数学I・A|2017センター試験・第4問を解いてみよう

今回は2017年センター試験数学I・Aの第4問を解いてみましょう。
センター試験でも「整数」に関する問題が出題されるようになりました。教科書で履修するようになり、どこまで学習すれば良いのか分かるぶん、これまでよりは演習したり、対策を立てたりしやすくなりました。
そうは言っても苦手にしている人が意外と多い印象の「整数」の単元。難関大学の個別試験(2次試験)ではよく扱われるので、志望者はセンター試験レベルであってもこなせるようにしておきたいものです。
「整数」に関する問題でしたが、センター試験ではこれまで馴染みのなかった単元なので、傾向を読んだり対策を立てたりするのが難しかったのではないかと思います。
参考
数学I・A|2017センター試験・第1問を解いてみよう
参考
数学I・A|2017センター試験・第2問を解いてみよう
参考
数学I・A|2017センター試験・第3問を解いてみよう
数学I・Aの第4問について
数学I・Aの第4問は数A「整数の性質」からの出題でした。ベースになるのは小学校で学習した約数や倍数などです。
しかし、単に数値を求めるだけでなく、整数の性質を論理的に説明したり、理解したりする問題が比較的多いのが特徴だと思います。要するに証明問題がよく出題されるということです。
このことは特に数Aの単元全般に言えることだと思います。ですから、基本的な計算はもちろんですが、じっくりと思考することを意識して学習しておきましょう。
第4問の全体像を掴もう
第4問は以下のような問題でした。
全体を俯瞰してみると、(1)~(3)の小問形式になっています。特に、小問(1) , (2)が連動していることに注意しましょう。
また、小問(3)ではこれまでと異なる数を扱っているいます。そういうわけで、第4問は、小問(1) , (2)の前半部分と、小問(3)の後半部分の2部構成になっていると考えられます。
条件を満たす数をきちんと書き出し、それらを吟味すれば解くことができたと思います。
解答欄アイ
小問(1)は解答欄アイに関する問題です。
4で割り切れる数ということは、4の倍数であるということです。整数の性質を知っているかどうかが問われています。
3桁の自然数 $37a$ の下2桁は、$7 \ , \ a$ です。十の位の数が7と分かっているので、一の位の数だけを考えればよいことが分かります。
一の位の数には $0 \ , \cdots , \ 9$ の候補があります。これらから1つずつ選んで作った2桁の数 $70 \ , \cdots , \ 79$ の数を4で割っていき、割り切れる数を見つければ良いでしょう。
$70 \ , \cdots , \ 79$ の数のうち、4の倍数になるのは $72 \ , \ 76$ の2つです。
解答例は以下のようになります。
3桁の数を式で表す
3桁の数を式で表すことができます。これを利用して解く問題が出題されることもあります。
3桁の数を便宜上、$abc$ と表記します。このとき、$abc$ をそのまま計算で使うことはできません。あくまでも便宜上の表記だからです。
3桁の数 $abc$ を式で表すと以下のように表せます。
\begin{align*}
&100 \times a + 10 \times b + 1 \times c \\[ 5pt ]
= \ &100a + 10b + c
\end{align*}
解答欄ウ
小問(2)の解答欄ウに関する問題です。
4でも9でも割り切れる4桁の自然数は、言い換えると、4の倍数かつ9の倍数である数ということです。4の倍数である要件に加えて、9の倍数である要件も知っておく必要があります。
4桁の自然数 $7b5c$ が4の倍数であるので、下2桁の数 $5c$ が4の倍数になります。$50 \ , \cdots , \ 59$ から4の倍数を探すと、$52 \ , \ 56$ の2つです。これより、$c=2 \ , \ 6$ となります。
また、4桁の自然数 $7b5c$ が9の倍数であるので、各位の数の和を求めると $b+c+12$ になります。これと $c=2 \ , \ 6$ の結果を利用して $b$ の値を求めます。
$c=6$ のとき、各位の数の和 $b+c+12=b+18$ が9の倍数になるのは $b=0 \ , \ 9$ のとき
したがって、$b \ , \ c$ の組は $(b \ , \ c)=(0 \ , \ 6) \ , \ (4 \ , \ 2) \ , \ (9 \ , \ 6)$ の3個あることが分かります。
解答例は以下のようになります。
解答例は個別試験(2次試験)で記述することを考えたときの一例です。センター試験では、上述したように、条件式に代入して探していく解き方で充分だと思います。
解答欄エオ,カキ
小問(2)の解答欄エオ,カキに関する問題です。
先ほど求めた3組の $b \ , \ c$ の値を参考にすると、4でも9でも割り切れる4桁の自然数 $7b5c$ は $7056 \ , \ 7452 \ , \ 7956$ の3つです。
これらの中で最小になるのは $7056$ のときで、$b=0 \ , \ c=6$ です。また、最大になるのは $7956$ のときで、$b=9 \ , \ c=6$ です。
解答例は以下のようになります。
解答欄ク,ケ,コサ
小問(2)の解答欄ク,ケ,コサに関する問題です。
4桁の自然数 $7b5c$ が積の形で表されているので、因数分解をしたときの話です。
4桁の自然数 $7b5c$ は $7056 \ , \ 7452 \ , \ 7956$ と分かっているので、それぞれ変形して確かめます。その前に、${(6 \times n)}^{2}=36 \times {n}^{2}$ と変形しておきます。
ここで、4桁の自然数 $7b5c$ は4でも9でも割り切れす数なので、4の倍数かつ9の倍数、すなわち $36$ の倍数になります。ですから、4桁の自然数 $7b5c$ は、因数に $36$ を持っており、$36$ と何かの積で表すことができます。
4桁の自然数 $7b5c$ について色々と確認できたところで、3つの数 $7056 \ , \ 7452 \ , \ 7956$ を $36$ でそれぞれ割り、残りの数が ${n}^{2}$ の形になるか吟味します。
&7056 \div 36 = 196 = {14}^{2} \\[ 5pt ]
&7452 \div 36 = 207 = 9 \times 23 \\[ 5pt ]
&7956 \div 36 = 221
\end{align*}
すると、$7056$ のときだけが $7b5c={(6 \times n)}^{2}$ を満たすことが分かります。解答例は以下のようになります。
次は第4問(3)を解いてみましょう。