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複素数と方程式|2つの解の関係をもとにした係数の決定について(応用)

数学2

2つの解の関係をもとにした係数の決定を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

α , βを 2 つの解とする 2 次方程式x2+ax+b=0がある。α2 , β2もこの方程式の 2 つの解であるような定数 a , b の値をすべて求めよ。

問の解答・解説

問で与えられた情報を整理しましょう。

与えられた情報を整理しよう

  • 与えられた2次方程式はx2+ax+b=0。
  • 2つの解α,βをもつ。
  • α2,β2も解にもつ。
  • 求めたいのは、定数a,bの値。

与えられた情報を整理してみましたが、少し違和感を感じるかもしれません。

2次方程式の2つの解はただ1組だけだと思っていたのに、問題文を読むとそうではないようです。与式はα,βとは別にもう1組の解α2,β2ももつようです。

2次方程式を満たす解が複数組あるかどうかの確認は後回しにして、まずは解いてみましょう。

定数a,bは2次方程式の係数や定数項です。2組の解それぞれについて、解と係数の関係を書き出してみましょう。

問の解答例 1⃣

x2+ax+b=0与式の解が α , β であるので解と係数の関係よりα+β=aαβ=bまた、α2 , β2 も与式の解であるので解と係数の関係よりα2+β2=aα2β2=b

解と係数の関係から①~④式を得ることができました。

求めるのは定数a,bの値なので、①~④式から定数a,bについての方程式を導きます。ただし、式変形してから代入する必要があるので、例題よりもやや難しいですが、慌てずに進めていきます。

問の解答例 2⃣

α+β=aαβ=bα2+β2=aα2β2=b③より(α+β)22αβ=aこれに①,②を代入すると(a)22b=aよってa22b=a②,④よりb2=bよってb(b1)=0

①~④式から定数a,bについての方程式を2つ導くことができました(⑤,⑥式)。例題と同じように、等式の性質を利用して解きます。

問の解答例 3⃣

a22b=ab(b1)=0⑥よりb=0またはb=1[1] b=0 のとき、⑤よりa2=aこれを解くとa(a+1)=0よりa=1 , 0[2] b=1 のとき、⑤よりa22=aこれを解くとa2+a2=0より(a1)(a+2)=0よってa=2 , 1[1] , [2] から(a , b)=(2 , 1) , (1 , 0) , (0 , 0) , (1 , 1)

定数a,bの組が複数あるので注意しましょう。このような場合、座標と同じ要領で記述します。

定数a,bの組を記述するとき、求めた順で構いません。ここでは、定数aの値の小さい方から順に書き並べています。

2次方程式が複数組の解をもつかどうかの確認

さきほど整理した情報は以下のようになります。

与えられた情報を整理しよう

  • 与えられた2次方程式はx2+ax+b=0。
  • 2つの解α,βをもつ。
  • α2,β2も解にもつ。
  • 求めたいのは、定数a,bの値。

このような条件を2次方程式が満たすのかを確認します。定数a,bの値は複数組ありますが、2組だけ確認しておきます。余裕があれば、他の組み合わせも確認してみましょう。

2次方程式が複数組の解をもつのかどうかの確認 1⃣

a=2 , b=1 のとき、与式はx22x+1=0となる。このときの解は(x1)2=0よりx=1(重解)これより α , β はα=1 , β=1となり、このとき α2 , β2 はα2=1 , β2=1となる。したがって、a=2 , b=1 のとき α , β を解にもつ 2 次方程式x2+ax+b=0は α2 , β2 も解にもつ。

もう1組についても確認します。

2次方程式が複数組の解をもつのかどうかの確認 2⃣

a=1 , b=1 のとき、与式はx2+x+1=0となる。このときの解は、解の公式よりx=1±3i2これより α , β はα=13i2β=1+3i2(逆でも良い)となり、このとき α2 , β2 はα2=(13i2)2β2=(1+3i2)2整理するとα2=1+3i2β2=13i2となる。したがって、a=1 , b=1 のとき α , β を解にもつ 2 次方程式x2+ax+b=0は α2 , β2 も解にもつ。

2次方程式がα,βを解にもち、さらにα2,β2も解にもつのは、解の組み合わせが同じになるときです。もちろん、このようなことは特定の係数の場合でしか成り立ちません。

結局、複数組の解をもつわけではないということです。文字だと解が複数組あるように感じますが、具体的な数で考えてみるとそうではないことが分かります。

2次方程式の2つの解は、ただ1組だけである」ということで、最初に違和感を感じたのは間違いではなかったということです。

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さいごにもう一度まとめ

  • 2つの解の関係をもとにした係数の決定では、解と係数の関係を書き出そう。
  • 解と係数の関係から得られた式から、解を消去して、求めたい係数についての式を導こう。
  • 2次方程式や解が複数出てきたら、情報を整理して対応関係を把握しよう。