複素数と方程式|剰余の定理について

数学2

剰余の定理を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

次の条件を満たすように、定数 $a \ , \ b$ の値を求めよ。

\begin{align*} &(1) \quad \text{$x^{\scriptsize{3}}-3x^{\scriptsize{2}}+a$ を $x-1$ で割ると $2$ 余る。} \\[ 7pt ] &(2) \quad \text{$2x^{\scriptsize{3}}-3x^{\scriptsize{2}}+ax+6$ が $2x+1$ で割り切れる。} \\[ 7pt ] &(3) \quad \text{$x^{\scriptsize{3}}+ax^{\scriptsize{2}}-5x+b$ が $x+2$ で割り切れ、} \\[ 5pt ] &\qquad \text{$x+1$ で割ると $8$ 余る。} \end{align*}

問(1)の解答・解説

問(1)

次の条件を満たすように、定数 $a \ , \ b$ の値を求めよ。

$x^{\scriptsize{3}}-3x^{\scriptsize{2}}+a$ を $x-1$ で割ると $2$ 余る。

定数aの値を求めるには、定数aについての方程式が1つ必要です。

未知のものと同じ数だけ方程式を用意しよう。

問(1)では、与式を1次式x-1で割った余りが与えられています。剰余の定理を利用します。

問(1)の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad P(x)=x^{\scriptsize{3}}-3x^{\scriptsize{2}}+a \\[ 7pt ] &\text{とする。} \\[ 5pt ] &\text{$P(x)$ を $x-1$ で割ったときの余りが $2$ と} \\[ 5pt ] &\text{なるための条件は、剰余の定理より} \\[ 5pt ] &\quad P (1)=2 \end{align*}

次に、等式の右辺にx=1を代入したときの式の値を求めます。この式の値が、与式を1次式x-1で割ったときの余りに等しくなります。

問(1)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad P (1)=2 \\[ 7pt ] &\text{すなわち} \\[ 5pt ] &\quad 1^{\scriptsize{3}}-3 \cdot 1^{\scriptsize{2}}+a=2 \\[ 7pt ] &\text{これを解くと} \\[ 5pt ] &\quad a=4 \end{align*}

定数aについての方程式を導くことができれば、あとは解くだけです。剰余の定理では等式を扱うので、上手く活用すれば方程式を導くことができます。

問(2)の解答・解説

問(2)

次の条件を満たすように、定数 $a \ , \ b$ の値を求めよ。

$2x^{\scriptsize{3}}-3x^{\scriptsize{2}}+ax+6$ が $2x+1$ で割り切れる。

定数aの値を求めるには、定数aについての方程式が1つ必要です。

問(2)では、与式を1次式2x+1で割ると割り切れます。割り切れるときの余りは0です。剰余の定理を利用します。

問(2)の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad P(x)=2x^{\scriptsize{3}}-3x^{\scriptsize{2}}+ax+6 \\[ 7pt ] &\text{とする。} \\[ 5pt ] &\text{$P(x)$ が $2x+1$ で割り切れるための条件は} \\[ 5pt ] &\text{剰余の定理より} \\[ 5pt ] &\quad P \left(-\frac{1}{2} \right)=0 \end{align*}

次に、等式の右辺にx=-1/2を代入したときの式の値を求めます。この式の値が、与式を1次式2x+1で割ったときの余りに等しくなります。

問(2)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad P \left(-\frac{1}{2} \right)=0 \\[ 7pt ] &\text{すなわち} \\[ 5pt ] &\quad 2 \cdot \left(-\frac{1}{2} \right)^{\scriptsize{3}}-3 \cdot \left(-\frac{1}{2} \right)^{\scriptsize{2}}+a \cdot \left(-\frac{1}{2} \right)+6=0 \\[ 7pt ] &\text{これを解くと} \\[ 5pt ] &\quad -2-6-4a+48=0 \\[ 7pt ] &\text{より} \\[ 5pt ] &\quad a=10 \end{align*}

定数aについての方程式を導くことができれば、あとは解くだけです。

また、割る式は1次式ですが、1次の項の係数が1ではありません。代入する値に注意しましょう。

2x+1=0となるときのxの値

\begin{align*} 2x+1 &=0 \\[ 5pt ] 2x &=-1 \\[ 5pt ] \therefore \ x &=-\frac{1}{2} \end{align*}

問(3)の解答・解説

問(3)

次の条件を満たすように、定数 $a \ , \ b$ の値を求めよ。

$x^{\scriptsize{3}}+ax^{\scriptsize{2}}-5x+b$ が $x+2$ で割り切れ、$x+1$ で割ると $8$ 余る。

定数a,bの値を求めるには、定数a,bについての方程式が2つ必要です。

未知のものが2つならば、方程式を2つ用意しよう。

問(3)では、与式を2つの1次式x+2,x+1で割ったときの余りが与えられています。それぞれの1次式について剰余の定理を利用します。

まず、与式を1次式x+2で割ったときです。割り切れるので、余りは0です。剰余の定理から、x=-2のときの式の値も0となります。

問(3)の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad P(x)=x^{\scriptsize{3}}+ax^{\scriptsize{2}}-5x+b \\[ 7pt ] &\text{とする。} \\[ 5pt ] &\text{$P(x)$ が $x+2$ で割り切れるための条件は} \\[ 5pt ] &\text{剰余の定理より} \\[ 5pt ] &\quad P (-2)=0 \\[ 7pt ] &\text{すなわち} \\[ 5pt ] &\quad \left(-2 \right)^{\scriptsize{3}}+a \cdot \left(-2 \right)^{\scriptsize{2}}-5 \cdot \left(-2 \right)+b=0 \\[ 7pt ] &\text{整理すると} \\[ 5pt ] &\quad 4a+b+2=0 \quad \cdots \text{①} \end{align*}

次に、与式を1次式x+1で割ったときです。余りは8になります。剰余の定理から、x=-1のときの式の値も8となります。

問(3)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad P(x)=x^{\scriptsize{3}}+ax^{\scriptsize{2}}-5x+b \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad 4a+b+2=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\text{$P(x)$ を $x+1$ で割ったときの余りが $8$ と} \\[ 5pt ] &\text{なるための条件は、剰余の定理より} \\[ 5pt ] &\quad P (-1)=8 \\[ 7pt ] &\text{すなわち} \\[ 5pt ] &\quad \left(-1 \right)^{\scriptsize{3}}+a \cdot \left(-1 \right)^{\scriptsize{2}}-5 \cdot \left(-1 \right)+b=8 \\[ 7pt ] &\text{整理すると} \\[ 5pt ] &\quad a+b-4=0 \quad \cdots \text{②} \end{align*}

定数a,bについての方程式を2つ導くことができました。定数a,bはともに①,②式を満たすので、これらを連立して解きます。

問(3)の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad 4a+b+2=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad a+b-4=0 \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\text{①-②} \\[ 5pt ] &\quad 3a+6=0 \quad \text{すなわち} \quad a=-2 \\[ 7pt ] &\text{これを②に代入して} \\[ 5pt ] &\quad -2+b-4=0 \quad \text{すなわち} \quad b=6 \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad a=-2 \ , \ b=6 \end{align*}

余りに関する条件が与えられたときは、剰余の定理を利用してみましょう。単に余りを求めるだけでなく、問のように、整式の係数についての方程式を導くこともできます。

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さいごにもう一度まとめ

  • 剰余の定理は、整式を1次式で割ったときの余りについての定理。
  • 割る1次式が0となる値を、整式に代入したときの式の値が余りに等しい。
  • 剰余の定理は、割る式が1次式のときだけ成り立つことに注意。
  • 剰余の定理を利用して、整式の係数を求めることもできる。
  • 整式の割り算で、余りの情報があれば、剰余の定理を活用しよう。