数列の極限|はさみうちの原理を正しく使おう
「はさみうちの原理」の使い方のまとめ
さいごに「はさみうちの原理」の使い方をまとめてみましょう。3つのステップを踏みます。
ステップ1
- (ア)数列{cn}の極限値の予想はつくが、あくまでも予想である。(その値をαとする。)
- (イ)n→∞のとき、数列{cn}が一定値に収束するかどうか予想がつかない。
2つの事柄(ア),(イ)を確認したら、ステップ2に進みます。
ステップ2
- 数列{cn}よりつねに小さい数列{an}でαに収束するものを探す。
- 数列{cn}よりつねに大きい数列{bn}でαに収束するものを探す。
ステップ2で、数列{an},{bn}が見つかったら、ステップ3に進みます。
ステップ3
- n→∞のとき、an<cn<bn かつ an=cn=bn=αより、$\small{ \displaystyle \lim_{ n \to \infty } c_n }$ の収束が保証される。
- その値は $\small{ \displaystyle \lim_{ n \to \infty } c_n = \alpha }$ である。
はさみうちの原理を使うときには、以上のようなステップを踏むようにしましょう。その際、極限が分からないものに対して、極限をとるようなことがないようにしましょう。
例題の記述例としては、解答例2の方が適切です。解答例1のような記述にならないように気を付けましょう。
解答例2
二項定理より、十分大きい $n$ に対して
\begin{align*} \quad 2^{n} = {(1+1)^{n}} = \displaystyle \sum_{ k = 0 }^{ n } {}_n \mathrm{ C }_k \gt \frac{n(n-1)}{2} \end{align*}となるので
\begin{align*} \quad 0 \lt \frac{n}{2^{n}} \lt \frac{n}{\frac{n(n-1)}{2}} = \frac{2}{n-1} \end{align*}が成り立つ。
\begin{align*} \quad \displaystyle \lim_{ n \to \infty } \frac{2}{n-1} = 0 \end{align*}が成り立つので、はさみうちの原理より
\begin{align*} \quad \displaystyle \lim_{ n \to \infty } \frac{n}{2^n} = 0 \end{align*}はさみうちの原理を利用するのであれば、不等式の両端の極限値を求めてから、真ん中の極限値を示す手順で進めよう。
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