整数の性質|1次不定方程式について

今回は1次不定方程式について学習しましょう。この単元も頻出です。
マーク形式の入試でも1次不定方程式を扱った問題が出題されています。得点源にできると有利なので、十分に演習をこなしておきましょう。
1次不定方程式の単元で学習すること
この単元では、以下のような事柄を学習します。
1次不定方程式の単元で学習する事柄
- 1次不定方程式について
- 1次不定方程式の解き方と解の表し方
新しい用語や定理が出てきます。まずは文言通りに正しく覚えることが大切です。
1次不定方程式について
厳密に言えば、2元1次不定方程式です。この方程式は、2種類の文字を含む1次式を使った等式です。
中学では、方程式の解がただ1つに定まらない例として、連立方程式の単元で挙げられています。以下、単に1次不定方程式と記載します。
例えば、1次不定方程式は以下のような式です。
1次不定方程式の例
5x−2y=15x+3y=43x+4y=5係数は基本的に整数です。ただし、応用問題になると、係数が分数や小数になるかもしれません。
このような1次不定方程式を満たす解は、ただ1つに定まらず、無数にあるのが特徴です。なお、連立方程式になると、解はただ1つに定まります。
1次不定方程式は、一般に以下のように定義されます。
1次不定方程式の定義
a , b , c を整数の定数とするとき
ax+by=cで表される式。
ただし、a≠0 , b≠0
1次不定方程式の無数にある解の中でも、整数x,yの組のことを整数解と言います。この整数解を求めることを1次不定方程式を解くと言います。
用語のまとめ
- 1次不定方程式:2種類の文字x,yを含む1次式を用いた等式。係数は0でない整数
- 1次不定方程式の整数解:1次不定方程式を満たす整数x,yの組
- 1次不定方程式を解く:整数解を求めること
この単元では、1次不定方程式の解き方や整数解の表し方を中心に学習します。
1次不定方程式の解き方と解の表し方
1次不定方程式の解き方には少し工夫が必要です。なぜかと言うと、1次不定方程式の解は整数解であっても無数にあるからです。
1次不定方程式の整数解
5x−2y=1の整数解は
(x , y)=(1 , 2) , (3 , 7) , (5 , 12) ,⋯のように無数にある。
ただ1つに定まらない整数解をどのようにして求め、そしてどのようにして表すのか、ここが答案作成のポイントになります。
1次不定方程式の解き方
1次不定方程式と整数解の関係は、一般に以下のように表されます。
1次不定方程式と整数解の関係
2 つの整数 a , b が互いに素であるならば、任意の整数 c について
ax+by=cを満たす整数 x , y が存在する。
また、整数解の 1 つを
x=p , y=qとすると、すべての整数解は
x=bk+p , y=−ak+q ( k は整数)と表される。
2つの整数a,bが互いに素であることを忘れないようにしましょう。
また、すべての整数解は任意の整数kを用いて表されます。無数にある整数解を書き並べるには限界があるので、一般化するしかありません。
このように、すべての整数解は一般化された解で表され、一般解と言われます。
実際に具体例で確認してみましょう。
1次不定方程式の一般解を求めてみよう
例題
方程式 5x−2y=1 の整数解をすべて求めよ。
まず、1組の整数解を見つけることから始めましょう。
方程式のx,yに自分で整数を代入します。等式が成り立つのは、左辺の式の値が右辺と等しくなるときです。このときのx,yの値が方程式の整数解です。
整数解の1組くらいはすぐに見つかります。慌てずに代入して確かめてみましょう。
例題の解答例 1⃣
5x−2y=1⋯①において、x=1 , y=2 のとき
(左辺)=5⋅1−2⋅2=1より、等式が成り立つ。
よって、x=1 , y=2 は整数解の 1 組。
また、x=1 , y=2 を①に代入すると
5⋅1−2⋅2=1⋯②整数解を見つけたら、この整数解を①式に代入します。このとき、②式の左辺は整数解を代入しただけにしておきましょう。
次に、①式を②式(整数解の1組を①に代入した式)で減算します。ここからが1次不定方程式の解き方で大切なところです。少しテクニカルですが、よく考えられており、興味深いところです。
例題の解答例 2⃣
5x−2y=1⋯①⋮5⋅1−2⋅2=1⋯②①-②より
5x−2y=1−)5⋅1−2⋅2=15(x−1)−2(y−2)=0この減算によって、右辺が0になります。この式を変形します。
例題の解答例 3⃣
⋮5(x−1)−2(y−2)=0これを変形すると
5(x−1)=2(y−2)⋯③①,②式を減算して右辺を0にすることで、③式を導出できます。整数解の1組を見つけたら、③式を導出しましょう。
1組の整数解 (p , q) を見つけて
a(x−p)+b(y−q)=0
を導出しよう。
③式を導出したら、左辺と右辺の関係を調べます。ここで上述した、2つの係数a,bの関係が効いてきます。
左辺は5の倍数で、右辺は2の倍数です。2と5は互いに素であるにもかかわらず、両辺が等しいことを表すのが③式です。
等式が成り立つには、右辺が2の倍数であれば、左辺も2の倍数であるはずです。また、左辺が5の倍数であれば、右辺も5の倍数であるはずです。
このような関係から、左辺のx-1は2の倍数であり、右辺のy-2は5の倍数であると言えます。
例題の解答例 4⃣
⋮5(x−1)=2(y−2)⋯③③において、2 と 5 は互いに素である。
よって、x−1 は 2 の倍数である。
これより、k を整数とすると
x−1=2k⋯④と表せるので
x=2k+1xの値を求めることができました。整数解は複数あるので、このように一般化した式で表す必要があります。
また、③,④式からyの値を求めます。
例題の解答例 5⃣
⋮5(x−1)=2(y−2)⋯③⋮x−1=2k⋯④⋮x=2k+1④を③に代入すると
5⋅2k=2(y−2)これを y について変形すると
y=5k+2したがって、求める整数解は
x=2k+1 , y=5k+2 ( k は整数)きちんと定義通りの整数解を得ることができました。③式以降の流れでは、左辺と右辺の因数に注目しています。
このことは、公約数や公倍数を求めるとき、素因数分解して因数の関係を考えたことと同じようなことをしています。
1次不定方程式ax+by=cの一般解を求める手順をまとめておきましょう。
1次不定方程式ax+by=cの一般解を求める手順
- 1組の整数解x=p,y=qを見つける。
- 方程式に整数解を代入してa・p+b・q=c(①式)をつくる。
- 方程式を①式で減算してa(x-p)+b(y-q)=0(②式)をつくる。
- ②式を変形してa(x-p)=-b(y-q) (③式)とする。
- ③式とa,bが互いに素であることからx-p=bk(kは整数)を導く。
- x-p=bkを③式に代入してy-q=-akを導く。
- 手順5,6で得られた式を整理すると、一般解x=bk+p,y=-ak+q(kは整数)
次は1次不定方程式を扱った問題を実際に解いてみましょう。