運用力を鍛える英文法基礎【第9回】

英文法

運用力を鍛える英文法

問9の訂正例

【問9】日本語訳を参考に、次の英文の文法的な誤りを直しなさい。

I called Mary up yesterday. I did not call her on at her house.

「昨日メアリーに電話しました。彼女の家に行ったわけではありません。」

※英文には文法的な誤りがあります

どちらの文にも述語動詞(V)として動詞「call」が用いられています。「~に電話をする」という意味では他動詞として用いられます。それだけでなく、「~に電話をかける」という意味の「call up」という句動詞でも用いられます。

また、「立ち寄る、訪問する」という意味では自動詞として用いられます。「~を訪問する」という意味では「call on」という句動詞もあります。

どちらも句動詞として用いられていると考えられます。句動詞のうしろに名詞が続く形であれば、前置詞と副詞の違いがあったとしても、間に挟む形が一般的な句動詞でない限り、問題は起きません。

しかし、間に挟む形であれば、動詞が自動詞なのか他動詞なのかで変わってきます。そういうわけで、それぞれの句動詞の「call」が自動詞なのか他動詞なのかを考える必要があります。

「自動詞+前置詞」と「他動詞+副詞」の区別

a)「メアリーに電話する」

〇 I call Mary up.

〇 I call up Mary.

⇒ Mary は代名詞でないので、どちらも可

b)「彼女に電話する」

〇 I call her up.

× I call up her.

⇒ 「他動詞+副詞」の形。her が代名詞なので、間に挟む

c)「彼女を訪問する」

× I call her on.

〇 I call on her.

⇒「自動詞+前置詞」の形。 her が代名詞だが、onが前置詞なので間に挟まない

call up」は「他動詞+副詞」の形の句動詞です。ですから、a) のように目的語(O)が名詞の場合には、句動詞の後ろでも間に挟んでも問題ありません。

それに対して、b) のように目的語(O)が代名詞の場合には、句動詞の後ろに置かず、間に挟む語順にしなければなりません。

call on」は「自動詞+前置詞」の形の句動詞です。句動詞で1つの他動詞として振る舞うので、目的語(O)である名詞や代名詞を間に挟む語順にはできません。

問9の英文を文法的に正しい英文に直すと以下のようになります。

問9の訂正例

× I did not call her on at her house.

〇 I did not call on her at her house.

「彼女の家に行ったわけではありません。」

訂正例の要素は以下の通りです。

訂正例の要素

I / called / Mary / up / ( yesterday ).

私は / 電話した / メアリーに /(昨日)

  • S+Vt+O+(M):第3文型(SVO)+(M)
  • 主語(S):I
  • 述語動詞(Vt):called+up
  • 目的語(O):Mary
  • 副詞的修飾語句(M):yesterday

I / did not call on / her / ( at her house ).

私は / 訪問しませんでした / 彼女を /(彼女の家に)

  • S+Vt+O+(M):第3文型(SVO)+(M)
  • 主語(S):I
  • 述語動詞(Vt):did not call on
  • 目的語(O):her
  • 副詞的修飾句(M):at her house

どちらも第3文型(SVO)をとる文ですが、動詞「call」が自動詞か他動詞かで目的語(O)の位置に違いが出てきます。

句動詞と目的語(O)の位置関係
  • 「他動詞+副詞」:目的語(O)は名詞であれば副詞の前後で可、代名詞であれば間に挟む。
  • 「自動詞+前置詞」の場合:目的語(O)は名詞、代名詞にかかわらず前置詞の後ろ。

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