2次関数|2次関数の最大値や最小値を扱った問題を解いてみよう

2次関数の最大値や最小値について学習したら問題を解いてみましょう。
考え方や流れを大筋で掴めたらすぐに演習すると良いでしょう。実際に解いてみることで、理解の不十分な箇所が見えてきます。
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2次関数の最大値や最小値を扱った問題では場合分けが必須
2次関数の式や定義域が未知数を含まなければ、最大値や最小値を求めることは難しくありません。
しかし、入試レベルになると、たとえば定義域が未知の定数 $a$ を用いて $a \leqq x \leqq a+1$ などと与えられることもあります。このような場合、場合分けをしなければ最大値や最小値を求めることはできません。
場合分けが必要な問題のタイプには2通りあります。
- 軸の方程式に未知の定数( $a$ など)が含まれる場合
- 定義域に未知の定数が含まれる場合
どちらの場合でも、定義域に対するグラフの位置(=軸の位置)が定まらないので、場合分けなしでは最大値や最小値をとる点が決まりません。
場合分けの不要な問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
このような問題では、場合分けなしで最大値や最小値を求めることができます。式の係数や定義域に未知の定数が含まれていません。
第1問の解答・解説
1. \quad y = {x}^{2} -4x +3 \quad \left( -1 \leqq x \leqq 4 \right)
\end{equation*}
与式を平方完成して、軸・頂点・凸の情報を確認します。
y = \ &{x}^{2} -4x +3 \\[ 5pt ]
= \ &{\left( x-2 \right)}^{2} -1
\end{align*}
頂点:点 $( 2 \ , \ -1 )$
軸:直線 $x=2$
向き:下に凸
定義域 $-1 \leqq x \leqq 4$ を意識しながら、グラフを描きます。
下に凸のグラフであり、かつ軸が定義域に入っているので、最小値は頂点の $y$ 座標です。
また、軸が定義域の右端寄りにあるので、定義域の左端に最大値をとる点ができます。
解答例は以下のようになります。
第2問の解答・解説
2. \quad y = -{x}^{2} +2x +5 \quad \left( 2 \leqq x \leqq 4 \right)
\end{equation*}
与式を平方完成して、軸・頂点・凸の情報を確認します。
y = &-{x}^{2} +2x +5 \\[ 5pt ]
= &-{\left( x-1 \right)}^{2} +6
\end{align*}
頂点:点 $( 1 \ , \ 6 )$
軸:直線 $x=1$
向き:上に凸
定義域 $2 \leqq x \leqq 4$ を意識しながら、グラフを描きます。
上に凸のグラフになりますが、軸が定義域に入っていないので、頂点の $y$ 座標が最大値となることはありません。
また、上に凸のグラフであり、かつ軸が定義域の左側にあるので、定義域の左端に最大値をとる点ができ、定義域の右端に最小値をとる点ができます。
解答例は以下のようになります。
場合分けの必要な問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
解答・解説
y = {x}^{2} -2ax +1 \quad \left( -1 \leqq x \leqq 2 \right)
\end{equation*}
与式を平方完成して、軸・頂点・凸の情報を確認します。未知の定数 $a$ があるので注意しましょう。
y = \ &{x}^{2} -2ax +1 \\[ 5pt ]
= \ &{\left( x-a \right)}^{2} -{a}^{2}+1
\end{align*}
頂点:点 $( a \ , \ -{a}^{2}+1 )$
軸:直線 $x=a$
向き:下に凸
標準形に変形した結果から分かるように、軸の方程式が未知の定数 $a$ で表されるので、$a$ の値によって軸の位置が変わります。このとき、グラフの定義域に対する位置が変わるので、最大値や最小値をとる点も決まりません。
このようなとき、軸と定義域との位置関係で場合分けします。場合分けは3パターンでした。
下に凸のグラフの場合、最小値は、頂点が定義域に入るか入らないかで場合分けです。
- (軸 $x=a$ が定義域外で左側 )=(軸 $a$ < 定義域の左端 $-1$ )
- (軸 $x=a$ が定義域内)=(定義域の左端 $-1$ ≦ 軸 $a$ ≦ 定義域の右端 $2$ )
- (軸 $x=a$ が定義域外で右側 )=( 定義域の右端 $2$ < 軸 $a$ )
ただし、詳細なグラフを描けないので、軸と定義域との位置関係だけを意識して作図しましょう。それぞれの場合で $x$ についての不等式を条件式として導出します。これはグラフを見ながらの方が導出しやすいです。
最小値を求める解答例は以下のようになります。
また、最大値は、軸と定義域の真ん中との位置関係で場合分けです。まず定義域の真ん中になる $x$ の値を求めましょう。
- (軸 $x=a$ が定義域の真ん中 $x=1/2$ より左側)=(軸 $a$ < 定義域の真ん中 $1/2$ )
- (軸 $x=a$ が定義域の真ん中 $x=1/2$ にある)=(軸 $a$ = 定義域の真ん中 $1/2$ )
- (軸 $x=a$ が定義域の真ん中 $x=1/2$ より右側)=( 定義域の真ん中 $1/2$ < 軸 $a$ )
最大値を求める解答例は以下のようになります。解答例では2パターンの場合分けで解いています。
計算の処理能力はもちろん必要ですが、高校数学では作図の能力も必要になってきます。初見の問題を解くときに、作図できるとイメージの湧き方も変わってきます。問題によっては、余計な計算をせずに済んだり、「図より~」などと記述がラクになったりする場合もあります。
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そこで紹介するのは、おもしろいほどよくわかる高校数学 関数編 2次方程式、指数・対数・三角関数がスラスラ解ける! (サイエンス・アイ新書)
高校数学で学ぶ2次関数・指数関数・対数関数・三角関数について、その関数が生まれた身近な現象から説明し、それぞれの関数の性質を考える過程に多くのページを割きました。
書籍の紹介にもあるように、身近な現象を例に挙げて話が進むので、イメージしやすいかと思います。興味のある人は一読してみてはいかがでしょうか。
さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう
- 平方完成して、軸・頂点・凸の情報を確認する。
- 場合分けが必要な場合、パターンごとにグラフを書き分ける。
- 軸と定義域の位置関係から $x$ の不等式を作り、それを場合分けの条件式とする。
- 定義域内のグラフをもとに、最大値や最小値をとる点の $y$ 座標を求める。
- これらを整理して記述すれば、答案完成。
- 作図する習慣を付ける。