運用力を鍛える英文法基礎【第7回】
大学別の個別試験のような記述形式の試験では、いくら知識があっても、その運用力がなければ上手くいきません。センター試験から共通テストに変わって、思考力・表現力・判断力を問われる問題がより一層増えることが考えられます。
これからの受験生にとって、運用力は大切な能力となるでしょう。応用力のある人は、知識を適切に運用できる運用力をもつ人のことです。たくさんの知識を蓄え、それを適切に運用できる応用力のある人になりましょう!
文法的に誤りのある英文を訂正してみよう
次の英文は、問題のない英文に見えます。しかし、文法的な誤りがあります。どこに文法的な誤りがあるのか分かるでしょうか。また、文法的に正しい英文に訂正できるでしょうか。
【問7】日本語訳を参考に、次の英文の文法的な誤りを直しなさい。
Nobody thinks that she is a doctor, but he believes to be true.
「誰も彼女が医者だとは思っていないが、彼は本当だと信じている」
※英文には文法的な誤りがあります
誤文訂正に必要な知識
少なくともこの問題を解くのに必要な知識は以下の通りです。
- 第4文型(SVOO)と第5文型(SVOC)
- 3種類の節
- 小節の作り方
第4文型(SVOO)と第5文型(SVOC)
次の2つの英文について、文型の違いを説明できるでしょうか。
a) Jane sent him a letter.
「ジェーンは彼に手紙を送った」
b) We chose him captain.
「私たちは彼を主将に選んだ」
a) は第4文型(SVOO)の英文であるのに対して、b) は第5文型(SVOC)の英文です。
第4文型(SVOO)と第5文型(SVOC)は、述語動詞(V)以降の要素が異なるので、相手に伝わる意味に違いが出ます。
第4文型(SVOO)の文は、「主語(S)が、人(Oi)や物(Od)に対して、何らかの動作(V)をする」という意味をもちます。ですから、間接か直接かの違いはあっても、2つの目的語(O)はともに動作(V)の対象です。
それに対して、第5文型(SVOC)の文は、「主語(S)が、人や物(O)の状態や動作(C)に対して、何らかの動作(V)をする」という意味をもちます。補語(C)は目的語(O)の状態や動作を説明しているので、意味の上では、目的語(O)と補語(C)には主述関係があると考えられます。
ですから、述語動詞(V)の対象は、文型では目的語(O)ですが、意味の上では目的語(O)と補語(C)のカタマリと考えられます。このことは、第3文型(SVO)と第5文型(SVOC)の関係を知れば大まかに理解できるでしょう。
2つの文型の意味上の違いを知っていると、要素の関係を理解しやすくなります。
述語動詞以降の要素の関係
2つの文型の違いを、述語動詞(V)のあとに続く2つの要素の関係で考えてみましょう。第4文型(SVOO)であれば2つの目的語(O)の関係、第5文型(SVOC)であれば目的語(O)と補語(C)の関係です。
第4文型(SVOO)と第5文型(SVOC)では、次の関係がそれぞれ成り立ちます。
第4文型(SVOO)と第5文型(SVOC)の見分け方
- 第4文型(SVOO)では「Oi has Od」が成り立つ。
- 第5文型(SVOC)では「O is C」が成り立つ。
先ほどの例文で確認してみましょう。
a) Jane sent him a letter.
「ジェーンは彼に手紙を送った」
〇 He has a letter.(意味が通じる)
× He is a letter.(意味が通じない)
⇒ a) は第4文型(SVOO)の英文
b) We chose him captain.
「私たちは彼を主将に選んだ」
× He has captain.(意味が通じない)
〇 He is captain.(意味が通じる)
⇒ b) は第5文型(SVOC)の英文
補語(C)には、名詞や形容詞、それらに相当する語句が用いられます。ただ、b) のように、補語(C)に名詞が用いられると、第4文型(SVOO)との区別が難しくなります。ですから、見分け方を知っておくと重宝するでしょう。
第5文型(SVOC)をとる動詞
第5文型(SVOC)をとる動詞は、補語(C)が名詞や形容詞の場合、大まかに make 型と think 型の2種類に分類できます。
make 型 | think 型 | |
---|---|---|
意味 | OをCの状態にする | OをCと思う |
make 型の動詞は「OをCの状態にする」の意味で用いられます。think 型の動詞は「OをCと思う」の意味で用いられます。直訳程度であれば、この意味で訳しても通じるでしょう。
他の文法書などではもっと細かく分類されているものもありますが、導入としては問題ないかと思います。
make 型の動詞の一例です。
- make / get(~にする)
- keep / leave(~のままにしておく)
- name(~と名付ける)
- call(~と呼ぶ)
- choose / elect(~に選ぶ)
- appoint(~に任命する)
think 型の動詞の一例です。
- think / suppose / consider(~と思う/考える)
- find(~とわかる/~だと思う)
- believe(~と信じる)