運用力を鍛える英文法基礎【第7回】

英文法

運用力を鍛える英文法

3種類の節

いくつかの語が集まって文の一部となるとともに、それ自体の中に「主語+述語」を備えているものをと言います。

単純に2つの節を接続詞でつないだ文であれば、節の見極めはそれほど難しくありません。しかし、たとえば目的語(O)などの文の要素として文中に埋め込まれると、見極めが難しくなります。

高校英語では、句と節の扱いに慣れることが上達の近道だと言っても良いかもしれません。

節は次の3種類に分類されます。believe 以降の部分が埋め込まれた節です。

3種類の節

「私はその知らせが真実だと信じている」

a) I believe [ that the news is true ].

b) I believe [ the news to be true ].

c) I believe [ the news true ].

a) [ that the news is true ]= that 節

b) [ the news to be true ]=不定詞節

c) [ the news true ]=小節

3つの例文は文型が異なりますが、「私はその知らせが真実だと信じている」と訳せます。細かなニュアンスの違いについては後述します。

また、主述関係のある節が、意味の上では述語動詞「believe」の目的語(O)である点が共通しています。

ただ、意味の上で主述関係があるだけで、b) や c) の節には述語動詞(V)がありません。ですから、節の定義に照らした場合、節と言うには少し無理があります。あくまでも意味の上で主述関係があるので、便宜上、節と呼んでいると解釈しましょう。

3種類の節- that 節

例文 a) の要素と文型を確認してみましょう。

a) の文型と要素

私は[その知らせが真実だ]と信じている

I believe [ that the news is true ].

例文の要素

I / believe / [ [ that ] the news is true ].

私は / 信じている / [その知らせが真実であること]を

  • S+Vt+O:第3文型(SVO)
  • 主語(S):I
  • 述語動詞(Vt):believe
  • 目的語(O):that the news is true【 that 節】

that 節内の要素

[ that ] the news / is / true

  • that +S+Vi+C:that +第2文型(S’V’C’)
  • 従属接続詞:that【名詞節を作る】
  • 主語(S’):the news
  • 述語動詞(Vi):is
  • 補語(C’):true

a) の節は、一般に that 節と言われます。that は従位接続詞で、名詞節を作ります。文全体で第3文型(SVO)をとり、目的語(O)に that 節「that +第2文型(S’V’C’)」が埋め込まれています。

that 節を目的語(O)に埋め込んだと言いましたが、文の構造を考えると、「I belive (SV)」と「the news is true (S’V’C’)」の2つの節をつないでいると考えられます。ですから、that は、接続詞の基本的な働きをきちんとこなしていると言えます。

他動詞に続く that 節=名詞節

3種類の節-不定詞節

次に例文 b) の要素と文型を確認してみましょう。

b) の文型と要素

私は[その知らせが真実だ]と信じている

I believe [ the news to be true ].

例文の要素

I / believe / [ the news / to be true ].

私は / 信じている / [その知らせが / 真実であること]

  • S+Vt+O+C:第5文型(SVOC)
  • 主語(S):I
  • 述語動詞(Vt):believe
  • 目的語(O):the news
  • 補語(C):to be true 【不定詞句】

b) では、that 節の代わりに、不定詞節になっています。文全体では第5文型(SVOC)で、補語(C)が不定詞句「to be C’」です。文法書によっては、文型の記載がなく「SVO+to be C」の形で紹介されています。

that 節と不定詞節「O+to be C」の言い換えは基本的に可能です。ただし、受動態以外では that 節の方が口語調で好まれるようです。

また、一般動詞を用いた不定詞節「O+to 動詞の原形」との言い換えは、述語動詞(V)によってできるものとできないものがあり、注意が必要です。

3種類の節-小節

さいごに例文 c) の要素と文型を確認してみましょう。

c) の文型と要素

私は[その知らせが真実だ]と信じている

I believe [ the news true ].

例文の要素

I / believe / [ the news / true ].

私は / 信じている / [その知らせが / 真実であること]

  • S+Vt+O+C:第5文型(SVOC)
  • 主語(S):I
  • 述語動詞(Vt):believe
  • 目的語(O):the news
  • 補語(C):true

c) の節は、b) の不定詞節から「to be」を省略したもので、小節と呼ばれます。文法書によっては紹介されていないものもあります。文全体では第5文型(SVOC)に分類されます。

3つの例文から分かるように、「第5文型(SVOC)が第3文型(SVO)から派生した文型」と捉えると、どのタイプの節が出てきても、同じ要領で訳せるでしょう。

「SVO+ to be C」と「SVO+ that 節」をとる動詞

that 節を用いた a) や、不定詞節を用いた b) の表現が可能な動詞には、以下のようなものがあります。「to be」を省略した小節を用いる c) の表現では、動詞によってできる、できないがあります。

ただし、不定詞節から小節への言い換えに明確なルールはなく、習慣として「to be」を省略しないか、あるいは省略しないことが多い動詞は存在するようです。迷ったときは、辞書などで例文を参考にした方が良いでしょう。

「SVO+to be C」と「SVO+that節」をとる動詞
  • assume(~と考える)
  • believe(~と思う)
  • consider(~と考える)
  • declare(言明する)
  • fancy(~と思う)
  • find(~だと分かる)
  • hold(~と思う)
  • presume(推定する)
  • prove(立証する)
  • report(報告する)
  • suppose(~と思う)
  • think(~と思う)
  • assert(断言する)
  • conclude(断定する)
  • deny(否定する)
  • discover(気づく)
  • guess(推測する)
  • know(知っている)
  • recognize(認める)
  • show(明らかにする)
  • suspect(思う)

下線を引いたものは、「to be」を省略できないか、あるいは省略しないことが多いものです。

3種類の節による意味の違い

次の文の意味に違いがあるのかを考えてみましょう。

3種類の節による意味の違い①

a) I find [ that this book is interesting ].

b) I find [ this book to be interesting ].

c) I find [ this book interesting ].

a) [ that ] this book / is / interesting = that+S’V’C’【that 節】

b) this book / to be interesting = O+ (to be) C【不定詞節】

c) this book / interesting = O+C【小節】

それぞれ that 節・不定詞節・小節を用いています。どれも「その本は面白いと分かる」という内容で、ほとんど同じ意味になります。「ほとんど」と言うくらいなので、細かいニュアンスはやはり異なります。

3つの文の違いと言えば、述語動詞(V)「find」の意味上の目的語(O)が、a) では that 節、b) では不定詞節、c) では小節であることです。これがニュアンスの違いに関わってきます。

3種類の節による意味の違い②

a) I find [ that this book is interesting ].

「この本が面白いということが分かる」【客観的な事実】

c) I find [ this book interesting ].

「この本は面白いと思う」【主観的な判断】

伝わるニュアンスは、that 節であれば客観的な事実となるのに対して、小節であれば主観的な判断となります。不定詞節であれば、that 節と小節の間のニュアンスになります。

「to be」を省略できないか、あるいは省略しないことが多い動詞などは、もしかするとニュアンスの違いも影響しているのかもしれません。

言い換えが可能でも、伝わるニュアンスが変わるので、状況に応じて3種類の節を使い分けた方が良いでしょう。

小節の作り方

小節の作り方はそれほど難しくありません。ここでは、小節になる前の節の述語動詞が be 動詞の場合を考えます。

このような場合、小節は、主部+述部をもつ文から be 動詞を省略することで作ることができます。ただし、主部を主格から目的格などに変える必要がある場合があります。

小節への変形

a) I believe [ him a nice man ].

[ He (is) a nice man ]【名詞】

b) I will get [ dinner ready ].

[ Dinner (is) ready ] 【形容詞】

c) I find [ myself in a hospital ].

[ I (am) in a hospital ] 【前置詞句】

d) I heard [ the dog barking ].

[ the dog (was) barking ]【現在分詞】

e) I had [ my tooth pulled out ].

[ My tooth (was) pulled out ]【過去分詞】

どの例文も元は第3文型(SVO)だったものが、第5文型(SVOC)になっています。

もし、第5文型(SVOC)の文が作れないときには、まず目的語(O)が that 節の第3文型(SVO)の文を考えてみましょう。それから that 節の中を不定詞句あるいは小節へと変形させてみましょう。

予備知識を確認したので、英文の文法的な誤りを訂正してみましょう。