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複素数と方程式|3次方程式の解と係数の関係について

数学2

3次方程式の解と係数の関係を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

3 次方程式x33x+5=0の 3 つの解をα , β , γとするとき、次の式の値を求めよ。(1)(α+β)(β+γ)(γ+α)(2)α3+β3+γ3(3)α5+β5+γ5

問(1)の解答・解説

問(1)

3 次方程式x33x+5=0の 3 つの解をα , β , γとするとき、次の式の値を求めよ。(α+β)(β+γ)(γ+α)

式の値を扱った問題では、どの問でも解と係数の関係を利用します。基本対称式の値を先に求めておきましょう。

問(1)の解答例 1⃣

x33x+5=0解と係数の関係よりα+β+γ=01=0αβ+βγ+γα=31=3αβγ=51=5

与式を展開したいところですが、解と係数の関係を考慮に入れると、かなり楽に変形できます。

問(1)の解答例 2⃣

解と係数の関係よりα+β+γ=01=0であるので、α+β=γβ+γ=αγ+α=β

解と係数の関係を表す式の1つを変形して、与式に代入します。このようにすることで、与式を展開するよりも簡単に与式を変形できます。

代入後、式を整理すると、与式の値を求めることができます。

問(1)の解答例 3⃣

γ+α=βよって(α+β)(β+γ)(γ+α)=(γ)(α)(β)より(α+β)(β+γ)(γ+α)=αβγしたがって(α+β)(β+γ)(γ+α)=(5) (α+β)(β+γ)(γ+α)=5

問(1)の与式を展開すると大変なことになります。解と係数の関係を表す式を上手に利用しましょう。

問(2)の解答・解説

問(2)

3 次方程式x33x+5=0の 3 つの解をα , β , γとするとき、次の式の値を求めよ。α3+β3+γ3

例題(2)で扱った式です。覚えた式通りに変形します。変形できたら、値を代入して整理します。

問(2)の解答例

与式よりα3+β3+γ3=(α+β+γ)(α2+β2+γ2αββγγα)+3αβγここでα+β+γ=0よってα3+β3+γ3=0+3(5) α3+β3+γ315

変形した後の式では一部の式の値が不明ですが、それでも構いません。解と係数の関係からα+β+γ=0であることが分かっているからです。上手いこと項が消えてしまいます。

解答例の式変形を難しく感じる人は、次の別解例のように、次数を下げましょう。

問(2)の別解例

α , β , γ は 3 次方程式の解であるのでα33α+5=0β33β+5=0γ33γ+5=0よってα3=3α5β3=3β5γ3=3γ5これらを与式に代入するとα3+β3+γ3=(3α5)+(3β5)+(3γ5)よりα3+β3+γ3=3(α+β+γ)15したがってα3+β3+γ3=3015 α3+β3+γ3=15

問(3)の解答・解説

問(3)

3 次方程式x33x+5=0の 3 つの解をα , β , γとするとき、次の式の値を求めよ。α5+β5+γ5

与式は5次式です。5次式の変形はめったにやりませんし、公式も学習していません。このような場合には、次数を下げることが有効です。

そのために、解を方程式に代入すると等式が成り立つことを利用します。そして、得られた式を代入しやすい形に変形します。

問(3)の解答例 1⃣

α , β , γ は 3 次方程式の解であるのでα33α+5=0β33β+5=0γ33γ+5=0よってα3=3α5β3=3β5γ3=3γ5

与式に代入して、次数を下げます。式を整理して、値を代入しやすくします。

問(3)の解答例 2⃣

γ3=3γ5これらを与式に代入するとα5+β5+γ5=α2(3α5)+β2(3β5)+γ2(3γ5)よってα5+β5+γ5=3(α3+β3+γ3)5(α2+β2+γ2)

次数を下げると、3次式と2次式の和になりました。問(2)の結果から、3次式の値は既知ですが、2次式の値が不明です。2次式の値を求め、与式の値を求めます。

問(3)の解答例 3⃣

α5+β5+γ5=3(α3+β3+γ3)5(α2+β2+γ2)ここでα2+β2+γ2=(α+β+γ)22(αβ+βγ+γα)よりα2+β2+γ2=022(3) α2+β2+γ2=6したがってα5+β5+γ5=3(15)56 α5+β5+γ5=75

次数を下げる解法を利用できるのは、たいていの場合、与式が3次以上の式からです。ただ、問(2)の3次式は、証明や因数分解の問題などに出題されることがあります。3次式の式変形まではできるようにしておいた方が無難です。

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さいごにもう一度まとめ

  • 3次方程式の解と係数の関係をきちんと覚えよう。
  • 対称式は基本対称式を用いて表すことができる。
  • 2次式や3次式の式変形に慣れておこう。
  • 4次以上の式変形では、次数を下げることから取り組もう。
  • 2次式や3次式の式変形は、展開や因数分解でも利用されるので注意しよう。