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複素数と方程式|2次方程式の係数と2つの解の符号について

数学2

2次方程式の係数と2つの解の符号を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

2 次方程式x2+2(a3)x+a+3=0の解が次の条件を満たすような定数 a の値の範囲をそれぞれ求めよ。(1)異なる 2 つの正の解をもつ(2)異符号の解をもつ

定数 a は2次方程式の係数や定数項に含まれています。問では、解の符号が条件となっています。解と係数をつなぐのは、解と係数の関係です。

問(1)の解答・解説

問(1)

2 次方程式x2+2(a3)x+a+3=0の解が次の条件を満たすような定数 a の値の範囲をそれぞれ求めよ。(1)異なる 2 つの正の解をもつ

2次方程式の解が異なる2つの正の解となる条件を書き出します。

問(1)の解答例 1⃣

2 次方程式の 2 つの解を α , β、判別式を D とする。2 次方程式が異なる 2 つの正の解をもつためにはD4>0α+β>0αβ>0が成り立てばよい。

重解を含まないことに注意しましょう。3つの条件から、定数aについての式を導きます。②,③式では、解と係数の関係を利用します。

問(1)の解答例 2⃣

①より(a3)2(a+3)>0これを解くとa27a+6>0(a1)(a6)>0a<1 , 6<a②より2(a3)>0これを解くとa<3③よりa+3>0これを解くと3<a

定数aについての式を3つ導くことができました。定数aは、これらをすべて満たさなければなりません。そこで、3つの範囲の共通部分を求めます。範囲の共通部分を探すときは、数直線を利用しましょう。

3つの条件をすべて満たす範囲は共通部分

3つの範囲の共通部分なので、横線が3つ重なる範囲を探します。

問(1)の解答例 3⃣

④,⑤,⑥の共通範囲を求めればよい。よって、定数 a の値の範囲は3<a<1

問(1)の別解例

2次関数のグラフを利用すると、以下のようになります。

異なる2つの正の解をもつときのグラフ

図示したグラフを見ながら、2次方程式の解が異なる2つの正の解となる条件を書き出します。

2次方程式の解が異なる2つの正の解となるのは、グラフがx軸の正の部分と異なる2点で交わるときです。

問(1)の別解例

与えられた 2 次方程式の判別式を D とする。f(x)=x2+2(a3)x+a+3 のグラフを利用するとD4=(a1)(a6)>0x=2(a3)21>0f(0)=a+3>0が成り立てばよい。①よりa<1 , 6<a②よりa<3③より3<a④,⑤,⑥の共通範囲を求めればよい。よって、定数 a の値の範囲は3<a<1

2つの解の和と積を見かけたら、解と係数の関係を利用しよう。

問(2)の解答・解説

問(2)

2 次方程式x2+2(a3)x+a+3=0の解が次の条件を満たすような定数 a の値の範囲をそれぞれ求めよ。(2)異符号の解をもつ

問(1)と同じ要領で解きます。2次方程式の解が異符号の解となる条件を書き出します。

問(2)の解答例 1⃣

2 次方程式が異符号の解をもつためにはαβ<0が成り立てばよい。

この条件から、定数aについての式を導きます。式が1つだけなので、ミスなく変形しましょう。

問(2)の解答例 2⃣

⑦よりa+3<0したがって、定数 a の値の範囲はa<3

問(2)は、実数解の符号に関する問題の中でも解きやすいので、必ず完答しましょう。

問(2)の別解例

2次関数のグラフを利用すると、以下のようになります。

異符号の解をもつときのグラフ

図示したグラフを見ながら、2次方程式の解が異符号の解となる条件を書き出します。

2次方程式の解が異符号の解となるのは、グラフがy軸の負の部分と交わるときです。y軸の負の部分と交わりさえすれば、グラフはx軸の正の部分と負の部分とで1点ずつ交わります。

問(2)の別解例

f(x)=x2+2(a3)x+a+3 のグラフを利用するとf(0)=a+3<0が成り立てばよい。⑦より、定数 a の値の範囲はa<3

2次方程式は、2次関数においてy=0のときの式です。つまり、2次方程式は、2次関数の一部であると言えます。ですから、グラフを用いることは、決して無駄なことではありません。

可視化されるので、イメージが湧きやすく、内容読解の助けにもなります。問題を解く見通しが立たないときには、グラフを利用しながら考えてみましょう。

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さいごにもう一度まとめ

  • 2次方程式の係数と2つの解の符号では、解と係数の関係を利用しよう。
  • 2次方程式の2つの解の符号についての条件は、2つの解の和と積から導こう。
  • 2次方程式の2つの解の符号についての条件は、グラフを用いると書き出しやすい。
  • 2次方程式の2つの解の符号の組み合わせは全部で3通り。