複素数と方程式|虚数解からの係数決定について

今回は、虚数解からの係数決定について学習しましょう。前回、実数解からの係数決定を学習しましたが、それとの違いを意識しながら学習しましょう。
これまでは2次方程式が中心でしたが、ここでは、主に虚数解を用いて、3次方程式や4次方程式などの高次方程式の係数を決定します。
方程式とその解との関係
方程式とその解との関係は、実数解と同じように、虚数解であっても成り立ちます。
方程式とその解との関係 1⃣
当たり前ですが、解を方程式に代入すると等式が成り立ちます。右辺が0なので、解を代入すると左辺も0となります。等式が成り立つのは、解を方程式に代入したときだけです。
実数解であれば、以下の事柄も成り立ちます。
方程式とその解との関係 2⃣
これは剰余の定理や因数定理を考えると理解できるでしょう。
左辺に解を代入すると、式の値が0となります。剰余の定理から、左辺を1次式x-αで割った余りが0となるということです。
1次式x-αで割った余りが0となるので、因数定理が成り立ちます。ですから、左辺は1次式x-αを因数にもつことが分かります。
方程式とその解との関係まとめ
方程式の解のうち実数解が分かれば、方程式とその解との関係(まとめ)を用いて、方程式の係数を決定することができます。ただし、虚数解が分かっている場合、以下の事柄も利用します。
複素数の相等
方程式に虚数解を代入すると、等式が成り立ちます。方程式の右辺は0なので、左辺を実部と虚部に整理すれば、複素数の相等を利用できます。
複素数の相等によって、それぞれ係数についての方程式を2つ導くことができます。2つの方程式を連立して解けば、係数を決定することができます。
解から係数を決定してみよう
解から係数を決定してみましょう。ここでは、主に虚数解を用います。
例題
例題の解答・解説
3次方程式の係数を解を用いて決定します。ここでは虚数解が与えられています。
方程式の左辺に虚数解を代入して、左辺を実部と虚部に整理します。
例題の解答例 1⃣
左辺は複素数ですが、実部と虚部はそれぞれ実数です。ですから、複素数の相等を利用することができます。因数の話にならないので注意しましょう。
虚数解を代入したら、複素数の相等へ。
複素数の相等から方程式を2つ導きます。そして、これらを連立して解きます。
例題の解答例 2⃣
複素数の相等を利用する場合、実部と虚部が実数であることの断りを必ず記述しましょう。
複素数の相等は、実部と虚部が実数であるときに成り立つ。
係数が決定したので、方程式から残りの解を求めます。剰余の定理を利用すると、1次式で割った余りを式の値から求めることができます。このことを利用して、左辺の値が0となるxの値を調べましょう。
この結果から余りが0となるときの1次式、つまり因数が分かるので、因数定理を利用することができます。
例題の解答例 3⃣
因数の1次式が分れば、左辺を因数分解します。このとき、解答例では省略していますが、組立除法を利用しましょう。筆算するよりも簡単です。
まだ2次式が残っていますが、方程式は虚数解をもつことがすでに分かっています。ですから、これ以上、因数分解できません。
これ以降は、実数解のときと変わりません。方程式に戻した後、新たに方程式を導いて解を求めます。これが与式の解になります。
例題の解答例 4⃣
2次方程式が複素数を解にもつとき、共役な複素数も解にもつことを知っておきましょう。計算せずに他の解を求めることができます。
また、1次の項の係数が偶数であることに注目すると、応用版の解の公式を利用できます。慣れると暗算で解を求めることができるので、マスターしておくと便利です。
共役な複素数を利用する
実数を係数とする方程式が虚数解をもつとき、共役な複素数も解となります。このことを利用すると、上述とは異なる解法で例題を解くことができます。
例題の別解その1
例題の別解例その1
これをもとに解いてみましょう。与えられた虚数解から共役な複素数と、それを因数にもつ2次式を導きます。
例題の別解例その1 1⃣
この2次式で方程式の左辺を割り算します。1次式での割り算ではないので、組立除法ではなく、筆算します。
係数に文字が含まれると、計算ミスが多くなります。項の間に余白を取ると計算ミスを減らせます。
例題の別解例その1 2⃣
割り算のとき注意したいのは、係数が不明なので、割り切れずに余りが出てくることです。
あくまでも形式的に出てくるだけで、実際には割り切れるはずです。このことから新たに方程式を導くことができます。これを解くと、方程式の係数を決定できます。
割り算の余りが0であることから、係数・定数項についての方程式を導こう。
係数が決定できると、割り算した商も分かります。割る2次式と商は、ともに方程式の左辺の因数です。このことを利用して、左辺の3次式を因数分解します。因数分解は割り算の結果を上手に利用しましょう。
例題の別解例その1 3⃣
すでに気付いている人もいるかもしれませんが、一般に、実数を係数とする3次方程式は、少なくとも1つの実数解をもつことが知られています。
例題の別解その2
別解の2つ目です。
例題の別解例その2
2つ目の解法では、3次方程式の解と係数の関係を用います。この関係はもう少し後で学習するので、ここでは解説しません。
次は、虚数解からの係数決定を扱った問題を実際に解いてみましょう。