式と証明|条件式のある恒等式について

条件式のある恒等式を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
を満たすすべての実数 x , y に対して
が成立するような定数 a , b , c を求めよ。
を満たす x , y , z の任意の値に対して、つねに
が成立するような定数 a , b , c を求めよ。
条件式があることはもちろんですが、問題文の文言にも気を付けましょう。
「すべての実数に対して~が成り立つ」や「~の任意の値に対してつねに~が成立する」などの文言は、「等式が恒等式となるように」という意味です。
問題文の類似表現に気を付けよう。
問(1)の解答・解説
問(1)
を満たすすべての実数 x , y に対して
が成立するような定数 a , b , c を求めよ。
条件式を満たすすべての実数に対して等式が成り立てば良いので、恒等式の性質を用いることができます。文字の種類をできるだけ少なくして、係数比較法を用いて解きます。
条件式を変形しますが、このとき、係数が分数にならないようにします。
問(1)の解答例 1⃣
xについて変形すると係数が分数になるので、yについて変形しました。
変形後の条件式を与式に代入します。
問(1)の解答例 2⃣
文字xの1種類だけで与式を表すことができました。
等式の左辺をxについて整理します。
問(1)の解答例 3⃣
この等式がxについての恒等式となるためには、両辺の同じ次数の項の係数が等しくなる必要があります。
係数を比較して、定数a,b,cについての方程式を導出します。
問(1)の解答例 4⃣
連立方程式を解いて定数a,b,cの値を求めます。
問(1)の解答例 5⃣
条件式のある恒等式を扱った問題では、最も基本的なものです。まずはこのレベルの問題を確実に解けるようにしておきましょう。
問(2)の解答・解説
問(2)
を満たす x , y , z の任意の値に対して、つねに
が成立するような定数 a , b , c を求めよ。
条件式の関係を反映させるために、与式に条件式を代入します。反映させるにあたって、文字の種類ができるだけ少なくなるように代入します。
2つの条件式から、x,yをzで表します。
問(2)の解答例 1⃣
条件式①,②からx,yをzで表すことができました。
これらを与式に代入して、zについての式を導きます。
問(2)の解答例 2⃣
文字zの1種類だけで与式を表すことができました。
等式の左辺をzについて整理します。少し複雑かもしれませんが、丁寧に変形しましょう。
問(2)の解答例 3⃣
左辺を整理すると、zについての2次式となります。
ここで、等式はすべての実数zについて恒等式となるはずです。そのためには、両辺の係数や定数項が等しくなる必要があります。
両辺の係数を比較して、定数a,b,cについての方程式を導出します。
問(2)の解答例 4⃣
3つの方程式からなる連立方程式になりました。
計算量が多くなりそうですが、これを解いて定数a,b,cの値を求めます。
問(2)の解答例 5⃣
連立方程式は以下のようにしても解くことができます。必ずしも2つの式だけで計算する必要はありません。
たとえば、3つの式すべてを用いることもできます。楽な計算になるように、加減法や代入法を上手に使いましょう。
問(2)の別解例(解答例5⃣の代わり)
消去する文字や、用いる式などによって、計算量は異なります。この選択によって難易度に差が付きます。
どのようにすれば楽な計算になるのか、自分なりに研究しましょう。
問題文から何に関する問題かを認識できるようになろう
問題を解くとき、たとえば、どの分野に関係するのか、あるいはどの定理に関係しているのかを認識できれば、方針や解法をスムーズに決めることができます。
分野や定理などに当たりをつけるのは、決して難しくありません。問題文の中に、式や文言などを用いて提示されているからです。そうでなければ、方針や解法を決められません。
例題や練習問題レベルの問題を解くときは、ほとんどネタバレした状態で取り組むので、この辺りを意識しないかもしれません。ただ、この意識が足りないと、入試レベルでは解けない問題が多くなります。
普段の学習では、何に関する問題かを知っているはずです。分野や定理などと紐づく文言や式を見つけておき、それらを方針や解法と関連付けておく必要があります。
この単元で言えば、条件式をはじめ、「すべての実数」「~の任意の値」などの文言と、恒等式とを関連付けておきます。これらが揃ったとき、上述の解法が方針として挙がります。
このことは、覚えるときのコツで、どの科目にも言えることです。眼の前の知識を単体で覚えるのではなく、必ず他の知識と結びつけて覚えることが大切です。
たとえば、英単語であれば、スペルや発音・アクセント、品詞や語法などを関連付けて覚えておかないと、時間や労力に見合わない知識になってしまいます。
「この文言や条件式が出てきたら、この方針や解法で」など、問題の内容と方針や解法とを関連付けて学習しよう。知識は他の知識と結びつくことで役に立つ。
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さいごにもう一度まとめ
- 条件式のある恒等式では、条件式を用いて、文字の種類を減らそう。
- 特定の文字についての等式になったら、恒等式の考えを適用しよう。
- 複雑な連立方程式でも、加減法や代入法を上手に用いて計算しよう。
- 問題文の文言にも注意しよう。