2次関数|2次関数の決定について

2次関数の決定について学習しましょう。2次関数の決定というのは、「関数の式を決定しましょう」ということです。
ですから、2次関数の式についての知識を予め把握しておくことが大切です。
2次関数の決定に関する問題では、頂点・軸・凸の情報やグラフ上の点の座標などの各種情報が与えられます。
これらの情報の使い方や使う際のポイントなどをしっかりマスターしましょう。
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参考
2次関数|関数について
参考
2次関数|2次関数のグラフの平行移動について
2次関数の決定は式の定数の決定
2次関数の決定とは、グラフに関する情報から式を決定することです。難しそうですがそうでもありません。
なぜなら、2次関数の式の形には「一般形」と「標準形」の2種類しかないからです。必ずどちらかの式で表せます。
\begin{align*}
&y = a{x}^{2} +bx +c \quad \text{(一般形)} \\[ 10pt ]
&y = a{\left( x-p \right)}^{2} +q \quad \text{(標準形)}
\end{align*}
ですから、2次関数の決定とは、結局のところ、係数や定数項などの定数 $a \ , \ b \ , \ c \ , \ p \ , \ q$ を決定すると言った方が適切かもしれません。
2次関数の決定までの流れ
2次関数の決定に関する問題は、たとえば以下のような問題です。
文章中に軸・頂点の情報やグラフ上の点の座標などの各種情報が与えられていることが分かります。このような情報を使って、2次関数の式を決定します。
大まかな流れは以下のようになります。
- 与えられた情報から、式の形を決める
- 情報を式に代入して、方程式をいくつか導出
- 方程式を連立して、定数の値を求める
まず式の形を決めよう
2次関数の式には2種類の表し方がありました。ですから、どちらの形で表した方が良いのかを最初に決めてしまいます。
これは自分で決めるというよりも、与えられた情報で決まってしまいます。そうしないと、与えられた情報を使えず、式を決定できないからです。
ここで、一般形と標準形から、どんな情報が読み取れたのかを思い出してみましょう。
一般形の場合、定数 $a$ の正負から凸の情報を読み取ることはできますが、軸や頂点の情報を読み取ることはできません。
基本的に、2次関数では標準形で考えていくことがほとんどです。ですから、「標準形が使えるかどうか」という視点に立っていれば良いでしょう。
問題では、標準形を使う場合、「軸」「頂点」などの文言が出てきます。軸や頂点などの用語が出てきたら、迷わず標準形で進めていきましょう。
また、一般形を使う場合、グラフ上の3点の情報が与えられていることがほとんどです。
一般形:文章中に3点の座標の情報があるとき
標準形:文章中に軸や頂点の情報があるとき
「標準形が使えそうになければ、一般形を使う」という方針であれば、たいてい上手くいくでしょう。
次は、情報を使って方程式を導出しよう
一般形と標準形の選択が終わったら、次は情報を使って方程式を導出します。情報が複数あるので、方程式もそれに応じた数だけ導出できます。
たとえば、3点の座標が与えられている場合、それぞれの座標を一般形に代入すると、3つの方程式が得られます。一般形では、求めたい定数は $a \ , \ b \ , \ c$ の3つなので、方程式も3つ必要になります。
さいごに、連立方程式を導出しよう
情報を使って方程式を導出できたら、最後は方程式を連立して解きます。これで得られた解が、求めたい定数 $a \ , \ b \ , \ c \ , \ p \ , \ q$ の値です。
「与えらた情報から式の形を決定し、情報と式を利用して方程式(条件式)を導出し、それらを連立して解く」、このような流れで2次関数の式を決定します。
これまでをまとめると以下のようになります。参考になれば幸いです。
2次関数の決定に関する問題を解いてみよう
先ほど例に挙げた問題を解いてみましょう。
第1問の解答・解説
グラフの頂点:$(2 \ , \ 1)$
グラフが通る点:点 $(1 \ , \ -1)$
「頂点」という用語があります。式の形は「標準形」に決定です。
標準形の定数 $p \ , \ q$ の値は、頂点の座標が分かった時点で $p=2 \ , \ q=1$ と分かります。求める必要がなくなったので、標準形に代入しておきます。
p=2& \ , \ q=1 \ \text{より} \\[ 5pt ]
&y = a{\left( x-2 \right)}^{2} +1 \quad \Leftarrow \ \text{この式でスタート}
\end{align*}
軸や頂点の情報が与えられている場合、それらの情報を標準形に代入した式をスタートの式として使っていきましょう。
定数 $p \ , \ q$ の値が分かったので、実質、定数 $a$ の値を求めるだけになります。最初の標準形に代入してはいけません。
定数 $a$ についての方程式を導出したいので、頂点の座標を代入した後の式を使います。点の座標 $(1 \ , \ -1)$ を代入すると、定数 $a$ についての1次方程式が得られるので、これを解きます。
解答例は以下のようになります。
第2問の解答・解説
グラフが通る点:点 $(0 \ , \ -3) \ , \ (-1 \ , \ 0) \ , \ (1 \ , \ -4)$
頂点や軸の情報がなく、グラフ上の3点の座標が与えられています。標準形が使えないので、式の形は「一般形」に決定です。
求める2次関数の式は、3点の座標を代入したときに等式が成り立つ式です。これを利用して連立方程式を導出します。
3点の座標を一般形にそれぞれ代入します。
\begin{align*}
y &= a{x}^{2} +bx +c \\[ 5pt ]
x=0& \ , \ y=-3 \ \text{より} \\[ 5pt ]
-3 &= c \\[ 5pt ]
c &= -3 \qquad \cdots \text{(1)}
\end{align*}
\begin{align*}
y &= a{x}^{2} +bx +c \\[ 5pt ]
x=-1& \ , \ y=0 \ \text{より} \\[ 5pt ]
0 &= a-b+c \\[ 5pt ]
a -b +c &= 0 \qquad \cdots \text{(2)}
\end{align*}
\begin{align*}
y &= a{x}^{2} +bx +c \\[ 5pt ]
x=1& \ , \ y=-4 \ \text{より} \\[ 5pt ]
-4 &= a +b +c \\[ 5pt ]
a +b +c &= -4 \qquad \cdots \text{(3)}
\end{align*}
求めたい定数 $a \ , \ b \ , \ c$ を使った方程式(条件式)が3つ導出できました。グラフが3点を通るためには、これらの方程式をすべて満たさなければなりません。ですから、連立方程式を解くことになります。
c &= -3 &\qquad \cdots \text{(1)} \\[ 5pt ]
a -b +c &= 0 &\qquad \cdots \text{(2)} \\[ 5pt ]
a +b +c &= -4 &\qquad \cdots \text{(3)}
\end{cases}
(1)式を上手に使えば、(2) , (3)式から定数 $a \ , \ b$ についての方程式が2つ得られます。これを解くと、定数 $a \ , \ b$ の値を得られます。
解答例は以下のようになります。
第1問よりも第2問の方が計算量が多くなるので面倒ですが、しっかり解けるようにしておきましょう。
文章中にヒントが必ずあるので、諦めてはダメだ
問題では、基本的に、求めたい値の数に合わせてヒントも同じ数だけ与えられます。難易度が上がると、自分でヒントを増やさなければならないときもありますが・・・。
このことを知らない人が意外と多いので、この辺りのことを意識して問題を読み直してみましょう。すると、解法の糸口を掴めるかもしれません。
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さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう
- 2次関数の決定では、式の定数(係数や定数項)を求めればよい。
- 一般形か標準形かを決める。
- 一般形または標準形に、与えられた情報を代入して、方程式を導出しよう。
- 方程式を連立して解き、式の定数を求めよう。
- 定数の値が分かったら、決定した式に代入して2次関数の式を求めよう。