整数の性質|n進法の四則計算について

n進法の四則計算を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
次の計算の結果を[ ]内の記数法で表わせ。
(1)1222(3)+1120(3)[3進法](2)110100(2) –101101(2)[2進法](3)2304(5)×203(5)[5進法](4)110001(2)÷111(2)[2進法]問(1)の解答・解説
問(1)
次の計算の結果を[ ]内の記数法で表わせ。
1222(3)+1120(3)[3進法]問(1)は、3進法で表された数の加法です。3進法では0~2の3個の数字を用いて数を表すので、和が3になると繰り上がります。
3進法での加法
+012001211210221011 1+2=2+1=3=10(3)2+2=4=3+1=11(3)10進法のときと同じように足して構いません。ただし、和が3以上になれば、3進法のルールに従った数に変換します。
問(1)の解答例
1222+112010112よって
1222(3)+1120(3)=10112(3)10進数に変換して計算した場合、以下のようになります。
問(1)の別解例
1222(3)=1⋅33+2⋅32+2⋅31+2⋅30=27+18+6+2=531120(3)=1⋅33+1⋅32+2⋅31+0⋅30=27+9+6+0=42より
53+42=953 進数に戻すと
95=10112(3)10進数で計算した方が、繰り上がりや繰り下がりに気を使わずに済みます。
問(2)の解答・解説
問(2)
次の計算の結果を[ ]内の記数法で表わせ。
110100(2) –101101(2)[2進法]問(2)は、2進法で表された数の減法です。2進法の減法では10-1=1(2)であることに注意しましょう。
問(2)の解答例
110100–101101111よって
110100(2) –101101(2)=111(2)10進数に変換した場合、以下のようになります。
問(2)の別解例
110100(2)=1⋅25+1⋅24+0⋅23+1⋅22+0⋅21+0⋅20=32+16+0+4+0+0=52101101(2)=1⋅25+0⋅24+1⋅23+1⋅22+0⋅21+1⋅20=32+0+8+4+0+1=45より
52 –45=72 進数に戻すと
7=111(2)よって
110100(2) –101101(2)=111(2)減法では繰り下がりに気をつけよう。
問(3)の解答・解説
問(3)
次の計算の結果を[ ]内の記数法で表わせ。
2304(5)×203(5)[5進法]問(3)は、5進法で表された数の乗法です。5進法では0~4の5個の数字を用いて数を表すので、和が5になると繰り上がります。
5進法での乗法
×0123400000010123420241113303111422404132231 2×3=3×2=6=5+1=11(5)3×3=9=5+4=14(5)3×4=4×3=12=5+5+2=22(5)4×4=16=5+5+5+1=31(5)10進法のときと同じように掛けて構いません。ただし、積が5以上になれば、5進法のルールに従った数に変換します。
問(3)の解答例
2304×203124221011301024222よって
2304(5)×203(5)=1024222(5)5進法の基本計算を表にしておいて、それを見ながら計算すると間違えにくいでしょう。
10進数に変換した場合、以下のようになります。
問(3)の別解例
2304(5)=2⋅53+3⋅52+0⋅51+4⋅50=250+75+0+4=329203(5)=2⋅52+0⋅51+3⋅50=50+0+3=53より
329×53=174375 進数に戻すと
17437=1024222(5)よって
2304(5)×203(5)=1024222(5)問(3)のような問題になると、そのまま計算しても10進法に変換してもそれなりに大変です。
問(4)の解答・解説
問(4)
次の計算の結果を[ ]内の記数法で表わせ。
110001(2)÷111(2)[2進法]問(4)は、2進法で表された数の除法です。除法は乗法と減法を組み合わせて計算します。2進法の減法では 10-1=1(2)となるので注意しましょう。
解答例は以下のようになります。10進法での除算と変わりませんが、乗法と減法は2進法で行います。
2進法の除法では、商に立てる数字は0または1になるので、乗法の計算は難しくありません。ミスが多いのは、やはり乗法よりも減法です。
また、10進数に変換した場合、解答例は以下のようになります。
問(4)の別解例
110001(2)=1⋅25+1⋅24+0⋅23+0⋅22+0⋅21+1⋅20=32+16+0+0+0+1=49111(2)=1⋅22+1⋅21+1⋅20=4+2+1=7より
49÷7=72 進数に戻すと
7=111(2)よって
110001(2)÷111(2)=111(2)n進法の四則計算は底(nのこと)によって繰り上がりや繰り下がりのルールが変わります。難しく感じるかもしれませんが、慣れてくると意外と面白い計算です。
ただ、面白いとは言え、計算ミスをするのはいただけないので、「いったん10進数に変換して計算し、その後でn進数に戻す」ことを基本方針にしましょう。わざわざ難しくして計算ミスをする必要はありません。
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さいごにもう一度まとめ
- n進法の四則計算では、和がnになると繰り上がり、足りなければnを繰り下げる。
- n進法の四則計算をするよりも、10進法に変換して計算した方が確実。
- 繰り上がりや繰り下がりで混乱しないように、表にまとめてから計算しよう。