数列の極限|漸化式と極限 -極限値を視覚的に見よう-
漸化式の扱い方
漸化式は、隣り合ういくつかの項の関係を表す等式のことです。漸化式から数列の一般項を求める問題はよく出題されます。
隣接2項間の漸化式
漸化式の形から変形の仕方が決まっているので、変形の仕方を覚えることが大切です。
たとえば、よく出題される隣接2項間の漸化式を例に挙げます。
数列{an}の漸化式
この漸化式を変形すると、数列{an}から新しい数列{an-α}の漸化式になります。
数列{an-α}の漸化式
漸化式において、an+1=an=αのときに得られるα=pα+qのことを特性方程式と言います。この特性方程式の解αの値を使って、漸化式を変形します。
変形した後になると、数列{an}の漸化式ではなく、数列{an-α}の漸化式として扱います。
数列{an}から数列{an-α}へ
変形後の漸化式は、数列anの各項からαだけ引いた数列{an-α}の関係を表しています。
変形後は別の数列の漸化式
慣れればそのままでも扱えますが、最初のうちはbn=an-αと置き換えた方が扱いやすいでしょう。bn=an-αのとき、bn+1=an+1-αです。
数列{an}から数列{bn}へ
漸化式はbn,bn+1を用いて以下のように表されます。
数列{bn}の漸化式
数列{bn}の漸化式と見ると、この式は等比数列を表す漸化式です。ですから、数列{bn}は等比数列だと分かります。等比数列では初項と公比が分かれば、一般項を求めることができます。
もとの数列の一般項へ
数列{bn}について、初項はbn=an-αにおいてn=1のときの値なので、b1=a1-αです。また、公比は漸化式からpです。
初項と公比から数列{bn}の一般項を求めたら、bn=an-αに戻ってanを求めます。
数列{bn}から数列{an}へ
漸化式を扱った問題では、一般に、もとの数列{an}は等差数列や等比数列ではありません。このままでは一般項anを求めることができないので、別の数列{bn}の漸化式に変形します。
このとき、等差数列や等比数列の漸化式になるように変形するのがコツです。新しい数列{bn}は等差数列や等比数列になっているので、その一般項bnを求めることができます。
一般項bnが分かれば、bn=an-αから数列{an}の一般項anを得ることができます。
漸化式を扱った問題を実際に解いてみましょう。
漸化式を扱った問題を解いてみよう
例題1で扱った漸化式で練習してみましょう。
例題4
で定義される数列 $\{ a_n \}$ を求めよ。
例題4の解答・解説
特性方程式の解を用いて漸化式を変形します。
例題4の解答例 1⃣
特性方程式の解αの値が分かったら、パターン通り変形します。
例題4の解答例 2⃣
これで数列{an}から数列{an-3}の漸化式に変わりました。
数列{an}から数列{an-3}へ
数列{an-3}の初項と公比を求めます。初項と公比が分かったら、数列{an-3}の一般項を求めます。
例題4の解答例 3⃣
数列{an-3}の一般項の式を変形すると、数列{an}の一般項を表す式になります。
例題4の解答例 4⃣
例題のように、等差数列でも等比数列でもない数列の場合、その一般項を別の数列の一般項から間接的に求めます。これが漸化式から一般項を求めるときの基本的な考え方です。
手順をまとめると以下のようになります。
漸化式から一般項を求める手順
- 等差数列や等比数列の漸化式になるように、与式を変形する
- 変形後の漸化式から新しい数列の一般項を求める
- 求めた一般項を変形して、もとの数列の一般項を求める
漸化式の変形は、与えられた漸化式によって異なります。特性方程式を利用した変形の他に、たとえば、両辺を累乗の値で割る変形もあります。
変形のやり方は漸化式によって異なるのですが、「等差数列や等比数列となるように変形する」という考え方は一貫しています。色々な変形パターンがあって面白いので、ぜひチャレンジしてみて下さい。
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