図形と方程式|円上の点における接線について
円上の点における接線を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
(1) 円 $x^{2}+y^{2}-2x-4y-20=0$ 上の点 $(4 \ , \ 6)$ における、この円の接線の方程式を求めよ。
(2) 円 $\left(x+3 \right)^{2}+\left(y-3 \right)^{2}=13$ 上の点 $(-1 \ , \ 0)$ における、この円の接線の方程式を求めよ。
入試レベルでは、問(1)のように一般形で与えられることがほとんどです。きちんと変形できるようにしておきましょう。
問(1)の解答・解説
問(1)
円 $x^{2}+y^{2}-2x-4y-20=0$ 上の点 $(4 \ , \ 6)$ における、この円の接線の方程式を求めよ。
与式のままでは中心が分からないので、与式を変形します。
問(1)の解答例 1⃣
与式を変形すると
\begin{align} &\quad x^{2}+y^{2}-2x-4y-20=0 \\[ 7pt ] &\quad \left(x-1 \right)^{2}-1+\left(y-2 \right)^{2}-4-20=0 \\[ 7pt ] &\quad \left(x-1 \right)^{2}+\left(y-2 \right)^{2}=25 \end{align}よって、円の中心は $(1 \ , \ 2)$ である。
円の中心が分かったので、中心が原点にくるように円を平行移動します。これに伴って、接点の座標が変わるので注意しましょう。
問(1)の解答例 2⃣
中心 $(1 \ , \ 2)$ が原点にくるように平行移動すると、接点は $(4-1 \ , \ 6-2)$ に移る。
この接点における接線の方程式は
\begin{align} \quad \left(4-1 \right)x+\left(6-2 \right)y=25 \end{align}と表せる。
平行移動後の接線は、原点を中心とする円の接線です。これをもとの位置に平行移動します。
はじめにx軸方向に-1だけ、y軸方向に-2だけ平行移動したので、その反対のぶんだけ移動させます。つまり、x軸方向に+1だけ、y軸方向に+2だけ平行移動させると、元の位置に戻ります。
問(1)の解答例 3⃣
\begin{align} &\quad \vdots \\[ 7pt ] \quad &\left(4-1 \right)x+\left(6-2 \right)y=25 \\[ 7pt ] &\quad \vdots \end{align}この接線を $x$ 軸方向に $1$、$y$ 軸方向に $2$ だけ平行移動したものが、円上の点 $(4 \ , \ 6)$ における接線の方程式である。
よって、その方程式は
\begin{align} \quad \left(4-1 \right)\left(x-1 \right)+\left(6-2 \right)\left(y-2 \right)=25 \end{align}これを整理すると
\begin{align} \quad 3x+4y-36=0 \end{align}ここでは、例題に合わせて解きましたが、一般には以下のように解きます。
問(1)の別解例
与式を変形すると
\begin{align} \quad \left(x-1 \right)^{2}+\left(y-2 \right)^{2}=25 \ \cdots \ \text{①} \end{align}円①上の点 $(4 \ , \ 6)$ における接線の方程式は
\begin{align} \quad \left(4-1 \right)\left(x-1 \right)+\left(6-2 \right)\left(y-2 \right)=25 \end{align}これを整理すると
\begin{align} \quad 3x+4y-36=0 \end{align}公式に代入してしまうので、記述はほとんどしなくて済みます。代入する数と文字との対応関係を間違わないように気を付けましょう。
問(2)の解答・解説
問(2)
円 $\left(x+3 \right)^{2}+\left(y-3 \right)^{2}=13$ 上の点 $(-1 \ , \ 0)$ における、この円の接線の方程式を求めよ。
問(2)では、円の方程式が基本形で与えられています。基本形であれば、円の中心や半径が方程式からすぐに分かります。
問(1)と同様に、与えられた円が原点中心の円となるように平行移動します。平行移動に伴って、接点の座標も変わるので気を付けましょう。
問(2)の解答例 1⃣
与式から、円の中心は $(-3 \ , \ 3)$ であり、これが原点にくるように平行移動すると、接点は $(-1+3 \ , \ 0-3)$ に移る。
この接点における接線の方程式は
\begin{align} \quad \left(-1+3 \right)x+\left(0-3 \right)y=13 \end{align}と表せる。
平行移動後の接線は、原点を中心とする円の接線です。これをもとの位置に平行移動します。
はじめにx軸方向に3だけ、y軸方向にー3だけ平行移動したので、その反対のぶんだけ移動させます。
問(2)の解答例 2⃣
\begin{align} &\quad \vdots \\[ 7pt ] \quad &\left(-1+3 \right)x+\left(0-3 \right)y=13 \\[ 7pt ] &\quad \vdots \end{align}この接線を $x$ 軸方向に $-3$、$y$ 軸方向に $3$ だけ平行移動したものが、円上の点 $(-1 \ , \ 0)$ における接線の方程式である。
よって、その方程式は
\begin{align} \quad \left(-1+3 \right)\left\{x-\left(-3 \right) \right\}+\left(0-3 \right)\left(y-3 \right)=13 \end{align}これを整理すると
\begin{align} &\quad 2\left(x+3 \right)-3\left(y-3 \right) =13 \\[ 7pt ] &\quad 2x+6-3y+9=13 \end{align}よって
\begin{align} \quad 2x-3y+2=0 \end{align}原点中心の円以外での、円の接線の求め方を理解するために、例題通りに解きました。図形の平行移動がポイントになることが理解できたのではないでしょうか。
一般には、原点中心でなくても接線の公式があるので、それを利用して求めます。
問(2)の別解例
与式を①とする
\begin{align} \quad \left(x+3 \right)^{2}+\left(y-3 \right)^{2}=13 \ \cdots \ \text{①} \end{align}円①上の点 $(-1 \ , \ 0)$ における接線の方程式は
\begin{align} \quad \left(-1+3 \right)\left(x+3 \right)+\left(0-3 \right)\left(y-3 \right)=13 \end{align}これを整理すると
\begin{align} &\quad 2\left(x+3 \right)-3\left(y-3 \right) =13 \\[ 7pt ] &\quad 2x+6-3y+9=13 \end{align}よって
\begin{align} \quad 2x-3y+2=0 \end{align}公式を利用すれば簡単に求めることができますが、どのような過程で公式が得られるのかを理解しておくことが大切です。入試レベル、特に共通テストでは、導出の過程を問われることが意外と多いので注意しましょう。
円の接線の方程式の覚え方
円の接線の方程式を覚えるのは、それほど難しくありません。特徴的なので演習をいくつかこなせばすぐに覚えてしまうでしょう。
円の接線の方程式(原点中心)
\begin{align} \quad x^{2}+y^{2}=r^{2} \ \cdots \ \text{①} \end{align}円①上の点 $(x_{1} \ , \ y_{1})$ における接線の方程式
$x \ , \ y$ の累乗表記をばらして
\begin{align} \quad xx+yy=r^{2} \end{align}一方の $x \ , \ y$ に接点を代入すると
\begin{align} \quad x_{1} x+y_{1} y=r^{2} \end{align}円の接線の方程式(原点中心以外)
\begin{align} \quad \left(x-a \right)^{2}+\left(y-b \right)^{2}=r^{2} \ \cdots \ \text{②} \end{align}円②上の点 $(x_{1} \ , \ y_{1})$ における接線の方程式は
$x \ , \ y$ の累乗表記をばらして
\begin{align} \quad \left(x-a \right)\left(x-a \right)+\left(y-b \right)\left(y-b \right)=r^{2} \end{align}一方の $x \ , \ y$ に接点を代入すると
\begin{align} \quad \left(x_{1}-a \right)\left(x-a \right)+\left(y_{1}-b \right)\left(y-b \right)=r^{2} \end{align}公式を覚えるときは、導出の過程にも注目しよう。
Recommended books
お勧めする2冊で紹介されている勉強法は、あくまでも彼・彼女が作り上げた勉強法なので、それらがそのまま使えるわけではないかもしれません。
しかし、成績がなかなか上がらなかったり、資格や検定の試験で不合格になったりすると、自分の勉強法に自信が持てなくなることがあります。そんなときに一読すると、自分の勉強法に足りない部分が見えてくるかもしれません。
人それぞれに勉強法はあると思いますが、根本的な部分にそう変わりはありません。変わるとすればアプローチの仕方ではないでしょうか。性格や環境などが異なるので、自分に合ったアプローチの仕方を考えなくてはなりません。
お勧めの2冊は、自分なりの勉強法を確立する上で、その助けになるかと思います。
オススメその1
東大生クイズ王で有名な伊沢拓司さん渾身の書き下ろしです。彼自身の「勉強法」を知ることができるのが本書です。
高校時代、クイズ界で「知識のモンスター」として名を成しましたが、その一方で学業がおろそかになってしまいました。そのため、成績は学年で下から数えるほどに……。
そこから彼なりに勉強法を分析し、実践して、みごと東大合格を勝ち取りました。本書では、勉強法だけでなく、クイズ王の暗記術やノート術なども公開されています。
東大生クイズ王・伊沢拓司、渾身のALL書き下ろし!
東大生クイズ王・伊沢拓司が、自身の「勉強法」を一から解き明かします。その他、クイズ王の暗記術、ノート術など、伊沢氏が考える「勉強の骨肉」を一挙大公開!
- 第1章 なぜ受験勉強をするのか?
- 第2章 勉強法こそが大事だ
- 第3章 「受験生活」への入り方
- 第4章 成績の読み方が視界をクリアにする
- 第5章 「たかが暗記」とまだ言うか?
- 第6章 曇りなき思考で見定め、決める
- 第7章 教科ごとの特徴をつかめ
- 第8章 合格の先、不合格の先
オススメその2
東大文1に現役で合格し、司法試験予備試験を在学中に合格した、鈴木光さん。大学卒業後は、弁護士の夢を叶えることに集中されるそうです。
本書では、彼女の実践している、「勉強の計画」「問題の解法」「暗記法」「勉強の継続方法」などが系統立てて説明されています。良書です。
定期テスト、入試、資格試験…すべてに使える勉強の“基本”が網羅されているので、吸収できれば応用が利くでしょう。夢や目標を叶えるための効率的な学びのメソッドを学べます。
「みなさんの家庭教師になったつもりでこの本を書きました」
TV出演多数の東大生・鈴木光による初の著書!
- はじめに
- 序章 探る 勉強目標・計画を立ててみよう
- 第1章 知る 問題を解くための「考え方」を身につけて勉強を始めよう
- 第2章 憶える 知識を自分のものにしよう
- 第3章 整える 勉強を続けられる環境をつくろう
- 第4章 正す 結果を振り返ってやり方を修正してみよう
- 第5章 突破する 科目別の攻略法
- 終章 さまざまな学ぶ場
- おわりに
- 特別コラム
オススメその3
数学だけに限らず、高校での学習をスムーズに進めていくには「読解力」や「論理的な思考力(地頭がいい)」などが必要ではないかと思います。数学Aでは特に必要だと思います。
これらはどちらかと言うと、短期間で身に付くものではなく、長期間の経験によって習得できるものです。ただ、大事なことなのに習得に時間が掛かるのはリスクが高すぎますし、方法論も知らずに取り組んでいても習得できるかも分かりません。
そこでお勧めしたいのが『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』です。
マネするだけで、誰でも、どんな本でも!
- 速く読める
- 内容を忘れない
- 応用できる
東大生は、そんな超・実践的な読書術を自然と習得していました。ホントは教えたくなかったノウハウを、一冊に凝縮します!
一生使える5つの「スゴい読み方」
- 「読み込む力」を劇的に上げる…仮説作り
- 「論理の流れ」がクリアに見える…取材読み
- 「一言で説明する力」を鍛える…整理読み
- 「多面的なモノの見方」を身につける…検証読み
- 「ずっと覚えている」ことができる…議論読み
東大生が当たり前に実践している方法を身に付ければ、教科書や参考書もサクサク読めるかも。興味のある人はぜひ一読を。
さいごにもう一度まとめ
- 円外の点と接点とを混同しない。
- 中心が原点かどうかを確認しよう。
- 一般化した円の接線の方程式を覚えよう。
- 図解してから解こう。
- 公式を覚えるときは特徴を探そう。