数学A|意外と苦手な人が多い整数に関する入試問題を解いてみよう

整数に関する問題を苦手にしている人は意外と多いかもしれません。中には、整数なのにどうして文字式が出てくるんだと憤慨している人もいるかもしれません。
具体的な数であれば文字式を必要としませんが、一般化して整数全体を扱うには文字式がどうしても必要です。まずは典型的な問題からこなしていって、整数問題の基本的な扱い方をマスターすることが大切です。
過去問を解いてみよう
まずは力試しに自力で解いてみると良いでしょう。
問題
見るからに整数問題です。自分なりにじっくりと試行錯誤してみましょう。
問題(1)の解答・解説
問題(1)
問題(1)では、cが奇数であることを示す問題です。まずは平方数の偶数・奇数の組合せを確認してみましょう。
偶数・奇数の組合せ
- 偶数+偶数=偶数
- 偶数+奇数=奇数(奇数+偶数=奇数)
- 奇数+奇数=偶数
自然数を偶数と奇数の2種類に分類して平方数の和を考えると、上記の組合せになります。ただし、a,b,cはどの2つも1以外の共通な約数をもたない、言い換えると互いに素であるので、1番目の組合せは除外できます。
与式が三平方の定理の式であることに気付けば、3:4:5 や 5:12:13 などが思い当たります。この組合せから3番目の組合せも除外できそうです。
しかし、偶数を $2m$ 、奇数を $2m+1$ などとおけば、2番目の組合せだけを示すことはできそう(実際にできる)ですが、少し説明に手間取りそうです。
このような問題では、cが奇数である前提で考えるよりも、偶数であると仮定して矛盾を引き出す方が取り組みやすいです。背理法の考え方です。
具体的な自然数で考えてみよう
具体的な正の整数、すなわち自然数を使って考えてみましょう。
偶数か奇数かを考える場合、一番取っ付き易いのが「2で割り切れるかどうか」です。除法が出てきたら合同式です。合同式を利用してみましょう。
合同式を利用する
やってはみましたが、2で割ったときの合同式では上手くいかないようです。先ほど考えた3番目の組合せが出てきてしまうからです。どうやら、2で割った分類では緩すぎて絞り込めないようです。
ここで諦めてはいけません。2で駄目なら、4で割ったときの合同式で考えます。cが偶数であるとき、その平方数は4の倍数となることがヒントです。
問題(1)の解答例
4で割った余りで分類しているので、平方数を4で割った余りが1だと、その和を4で割った余りは表から2となります。 ここが 2で割った余りと異なります。
平方前の正の整数で、偶数の最小値は2です。ですから、平方後の偶数の最小値は4となります。ここに気付いていれば、4で割った余りで分類しても良さそうだと思えたかもしれません。
問題(2)の解答・解説
問題(2)
問題(2)では、3の倍数を考えるので、3で割った余りで分類します。ただ、a,bの1つが3の倍数であることを示すのは、なかなか難しそうです。問題(1)と同じように、矛盾を引き出すやり方で解きます。
問題(2)の解答例
a,bがともに3の倍数でない場合、cの平方数は、3で割った余りが2となる数です。このような数は、表の結果から存在しません。ここで矛盾が生じるので、上手く証明することができました。