数と式|整式に関する問題を解いてみよう

数学1

整式を扱った演習問題

今回は、単項式や多項式などの整式について学習した内容の確認です。

ほとんどが用語や定義についてでしたが、数学を学習する上で必要不可欠な知識です。既習内容を何度も確認し、きちんと定着させましょう。

知識が定着しているかを確認するには、演習によるアウトプットが効果的です。演習によって、知識の理解度も測れます。

「用語や公式を頑張って覚えたのに全く解けない」なんてことがないように、演習中心の学習スタイルを目指しましょう。

例題1:単項式の次数と係数

例題1

次の単項式の次数と係数を求めよ。また、$x$ についての単項式の次数と係数を求めよ。

\begin{align} 5x^{2} yz^{3} \end{align}

例題1の解答・解説

注目する文字がない場合

注目する文字についての断りがない場合、単項式の次数は、掛け合わされている文字の個数です。

単項式を乗算の計算記号(×)を補った式に戻してみましょう。式の値を求める際には必要な作業なので、訓練しておきましょう。

例題1の解答例 1⃣

与式より

\begin{align} &5x^{2} yz^{3} \\[ 7pt ] = \ &5 \times x \times x \times y \times z \times z \times z \end{align}

よって、与式の次数は $6$

文字xが2個、文字yが1個、文字zが3個なので、この単項式の次数は6です。

訓練のために乗算の計算記号を補いましたが、文字の個数が多いと逆に分かり辛くなります。ですから、以下のように累乗の指数を利用しましょう

例題1の解答例 1⃣の別解

与式の指数に着目すると

\begin{align} 5x^{2} yz^{3} = 5x^{2} y^{1} z^{3} \end{align}

ここで、与式の次数は指数の和に等しいので

\begin{align} 2+1+3=6 \end{align}

よって、与式の次数は $6$

文字の右肩に数字がないときの指数は1です。0と間違わないように気を付けましょう。

どんな文字の累乗でも指数が0のときの値は1。

0=1,y0=1

また、単項式の係数は、文字以外の数の部分、言い換えると文字の前にある正負の数です。特定に文字に着目しないので、与式の係数は5になります。

例題1の解答

単項式の次数 … $6$

単項式の係数 … $5$

特定の文字に着目する場合

次は文字xに着目して、単項式の次数と係数を考えます。このとき、文字y,zは数として扱います

文字と数とを区別するために、与式の文字を並べ替えます。文字xに着目したことが分かるように、文字xを後ろに移動させます。

例題1の解答例 2⃣

与式を $x$ について整理すると

\begin{align} &5 {\color{red}{\underline{ \color{black}{x^{2}} } }} yz^{3} \\[ 7pt ] = \ &\left( 5yz^{3} \right) {\color{red}{\underline{ \color{black}{x^{2}} } }} \end{align}

このとき、単項式の次数は $2$

また、単項式の係数は $5yz^{3}$

数や文字を入れ替えできるのは、単項式が数や文字の積で表されるからです。

数や文字が積で表されるとき、交換法則が成り立ちます。このことを利用して、数や文字を入れ替えています。

ここでは、係数にあたる部分を括弧でくくりました。括弧でくくったものは1つのカタマリとして扱えるので便利です。

xに着目したときの単項式の次数は、文字xの個数なので2となります。また、係数は文字xを除く部分なので、5yz3となります。

例題1の解答

$x$ についての単項式の次数 … $2$

$x$ についての単項式の係数 … $5yz^{3}$

例題2:多項式の次数と定数項

例題2

次の多項式の次数と定数項を求めよ。また、$a$ についての何次式か。

\begin{align} a^{2} b-2ab^{3} +3 \end{align}

例題2の解答・解説

多項式を分解する

多項式は単項式の和で表され、それぞれの単項式をと言いました。

項が複数あるので、多項式の次数を求めるには各項の次数をそれぞれ調べる必要があります

多項式を分解するには、符号の前にスラッシュを入れると分かりやすいです。

符号の前にスラッシュを入れて分解

\begin{align} a^{2} b-2ab^{3} +3 \end{align}

与式を項に分解すると

\begin{align} a^{2} b \ / \ -2ab^{3} \ / \ +3 \end{align}

より、与式は $3$ つの項からなる多項式。

多項式の次数は、文字を含む項での最高次数です。

各項の次数を確認すると、以下のようになります。

各項の次数

$1$ 番目の項 $a^{2} b$

\begin{align} a^{2} b = a^{2} b^{1} \end{align}

より、指数の和は $2+1=3$ となるので、次数は $3$

$2$ 番目の項 $-2ab^{3}$

\begin{align} -2ab^{3} = -2a^{1} b^{3} \end{align}

より、$1+3=4$ となるので、次数は $4$

$3$ 番目の項 $+3$

$+3$ は定数項なので、次数とは無関係。

よって、与式の次数は $4$

各項の次数から、与式は4次式です。また、定数項は、文字を含まない、数だけの項です。ですから3番目の項である3が定数項です。

例題2の解答

多項式の次数 … $4$

定数項 … $3$ または $+3$

なお、定数項は+3でも構いませんが、一般に+の符号を省略します。

特定の文字とそれ以外を区別する

次は文字aに着目したとき、多項式が何次式かを求めます。このとき、文字a以外の文字bは数として扱います

また、与式を文字aについて降べきの順に並べます。このとき、各項ごとに交換法則を利用して入れ替え、文字と係数をはっきりさせます。各項は単項式なので、単項式と同じ扱いが可能です。

与式を文字aについて整理すると以下のようになります。

文字aについて整理

与式を $a$ について降べきの順に整理すると

\begin{align} &{\color{red}{\underline{ \color{black}{a^{2}} } }} b-2 {\color{red}{\underline{ \color{black}{a} } }} b^{3} +3 \\[ 7pt ] = \ &b {\color{red}{\underline{ \color{black}{a^{2}} } }}-2b^{3} {\color{red}{\underline{ \color{black}{a} } }}+3 \end{align}

このときの次数は $2$ となるので、与式は $2$ 次式。

文字aに着目すると、1番目の項が最高次数の項になります。1番目の項の次数は2であるので、与式はaについての2次式です。

例題2の解答

$a$ についての $2$ 次式

例題3:整式の同類項

例題3

次の整式の同類項をまとめなさい。

\begin{align} 3ab^{2} +4a^{2} b-a^{2} b+ab^{2} \end{align}

例題3の解答・解説

同類項をまとめるには、多項式の中に項がいくつあるかを把握する必要があります。そのために符号の前にスラッシュを入れて、多項式を項に分解します。

符号の前にスラッシュを入れて分解

\begin{align} 3ab^{2} +4a^{2} b-a^{2} b+ab^{2} \end{align}

与式を項に分解すると

\begin{align} 3ab^{2} \ / \ +4a^{2} b \ / \ -a^{2} b \ / \ +ab^{2} \end{align}

より、与式は $4$ つの項からなる多項式。

与式を項に分解すると、与式は4つの項からなる多項式だと分かります。

同類項は、文字の種類や個数が等しい項のことで、文字部分の見た目が同じになっています。同類項を探すとき、下線を引くと区別しやくなります。

下線を引いて同類項を探す

\begin{align} 3 {\color{red}{ \underline{\color{black}{ab^{2}}} }} \ / \ +4 {\color{red}{ \underline{\underline{\color{black}{a^{2} b}}} }} \ / \ -{\color{red}{ \underline{\underline{ \color{black}{a^{2} b}}} }} \ / \ +{\color{red}{ \underline{\color{black}{ab^{2}}} }} \end{align}

より、$3ab^{2}$ と $+ab^{2}$ が同類項で、$+4a^{2} b$ と $-a^{2} b$ も同類項。

文字部分の見た目が同じなのは、1,4番目の項、そして2,3番目の項です。同類項をまとめると、以下のようになります。

同類項をまとめる

\begin{align} &3 {\color{red}{ \underline{\color{black}{ab^{2}}} }} \ / \ +4 {\color{red}{ \underline{\underline{\color{black}{a^{2} b}}} }} \ / \ -{\color{red}{ \underline{\underline{ \color{black}{a^{2} b}}} }} \ / \ +{\color{red}{ \underline{\color{black}{ab^{2}}} }} \\[ 7pt ] = \ &{\color{red}{ \underline{\color{black}{ab^{2}}} }}+{\color{red}{ \underline{\color{black}{ab^{2}}} }}+4{\color{red}{ \underline{\underline{\color{black}{a^{2} b}}} }}-{\color{red}{ \underline{\underline{ \color{black}{a^{2} b}}} }} \\[ 7pt ] = \ &\left(3+1 \right) ab^2 +\left(4-1 \right)a^{2} b \\[ 7pt ] = \ &4ab^{2} +3a^{2} b \end{align}

なお、1行目で2,3番目の項をまとめるとき、(4-1)となっています。これは差のように見えますが、2つの数4,-1の和を表すので注意しましょう。

例題3の解答

\begin{align} &3ab^{2} +4a^{2} b-a^{2} b+ab^{2} \\[ 7pt ] = \ &4ab^{2} +3a^{2} b \end{align}

多項式は単項式の和で表された式。また、同類項をまとめるときの計算は正負の数の加算。

例題4:降べきの順に整理する

例題4

次の整式を $x$ について降べきの順に整理しなさい。

\begin{align} x^{2}+xy-2y^{2}+3x+2 \end{align}

例題4の解答・解説

例題3と同様に、符号の前にスラッシュを入れて、多項式を項に分解します。

符号の前にスラッシュを入れて分解

\begin{align} x^{2}+xy-2y^{2}+3x+2 \end{align}

与式を項に分解すると

\begin{align} x^{2} \ / \ +xy \ / \ -2y^{2} \ / \ +3x \ / \ +2 \end{align}

より、与式は $5$ つの項からなる多項式。

これより、与式が5つの項からなる多項式だと分かります。

着目する文字に下線を引こう

文字xについて整理する必要があるので、多項式を分解した後、各項の文字xに注目します。このとき、文字xの指数に応じて下線を引くと良いでしょう。

たとえば、文字xの指数が2の場合、2次の項となるので二重線を引きます。また、文字xの指数が1の場合、1次の項となるので一本線を引きます。

着目する文字の指数に応じて下線を引こう

  • 二重下線を引いた項(2次の項)
  • 下線を引いた項(1次の項)
  • 下線なしの項(定数項)

このように注目する文字に下線を引くと、次数や係数の確認も簡単になります。同類項を整理しやすくなるだけでなく、降べきの順への並べ替えにも役立ちます。

着目したxに下線を引いたら、xを含む項の次数に応じて降べきの順に並べます。同類項の整理は後回しです。xについて降べきの順に整理すれば、同類項は自ずと分かるからです。

xについて降べきの順に並べる

\begin{align} {\color{red}{ \underline{\underline{\color{black}{x^{2}}}} }} \ / \ +{\color{red}{ \underline{\color{black}{x}} }}y \ / \ -2y^{2} \ / \ +3{\color{red}{ \underline{\color{black}{x}} }} \ / \ +2 \end{align}

より、与式を $x$ について降べきの順に並べると

\begin{align} &{\color{red}{ \underline{\underline{\color{black}{x^{2}}}} }} +{\color{red}{ \underline{\color{black}{x}} }}y-2y^{2} +3{\color{red}{ \underline{\color{black}{x}} }}+2 \\[ 7pt ] = \ &{\color{red}{ \underline{\underline{\color{black}{x^{2}}}} }} +y{\color{red}{ \underline{\color{black}{x}} }}-2y^{2} +3{\color{red}{ \underline{\color{black}{x}} }}+2 \\[ 7pt ] = \ &{\color{red}{ \underline{\underline{\color{black}{x^{2}}}} }} +y{\color{red}{ \underline{\color{black}{x}} }}+3{\color{red}{ \underline{\color{black}{x}} }}-2y^{2} +2 \end{align}

xについて降べきの順に並べたら、同類項をまとめます。このとき、係数をしっかり把握しておきましょう。

xについて1次の項が2つあるので、これらを1つにまとめます。分配法則の逆を利用して、共通因数でくくります。

同類項をまとめる

\begin{align} &{\color{red}{ \underline{\underline{\color{black}{x^{2}}}} }} +y{\color{red}{ \underline{\color{black}{x}} }}+3{\color{red}{ \underline{\color{black}{x}} }}-2y^{2} +2 \\[ 7pt ] = \ &\vdots \\[ 7pt ] = \ &{\color{red}{ \underline{\underline{\color{black}{x^{2}}}} }} +y{\color{red}{ \underline{\color{black}{x}} }}+3{\color{red}{ \underline{\color{black}{x}} }}-2y^{2} +2 \\[ 7pt ] = \ &{\color{red}{ \underline{\underline{\color{black}{x^{2}}}} }} +\left(y+3 \right){\color{red}{ \underline{\color{black}{x}} }}-2y^{2} +2 \end{align}

$x$ を含まない項は定数項として扱うので

\begin{align} x^{2} +\left(y+3 \right)x+\left(-2y^{2} +2 \right) \end{align}

xについて1次の項の係数(y+3)は、xの前に記述しましょう。文字yは数扱いするので気を付けましょう。

また、文字xが含まれない、言い換えると下線を引いていない項が定数項です。与式には定数項となる項が2つあります。

このように複数の項が定数項になるとき、カッコでくくって1つにまとめます。これで定数項として扱う範囲がはっきりするでしょう。

着目した文字を含まない項は、定数項として扱う。

与式をxについて降べきの順に整理すると以下の通りです。

例題4の解答

\begin{align} &x^{2}+xy-2y^{2}+3x+2 \\[ 7pt ] = \ &x^{2}+ \left(y+3 \right)x+ \left(-2y^{2} +2 \right) \end{align}

与式を降べきの順に整理する

  1. 項に分解する
  2. 着目した文字の次数に応じて、降べきの順に並べ替える
  3. 係数を間違えないように、同類項をまとめる
  4. 定数項が複数あれば、カッコでくくって1つにまとめる

Recommended books

オススメその1

予習の際に理解が進めば授業のスピードについていくことができ、復習や課題をこなす時間も少なくて済みます。予習や復習の補助教材に向いている教材が『とってもやさしい数学』シリーズです。

とってもやさしい数学1・Aでは2冊とも中学で学習した内容にも触れており、中学内容と高校内容とのつながりを把握しやすい教材です。

一学期のうちは不安を抱えながら学習を進めていく人も多いかと思います。スタートで躓かないためにも易しく取り組みやすい教材を使うのも一つのやり方です。無理をして内容の難しい教材を使うよりもはるかに良いでしょう。

基礎的な内容を扱っているので、数学が苦手な人でも取り組みやすくなっています。興味のある人はぜひ一読してみて下さい。

高校とってもやさしい数学1・A 改訂版 その1』は「数と式」「2次関数」の単元を扱っています。

高校とってもやさしい数学1・A 改訂版 その2』は「場合の数」「確率」「整数の性質」「図形の性質」「三角比」の単元を扱っています。

オススメその2

高校の数学I・Aが1冊でしっかりわかる本』は、これ1冊で数学1・Aの全範囲を復習できます。内容のレベルは「とってもやさしい」シリーズとそれほど変わらず、教科書レベルです。

本書と「とってもやさしい」シリーズのページ数を比較してみました。「とってもやさしい」シリーズは、1冊ごとのページ数が少ないのですが、分冊なのが難点です。

ページ数を比べると分かるように、本書の方が1冊でも遥かにページ数が少ないので、短時間でこなすことができます。

紹介した教材を使うとした場合、高校1年生であれば「とってもやさしい」シリーズで復習し、高校2,3年生であれば『高校の数学I・Aが1冊でしっかりわかる本』と「とってもやさしい」シリーズを組み合わせて復習すると良いでしょう。

こんな人に向いています

  • 定期試験や大学受験のための基礎を固めて、成績を上げたい高校生へ。
  • 医療看護系入試、高卒認定試験などの対策で、短期間で数学1・Aを理解したい方へ。
  • 学び直しや頭の体操をしたい大人の方へ。

さいごに、もう一度まとめ

  • 多項式を見たら、項を把握する。
  • 特定の文字に着目するとき、その文字に下線を引く。
  • 次数(または指数)に応じて下線を引き分けると、同類項を見つけやすい。
  • 着目する文字だけに下線を引くと、その項の係数がはっきりする。
  • 数と同じ扱いをする文字は係数の一部なので、文字部分よりも前に移動する。