整数の性質|互除法を利用して1次不定方程式を解こう

数学A

数学A 整数の性質

互除法を利用して1次不定方程式を解いてみよう

\begin{align*} &\text{次の方程式の整数解をすべて求めよ。} \\[ 5pt ] &\quad 71x + 32y = 3 \end{align*}

問の解答・解説

互除法を利用して、係数である71と32の最大公約数を求めます。

問の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad 71x + 32y = 3 \\[ 7pt ] &\text{$71$ と $32$ の最大公約数を互除法で求める。} \\[ 5pt ] &\quad 71 = 32 \cdot 2 + 7 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad 32 = 7 \cdot 4 + 4 \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\quad 7 = 4 \cdot 1 + 3 \quad \cdots \text{③} \\[ 7pt ] &\quad 4 = 3 \cdot 1 + 1 \quad \cdots \text{④} \\[ 7pt ] &\text{$71$ と $32$ の最大公約数は $1$ である。} \end{align*}

最大公約数を求めることが目的ではないですが、①~④式を利用するので計算ミスには気を付けましょう。

①~④式を使って、計算を逆に辿っていきます。混乱を避けるために、係数を文字に置き換えておきます。また、①~④式から「余り=~」の形を導出します。

問の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad 71 = 32 \cdot 2 + 7 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad 32 = 7 \cdot 4 + 4 \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\quad 7 = 4 \cdot 1 + 3 \quad \cdots \text{③} \\[ 7pt ] &\quad 4 = 3 \cdot 1 + 1 \quad \cdots \text{④} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\text{ここで} \ m = 71 \ , \ n = 32 \ \text{とおく。} \\[ 5pt ] &\text{①より} \\[ 5pt ] &\quad 7 = 71 – 32 \cdot 2 \\[ 7pt ] &\text{$m = 71 \ , \ n = 32$ より} \\[ 5pt ] &\quad 7 = m – 2n \quad \cdots \text{①’} \\[ 7pt ] &\text{②より} \\[ 5pt ] &\quad 4 = 32 – 7 \cdot 4 \\[ 7pt ] &\text{これと①’より} \\[ 7pt ] &\quad 4 = n – (m – 2n) \cdot 4 \\[ 7pt ] &\text{整理すると} \\[ 5pt ] &\quad 4 = -4m + 9n \quad \cdots \text{②’} \\[ 7pt ] &\text{③より} \\[ 5pt ] &\quad 3 = 7 – 4 \cdot 1 \\[ 7pt ] &\text{これと①’,②’より} \\[ 5pt ] &\quad 3 = m – 2n – (-4m + 9n) \cdot 1 \\[ 7pt ] &\text{整理すると} \\[ 5pt ] &\quad 3 = 5m – 11n \quad \cdots \text{③’} \\[ 7pt ] &\text{④より} \\[ 5pt ] &\quad 1 = 4 – 3 \cdot 1 \\[ 7pt ] &\text{これと②’,③’より} \\[ 5pt ] &\quad 1 = -4m + 9n – (5m – 11n) \cdot 1 \\[ 7pt ] &\text{整理すると} \\[ 5pt ] &\quad 1 = -9m + 20n \\[ 7pt ] &\text{$m = 71 \ , \ n = 32$ より} \\[ 5pt ] &\quad 71 \cdot (-9) + 32 \cdot 20 = 1 \\[ 7pt ] &\text{この両辺に $3$ を掛けると} \\[ 5pt ] &\quad 71 \cdot (-27) + 32 \cdot 60 = 3 \quad \cdots \text{⑤} \\[ 7pt ] &\text{したがって、方程式の整数解の $1$ 組は} \\[ 5pt ] &\quad x = -27 \ , \ y = 60 \end{align*}

丁寧に記述すると、過程が長くなりますが、複雑な計算をしているわけではありません。

1組の整数解を見つけたら、与式と⑤式を加減算して一般解を求めます。

問の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad 71x + 32y = 3 \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad 71 \cdot (-27) + 32 \cdot 60 = 3 \quad \cdots \text{⑤} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\text{与式と⑤を減算すると} \\[ 5pt ] &\quad 71 (x+27) + 32 (y-60) = 0 \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad 71 (x+27) = -32 (y-60) \quad \cdots \text{⑥} \\[ 7pt ] &\text{$71$ と $32$ は互いに素であるので、$k$ を整数とすると} \\[ 5pt ] &\quad x+27 = 32k \quad \cdots \text{⑦} \\[ 7pt ] &\text{⑥,⑦より} \\[ 5pt ] &\quad y-60 = -71k \quad \cdots \text{⑧} \\[ 7pt ] &\text{⑦,⑧を整理すると、一般解は} \\[ 5pt ] &\quad x = 32k-27 \ , \ y = -71k + 60 \quad \text{($k$ は整数)} \end{align*}

自力で整数解が見つかるのであれば、それに越したことはありません。しかし、問題によってはなかなか見つからないときもあります。そんなときはユークリッドの互除法を利用してみましょう。

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さいごにもう一度まとめ

  • 互除法を利用して1組の整数解を見つけることができる。
  • 互除法での計算過程を逆に辿っていこう。
  • 混乱を避けるため、係数を文字に置き換えておこう。
  • 順序よく、文字式に置き換えていくと、1組の整数解が分かる式が得られる。