を決めよう

マーク形式レベルであれば、 ほとんどの場合で問題を一読すると方針が1つに決まるので、すぐに取り掛かれます。

それに対して、記述形式レベル(2次試験レベル)になると、方針の候補が1つとは限らない問題が多くなります。分野を横断した問題が増えるからです。

そうなると、できるだけ効率良く解ける方針を採用しなければなりません。記述形式レベルを問題を解くには、記述する前に方針をきちんと決めることがとても大切になります。

図形問題であれば、図を見ながら方針を考えていくことになります。

樹形図を描いてみよう

色の塗り分け問題なので、「数列」ではなく、「場合の数」だろうと突っ込みが入りそうです。たしかに問題の指示通り、場合の数を考える問題です。ですから、まずは樹形図を描きながら考えてみましょう。

1両目と2両目の色の組合せを考えてみましょう。色の組合せは以下のようになるはずです。

1両目と2両目の色の組合せ
1両目と2両目の色の組合せ

上図は樹形図っぽくないですが、色の組合せは分かります。

1両目と2両目の色の組合せ

  • 1両目が赤色であれば、2両目は赤色青色黄色のいずれか
  • 1両目が青色、または黄色であれば、2両目は赤色だけ

色の塗り方を考えなければならないので、色ごとに注目します。2両目の色の種類ごとに場合の数を調べます。

2両目の色ごとの場合の数

  • (2両目が赤色になる場合の数)=(1+1+1)=3通り
  • (2両目が青色になる場合の数)=1通り
  • (2両目が黄色になる場合の数)=1通り

2両目が赤色になる場合では、1両目がどの色についても1通りずつあるので合計3通りです。2両目が青色または黄色になる場合では、1両目が赤色の場合にそれぞれ1通りあります。

樹形図でパターンを知ろう

3両目以降も考えていくと、色の組合せのパターンが徐々に分かってきます。3両目の色の種類ごとに場合の数を調べます。

2両目と3両目の色の組合せ
2両目と3両目の色の組合せ

たとえば、3両目が青色となるのは、2両目が赤色のときです。2両目が赤色の場合は3通りありました。ですから、2両目が赤色で、3両目が青色となる場合の数は、積の法則から3×1×1=3通りあります。

積の法則で計算しましたが、単純に考えてみると、2両目の色における場合の数が、そのまま3両目における場合の数になっていることに気付きます。直前の車両における場合の数を把握しておくことが必要です。

同じようにして調べていくと、色ごとの場合の数は以下のようになります。

3両目の色ごとの場合の数

  • (3両目が赤色になる場合の数)=(3+1+1)=5通り
  • (3両目が青色になる場合の数)=3通り
  • (3両目が黄色になる場合の数)=3通り

場合の数を調べる際には、1両目からが基本ですが、3両目から1両目に向かって逆に数える方が数えやすいかもしれません。

場合の数が定まらなければ文字で表そう

4両目以降も同じ要領で調べていけば、場合の数をその都度求めることができます。しかし、問題では何両目までと特定されていないので、このやり方を続けても、場合の数を具体的な値で表すことができません。

それでも4両目、5両目……と樹形図を描き続けて、場合の数の移り変わりを調べたいところです。イメージが湧かない場合や何らかの規則性が得られない場合、手を動かすべきです。

ここでは、何らかの規則性が得られたとして、気付いたことを整理してみます。

1両目から3両目までで気付いたこと

  • 隣り合う車両の色の組合せは、1両目と2両目のパターンと同じ
  • 前の車両の色ごとの場合の数が、そのまま後ろの車両の色ごとの場合の数

これらを参考にして、場合の数を具体的な値ではなく、文字で表すことを考えます。「n両目」とあるので、どうやっても具体的な値で場合の数を得ることはできないからです。

2両目の色ごとの場合の数

$1$ 両目が赤色、青色、黄色である場合の数をそれぞれ $x \ , \ y \ , \ z$ 通りとする。

$2$ 両目が赤色である場合の数は

\begin{align*} \quad x+y+z \ \text{(通り)} \end{align*}

$2$ 両目が青色である場合の数は

\begin{align*} \quad y \ \text{(通り)} \end{align*}

$2$ 両目が黄色である場合の数は

\begin{align*} \quad z \ \text{(通り)} \end{align*}

隣り合う車両のうち、前の車両の色についての場合の数が分かっていれば、後ろの車両の色についての場合の数が分かることを利用します。

このことをn両目とn+1両目にも適応させます。ここまでくると、数列、特に漸化式を扱った問題でもあることに気付くかもしれません。

場合の数についての漸化式は、最初の段階、または最後の段階について場合分けして作る。