複素数と方程式|虚数解からの係数決定について

数学2係数,複素数と方程式,虚数解

虚数解からの係数決定を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。


\begin{align*}
&\text{3次方程式 $x^{\scriptsize{3}}+ax^{\scriptsize{2}}+4x+b=0$ が解 $1+i$ をもつとき、} \\[ 5pt ]
&\text{実数の定数 $a \ , \ b$ の値を求めよ。また、$1+i$ 以外の解を求めよ。}
\end{align*}

問の解答・解説

3次方程式の3つの解のうち虚数解が与えられています。この虚数解を用いて、係数についての関係式を2つ導きます。方程式に虚数解を代入して、左辺を整理します。

問の解答例①
\begin{align*}
&\text{$x=1+i$ が方程式の解であるので} \\[ 5pt ]
&\quad \bigl( 1+i \bigr)^{\scriptsize{3}}+a\bigl( 1+i \bigr)^{\scriptsize{2}}+4\bigl( 2+i \bigr)+b=0 \\[ 7pt ]
&\text{ここで} \\[ 5pt ]
&\quad \bigl( 1+i \bigr)^{\scriptsize{3}}=1^{\scriptsize{3}}+3i+3i^{\scriptsize{2}}+i^{\scriptsize{3}}=-2+2i \\[ 7pt ]
&\quad \bigl( 1+i \bigr)^{\scriptsize{2}}=1^{\scriptsize{2}}+2i+i^{\scriptsize{2}}=2i \\[ 7pt ]
&\text{となるので} \\[ 5pt ]
&\quad -2+2i+a \cdot 2i+4\bigl( 1+i \bigr)+b=0 \\[ 7pt ]
&\text{これを $i$ について整理すると} \\[ 5pt ]
&\quad b+2+2\bigl( a+3 \bigr)i=0
\end{align*}

左辺を整理した後は、複素数の相等を利用して、新たに方程式を導きます。そして、これらを連立して解きます。

問の解答例②
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad b+2+2\bigl( a+3 \bigr)i=0 \\[ 7pt ]
&\text{$b+2 \ , \ 2(a+3)$ は実数であるので} \\[ 5pt ]
&\quad b+2=0 \ , \ 2\bigl( a+3 \bigr)=0 \\[ 7pt ]
&\text{これを解くと} \\[ 5pt ]
&\quad a=-3 \ , \ b=-2 \\[ 7pt ]
&\text{よって、方程式は} \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{3}}-3x^{\scriptsize{2}}+4x-2=0
\end{align*}

実部と虚部が実数であることの断りを必ず記述しましょう。

係数が決定した方程式から他の解を求めます。左辺の値が0となる文字 x の値を調べましょう。これが分かれば、因数定理を利用することができます。

問の解答例③
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad x^{\scriptsize{3}}-3x^{\scriptsize{2}}+4x-2=0 \\[ 7pt ]
&\text{方程式より} \\[ 5pt ]
&\quad f(x)=x^{\scriptsize{3}}-3x^{\scriptsize{2}}+4x-2 \\[ 7pt ]
&\text{とすると} \\[ 5pt ]
&\quad f(1)=1^{\scriptsize{3}}-3 \cdot 1^{\scriptsize{2}}+4 \cdot 1-2=0 \\[ 7pt ]
&\text{よって、$f(x)$ は $x-1$ を因数にもつので} \\[ 5pt ]
&\quad f(x)=\bigl(x-1 \bigr)\bigl(x^{\scriptsize{2}}-2x+2 \bigr)
\end{align*}

因数の1次式が分かったので、組立除法を利用して方程式の左辺を因数分解します(ここでは省略)。方程式は虚数解をもつので、2次式を因数分解することはできません。

方程式に戻した後、新たに方程式を導いて解を求めます。これが与式の解になります。

問の解答例④
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad f(x)=\bigl(x-1 \bigr)\bigl(x^{\scriptsize{2}}-2x+2 \bigr) \\[ 7pt ]
&\text{よって、方程式は} \\[ 5pt ]
&\quad \bigl(x-1 \bigr)\bigl(x^{\scriptsize{2}}-2x+2 \bigr)=0 \\[ 7pt ]
&\text{これより} \\[ 5pt ]
&\quad x-1=0 \quad \text{または} \quad x^{\scriptsize{2}}-2x+2=0 \\[ 7pt ]
&\text{これを解くと} \\[ 5pt ]
&\quad x=1 \quad \text{または} \quad x=1 \pm i \\[ 7pt ]
&\text{したがって、$1+i$ 以外の解は} \\[ 5pt ]
&\quad x=1 \ , \ 1-i
\end{align*}

2次方程式の解については、検算の意味も込めて解の公式を利用します。きちんと共役な複素数が解として出てきました。

問の別解例


\begin{align*}
&\text{3次方程式 $x^{\scriptsize{3}}+ax^{\scriptsize{2}}+4x+b=0$ が解 $1+i$ をもつとき、} \\[ 5pt ]
&\text{実数の定数 $a \ , \ b$ の値を求めよ。また、$1+i$ 以外の解を求めよ。}
\end{align*}

方程式が共役な複素数も解にもつことを利用して解いてみましょう。

別解例①
\begin{align*}
&\text{実数を係数とする3次方程式が虚数解 $1+i$ をもつので、} \\[ 5pt ]
&\text{共役な複素数 $1-i$ もこの方程式の解である。} \\[ 5pt ]
&\text{よって、方程式の左辺 $x^{\scriptsize{3}}+ax^{\scriptsize{2}}+4x+b$ は} \\[ 5pt ]
&\quad \Bigl\{ x-\bigl(1+i \bigr) \Bigr\}\Bigl\{ x-\bigl(1-i \bigr) \Bigr\} \\[ 7pt ]
&\text{すなわち} \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}-2x+2 \\[ 7pt ]
&\text{で割り切れる。}
\end{align*}

この2次式で方程式の左辺を割り算します。1次式ではないので筆算します。

問の割り算

係数に文字が含まれると、計算ミスが多くなるので気を付けましょう。

別解例②
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}-2x+2 \\[ 7pt ]
&\text{で割り切れる。} \\[ 5pt ]
&\text{これで割り算した商は $x+(a+2)$ で、余りは} \\[ 5pt ]
&\quad \bigl(2a+6 \bigr)x-2a+b-4 \\[ 7pt ]
&\text{となり、これが0に等しいので} \\[ 5pt ]
&\quad 2a+6=0 \quad \text{かつ} \quad -2a+b-4=0
\end{align*}

まだ係数が決定される前なので、割り切れずに余りが出てくることに注意しましょう。あくまでも形式的に出てくるだけです。実際には割り切れることを利用して、新たに方程式を導きます。これを解くと、方程式の係数を決定できます。

係数が決定できると、割り算した商も分かります。因数分解は割り算の結果を利用しましょう。

別解例③
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad 2a+6=0 \quad \text{かつ} \quad -2a+b-4=0 \\[ 7pt ]
&\text{これを解くと} \\[ 5pt ]
&\quad a=-3 \ , \ b=-2 \\[ 7pt ]
&\text{よって、方程式は} \\[ 5pt ]
&\quad \bigl(x^{\scriptsize{2}}-2x+2 \bigr)\bigl(x-1 \bigr)=0 \\[ 7pt ]
&\text{これより} \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}-2x+2=0 \quad \text{または} \quad x-1=0 \\[ 7pt ]
&\text{これを解くと} \\[ 5pt ]
&\quad x=1 \pm i \quad \text{または} \quad x=1 \\[ 7pt ]
&\text{したがって、$1+i$ 以外の解は} \\[ 5pt ]
&\quad x=1 \ , \ 1-i
\end{align*}

文字 a の値が分かると、割り算の結果から商も分かります。割る2次式と商は、ともに方程式の左辺の因数であるので、これを利用して因数分解します。2度手間にならないように気を付けましょう。

模範解答も別解も計算ミスをしやすい解法です。どちらを選択するにしても、計算ミスだけは避けましょう。

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さいごにもう一度まとめ

  • 解を方程式に代入すると等式が成り立つ。
  • 虚数解を代入した後は、複素数の相等を利用しよう。
  • 係数についての連立方程式を導こう。
  • 係数が決定したら、1次式の因数を見つけて、方程式の左辺を因数分解しよう。
  • 方程式が虚数解をもつと、それと共役な複素数も解にもつ。
  • 共役な複素数を利用すると、方程式の左辺の因数である2次式を知ることができる。