式と証明|恒等式の証明について

恒等式の証明を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
等式(恒等式)の証明では、主に式の展開を用います。計算ミスに気をつければ、証明するのはそれほど難しくありません。丁寧な計算過程を記述しましょう。
問(1)の解答・解説
問(1)
右辺の方が複雑なので、右辺から左辺を導きます。右辺を展開するやり方には色々ありますが、できるだけ楽な計算になるように気を付けましょう。
問(1)の解答例
上述の解答例では、波括弧の中の式をそれぞれ展開したとき、共通な多項式ができることに注目しています。波括弧の中の式の扱い方によって、計算量が変わってきます。
ほとんどの人は、分配法則で波括弧を外す変形をするでしょうが、もちろんそれで構いません。ただし、工夫は必要です。
問(1)の別解
分配法則で波括弧を外す変形は以下のようになります。
問(1)の別解例
分配法則で展開するとき、4つの項ができます。4つの項のうち、b2を掛けた項を1つにまとめるのが工夫です(別解例の下線部分)。
等式の証明では、計算ミスがなければ必ず同じ式になります。ですから、意識するのは「どのようにして上手く変形するか」ということです。
問(2)の解答・解説
問(2)
(2)では、文字が全部で8種類あります。かなり文字の種類が多いので、どの方法を選んでも大変そうです。
変形が少しでも楽になるように工夫をします。
問(2)の解答例 1⃣
知らないとできない工夫かもしれませんが、文字の種類が半分に減りました。文字の数が減り、だいぶ見やすくなりました。
式の複雑さは左辺も右辺もあまり変わりません。ここでは、両辺をそれぞれ変形して、同じ式を導きます。
問(2)の解答例 2⃣
等式の証明では、展開して同類項を整理する方法が最も簡単です。展開するのが左辺と右辺の一方だけで済むのかどうかをしっかり吟味すると、あとが楽になるでしょう。
展開して整理する方法をまず第一に考えよう。
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さいごにもう一度まとめ
- 恒等式(等式)の証明では、左辺と右辺の一方を変形して、他方を導く。
- 恒等式(等式)の証明では、両辺を変形して、同じ式を導く。
- 恒等式(等式)の証明では、(左辺)ー(右辺)=0を導く。
- 与式を見て、簡単に証明できそうな方法を選ぼう。