複素数と方程式|高次式の因数分解について

数学2

高次式の因数分解を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

\begin{align*} &\text{次の式を因数分解せよ} \\[ 5pt ] &(1) \quad x^{\scriptsize{3}}+4x^{\scriptsize{2}}+x-6 \\[ 7pt ] &(2) \quad 2x^{\scriptsize{3}}-9x^{\scriptsize{2}}+2 \end{align*}

問(1)の解答・解説

問(1)

\begin{align*} &\text{次の式を因数分解せよ} \\[ 5pt ] &\quad x^{\scriptsize{3}}+4x^{\scriptsize{2}}+x-6 \end{align*}

与式の3次式は、展開や因数分解の公式に当てはまる式ではありません。ですから、与式の因数となる1次式を見つけます。剰余の定理を利用して、余りが0となるxの値を見つけます。

問(1)の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad P(x)=x^{\scriptsize{3}}+4x^{\scriptsize{2}}+x-6 \\[ 7pt ] &\text{とすると} \\[ 5pt ] &\quad P(1)=1^{\scriptsize{3}}+4 \cdot 1^{\scriptsize{2}}+1-6=0 \\[ 7pt ] &\text{よって、$P(x)$ は $x-1$ を因数にもつ。} \end{align*}

x=1のとき式の値が0となるので、剰余の定理から与式を1次式x-1で割った余りが0になります。このとき、因数定理が成り立つので、1次式x-1は与式の因数になります。

因数である1次式が分かったので、組立除法で割り算して商を調べます。組立除法で割り算すると以下のようになります。

組立除法による整式の割り算(3)
問(1)の組立除法

組立除法を用いると、与式が3次式なので、2次式の商が得られます。因数定理が成り立つので、余りが0になっていることも分かります。

組立除法の結果から、与えられた整式は、割る1次式と商の積で表されます。

問(1)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\text{よって、$P(x)$ は $x-1$ を因数にもつ。} \\[ 5pt ] &\text{$P(x)$ を因数分解すると} \\[ 5pt ] &\quad P(x)=\left(x-1 \right) \left(x^{\scriptsize{2}}+5x+6 \right) \end{align*}

商も与式の因数です。商は2次式であるので、もしかすると因数分解できるかもしれません。因数分解できれば、忘れずに因数分解します。

問(1)の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad P(x)=\left(x-1 \right) \left(x^{\scriptsize{2}}+5x+6 \right) \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad P(x)=\left(x-1 \right) \left(x+2 \right) \left(x+3 \right) \\[ 7pt ] &\text{したがって} \\[ 5pt ] &\quad x^{\scriptsize{3}}+4x^{\scriptsize{2}}+x-6=\left(x-1 \right) \left(x+2 \right) \left(x+3 \right) \end{align*}

2次式以上の整式があれば、因数分解できるかどうかを必ず調べましょう。

問(2)の解答・解説

問(2)

\begin{align*} &\text{次の式を因数分解せよ} \\[ 5pt ] &\quad 2x^{\scriptsize{3}}-9x^{\scriptsize{2}}+2 \end{align*}

与式の因数となる1次式を見つけます。剰余の定理を利用して、余りが0となるxの値を見つけます。

問(2)の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad P(x)=2x^{\scriptsize{3}}-9x^{\scriptsize{2}}+2 \\[ 7pt ] &\text{とすると} \\[ 5pt ] &\quad P\left(\frac{1}{2} \right)=2 \cdot \left(\frac{1}{2} \right)^{\scriptsize{3}}-9 \cdot \left(\frac{1}{2} \right)^{\scriptsize{2}}+2=0 \\[ 7pt ] &\text{よって、$P(x)$ は $x-\frac{1}{2}$ を因数にもつ。} \end{align*}

x=1/2のとき式の値が0となるので、剰余の定理から与式を1次式x-1/2で割った余りが0になります。このとき、因数定理が成り立つので、1次式x-1/2は与式の因数になります。

因数である1次式が分かったので、組立除法で割り算して商を調べます。組立除法で割り算すると以下のようになります。ただし、割られる整式には1次の項がないので、その係数は0とします。

組立除法による整式の割り算(4)
問(2)の組立除法

組立除法を用いると、与式が3次式なので、2次式の商が得られます。因数定理が成り立つので、余りが0になっていることも分かります。

組立除法の結果から、与えられた整式は、割る1次式と商の積で表されます。

問(2)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\text{よって、$P(x)$ は $x-\frac{1}{2}$ を因数にもつ。} \\[ 5pt ] &\text{$P(x)$ を因数分解すると} \\[ 5pt ] &\quad P(x)=\left(x-\frac{1}{2} \right) \left(2x^{\scriptsize{2}}-8x-4 \right) \end{align*}

商も与式の因数です。商は2次式であるので、もしかすると因数分解できるかもしれません。因数分解できるかを必ず確認しましょう。

問(2)の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad P(x)=\left(x-\frac{1}{2} \right) \left(2x^{\scriptsize{2}}-8x-4 \right) \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad P(x)=\left(x-\frac{1}{2} \right) \cdot 2\left(x^{\scriptsize{2}}-4x-2 \right) \\[ 7pt ] &\text{より} \\[ 5pt ] &\quad P(x)=\left(2x-1 \bigr) \bigl(x^{\scriptsize{2}}-4x-2 \right) \\[ 7pt ] &\text{したがって} \\[ 5pt ] &\quad 2x^{\scriptsize{3}}-9x^{\scriptsize{2}}+2=\left(2x-1 \bigr) \bigl(x^{\scriptsize{2}}-4x-2 \right) \end{align*}

組立除法では、割る1次式の係数は1です。ですから、因数を考えるとき、割る1次式を2x-1としないように気を付けましょう。

また、有理数の範囲では、商の2次式から共通因数でくくること以外に因数分解できません。

組立除法を用いる解法では、割る1次式の係数は1であることに注意しよう。

Recommended books

計算力は重要な要素となります。試験では考える時間を多く取るために、いかに計算を手早く行うかが重要です。

計算力の有無は、数学2・Bや数学3では顕著になります。計算に時間がかかりすぎては解けるものも解けません。後悔しないためにも日頃からしっかり鍛えておきましょう。

これから紹介する教材で気になるものがあれば、ぜひ一読してみて下さい。気に入ったら最後まで徹底的にこなしましょう。

オススメその1『合格る計算数学1・A・2・B

オススメその2『鉄緑会 基礎力完成 数学Ⅰ・A+Ⅱ・B

大事なことは、自分に合った教材を徹底的に活用することです。どの教材を選ぶにしても、自分の目で中身を確認し、納得してから購入することが大切です。

さいごにもう一度まとめ

  • 剰余の定理は、整式を1次式で割ったときの余りについての定理。
  • 余りが0となるとき、割る1次式は整式の因数(因数定理)。
  • 整式の因数の1つが分かれば、その他の因数も分かる。
  • 割る式が1次式のとき、組立除法で商と余りを調べることができる。
  • 組立除法では、割る1次式の係数は1であることに注意。