運用力を鍛える英文法基礎【第8回】

英文法

運用力を鍛える英文法

使役動詞や知覚動詞の受動態

一般に、第3~第5文型のように目的語(O)をもつ文型では、受動態に言い換えることができます。第1文型(SV)と第2文型(SVC)では、行為の受け手がいないので、受動態にできません。

使役動詞や知覚動詞を用いた第5文型(SVOC)の文であれば、受動態に言い換えることができます。ただし、いくつか注意点があります。

原形不定詞は to 不定詞へ

原形不定詞を to 不定詞にしなければなりません。

使役動詞や知覚動詞の受動態

【能動態】

They made me leave the room.(彼らは私に部屋を立ち退かせた)

【受動態】

× I was made leave the room.

〇 I was made to leave the room.(私は部屋を立ち退かされた)

【能動態】

I saw them enter the shop.(私は彼らが店に入るのを見た)

【受動態】

× They were seen enter the shop.

〇 They were seen to enter the shop.(彼らは店に入るのを見られた)

受動態になると to 不定詞になるのは、英語は動詞が2つ並ぶのを嫌って to を挟むからだそうです。確かに、to がないと、どちらが述語動詞(V)か分かり辛くなりそうです。

使役動詞や知覚動詞の受動態

原形不定詞から to 不定詞へ

使役動詞「let, have」の受動態

使役動詞のうち「let, have」では、「let, have」を用いたままで受動態に言い換えることができません。次のような受動態にします。

使役動詞「let, have」の受動態

【能動態】

He let me stay up late.(彼は私に夜更かしさせてあげた)

【受動態】

× I was let to stay up late.

〇 I was alloewd to stay up late.(私は夜更かしを許された

【能動態】

I had her make a cake.(私は彼女にケーキを作らせた)

【受動態】

× She was haven to make a cake.

〇 I had a cake made.(私はケーキを作ってもらった

「let」は「(本人の望み通りに)させる」の意味があり、「have」は「(当然してもらえることを)~させる、~してもらう」という意味があります。本人の望みや当然の権利が前提としてあるので、受動の表現が難しいのかもしれません。

使役動詞「let, have」の受動態

let と have には受動構文がない。let なら「be 動詞+ allowed」で、have なら「have +目的語(O)+過去分詞」で代用。

使役動詞「have, get」の受動態

使役動詞「have, get」の受動態は、「have / get +目的語(O)+過去分詞」の形で言い換えます。ただし、この形は、主語の意思の有無次第で使役か受動かが決まってくるので注意が必要です。

主語の意思で「~させる、~してもらう」という場合には使役になります。それに対して、主語の意思ではなく「~される」という場合には、受動を表します。

have / get +目的語(O)+過去分詞

①「O〔物〕を~された状態にさせる(してもらう)」【使役】

  • I had [got] my car tires checked.(車のタイヤを調べてもらった)
  • I got [had] my hair cut at the beauty salon.(美容院で髪を切ってもらった)

②「O〔体の一部、自分の持ち物〕を~される」【受動】

  • I got my fingers caught in the door.(ドアに指を挟まれた)
  • He had [got] his bike stolen.(彼は自転車を盗まれた)

「get」は所有物や身体の一部が「~される」という意味の場合が多く、偶発的な事故による被害などによく見られます。

小節を利用した受動態への言い換え

使役動詞「have」では受動態を作れないので、補語(C)に過去分詞をとる形にします。このとき、目的語(O)が元の文から変わっています。単に原形不定詞を過去分詞に変えるだけではないということです。

使役動詞「have」の受動態

【能動態】

I had her make a cake.(私は彼女にケーキを作らせた)

【受動態】

I had a cake made.(私はケーキを作ってもらった)

このことは、小節を利用すると分かりやすいです。小節の中では主述関係が成り立っています。ここに注目すれば、受動の意味の文を作ることができます。

① 小節の確認

I had [ her make a cake ].

私は [ 彼女がケーキを作る] という状態を持った

② 小節の主述関係を受動態へ

She made a cake【能動態】

⇒ a cake was made (by her)【受動態】

⇒ a cake made【be動詞を省くと小節】

③ 受動の意味の文

I had [ a cake made ]. 【小節を元の文に】

私は[ケーキが(彼女によって)作られた]という状態を持った

⇒ 私はケーキを作られた(作ってもらった)

「ケーキを作ってもらった」も使役の意味が含まれますが、「~させた」よりは受動の意味が出てきます。

予備知識を確認したので、英文の文法的な誤りを訂正してみましょう。