数と式|整式に関する問題を解いてみよう

今回は、単項式や多項式などの整式について学習した内容の確認です。
ほとんどが用語や定義についてでしたが、数学を学習する上で必要不可欠な知識です。既習内容を何度も確認し、きちんと定着させましょう。
知識が定着しているかの確認には、演習でアウトプットすることが効果的です。演習によって、知識の理解度も測れます。
「用語や公式を頑張って覚えたのに全く解けない」なんてことがないように、演習中心の学習スタイルを目指しましょう。
例題1:単項式の次数と係数
例題1
次の単項式の次数と係数を求めよ。
また、xについての単項式の次数と係数を求めよ。
例題1の解答・解説
注目する文字がない場合
注目する文字についての断りがない場合、単項式の次数は、掛け合わされている文字の個数です。
単項式を乗算の計算記号(×)を補った式に戻してみましょう。式の値を求める際には必要な作業なので、訓練しておきましょう。
例題1の解答例 1⃣
文字xが2個、文字yが1個、文字zが3個なので、この単項式の次数は6です。
訓練のために乗算の計算記号を補いましたが、文字の個数が多いと逆に分かり辛くなります。ですから、累乗の指数を利用できるようにしておきましょう。
例題1の解答例 1⃣の別解
文字の右肩に数字がないときの指数は1です。0と間違わないように気を付けましょう。
また、単項式の係数は、文字以外の数の部分、つまり文字の前にある正負の数です。与式から単項式の係数は5です。
- 単項式の次数:6
- 単項式の係数:5
特定の文字に着目する場合
次は文字xに着目して、単項式の次数と係数を考えます。このとき、文字y,zは数として扱います。
文字と数とを区別するために、単項式の中の文字を並べ替えます。文字xに着目したことが分かるように、文字xを後ろに移動させます。
例題1の解答例 2⃣
単項式の中にある数や文字の入れ替えができるのは、単項式が数や文字の積で表されるからです。数や文字が積で表されるとき、交換法則が成り立ちます。このことを利用して、数や文字の入れ替えをしています。
ここでは、係数にあたる部分を括弧でくくりました。括弧でくくったものは1つのカタマリとして扱えるので便利です。
xに着目したときの単項式の次数は、文字xの個数なので2となります。また、係数は文字xを除く部分なので、5yz3 となります。
- xについての単項式の次数:2
- xについての単項式の係数:5yz3
例題2:多項式の次数と定数項
{ a }^{ 2 }b-2a{ b }^{ 3 }+3
\end{equation*}
例題2の解答・解説
多項式を分解する
多項式は項と呼ばれる単項式の和で表される式でした。
単項式が複数あるので、多項式の次数を求めるには各項の次数をそれぞれ調べる必要があります。
{ a }^{ 2 }b \ / \ -2a{ b }^{ 3 } \ / \ +3
\end{equation*}
多項式の次数は、文字を含む項での最高次数でした。各項の次数を確認すると、以下のようになります。
- 1番目の項は、文字 $a$ が2個と文字 $b$ が1個なので、次数は3
- 2番目の項は、文字 $a$ が1個と文字 $b$ が3個なので、次数は4
- 3番目の項は、数だけなので、次数とは無関係の定数項
これより、この多項式の次数は4、定数項は3です。なお、定数項の+3について、+の符号は省略可能です。
特定の文字とそれ以外を区別する
次は文字 $a$ に着目したとき、多項式が何次式かを求めます。このとき、文字 $a$ 以外の文字 $b$ は数として扱います。
また、与式を文字 $a$ について降べきの順に並べます。このとき、各項ごとに交換法則を利用して入れ替え、文字と係数をはっきりさせます。
与式を文字 $a$ について整理すると以下のようになります。
&{ a }^{ 2 }b-2a{ b }^{ 3 }+3 \\[ 5pt ]
= \ &b{ a }^{ 2 }-2{ b }^{ 3 }a+3
\end{align*}
文字 $a$ に着目すると、最高次数は2です。これより、この多項式は $a$ についての2次式だと分かります。
例題2の答え $a$ についての2次式
例題3:整式の同類項
\begin{equation*}
3a{ b }^{ 2 }+4{ a }^{ 2 }b-{ a }^{ 2 }b+a{ b }^{ 2 }
\end{equation*}
例題3の解答・解説
同類項をまとめるには、多項式の中に項がいくつあるかを把握する必要があります。そのために符号の前にスラッシュを入れて、多項式を項に分解します。
3a{ b }^{ 2 } \ / \ +4{ a }^{ 2 }b \ / \ -{ a }^{ 2 }b \ / \ +a{ b }^{ 2 }
\end{equation*}
これより、与式は4つの項からなる多項式だと分かります。
同類項は、文字の種類や個数が等しい項のことで、各項の文字部分の見た目が同じになっています。
同類項を探すとき、下線を引くと区別しやくなります。
3\underline{a{ b }^{ 2 }} \ / \ +4\underline{\underline{{ a }^{ 2 }b}} \ / \ -\underline{\underline{{ a }^{ 2 }b}} \ / \ +\underline{a{ b }^{ 2 }}
\end{equation*}
文字部分の見た目が同じなのは、1,4番目の項、そして2,3番目の項です。同類項をまとめると、以下のようになります。
&3\underline{a{ b }^{ 2 }}+4\underline{\underline{{ a }^{ 2 }b}}-\underline{\underline{{ a }^{ 2 }b}}+\underline{a{ b }^{ 2 }} \\[ 5pt ]
= \ &\left( 3+1 \right) a{ b }^{ 2 }+\left( 4-1 \right) { a }^{ 2 }b \\[ 5pt ]
= \ &4a{ b }^{ 2 }+3{ a }^{ 2 }b
\end{align*}
なお、1行目で2,3番目の項をまとめるとき、$(4-1)$ となっています。これは差を求めているように見えますが、2つの数4と-1の和を求めているので注意しましょう。
例題4:降べきの順に整理する
\begin{equation*}
{ x }^{ 2 }+xy-2{ y }^{ 2 }+3x+2
\end{equation*}
例題4の解答・解説
例題3と同様に、符号の前にスラッシュを入れて、多項式を項に分解します。
{ x }^{ 2 } \ / \ +xy \ / \ -2{ y }^{ 2 } \ / \ +3x \ / \ +2
\end{equation*}
これより、与式が5つの項からなる多項式だと分かります。
下線を引くときのコツ
文字xについて整理する必要があるので、多項式を分解した後、各項の文字 $x$ に注目します。このとき、次数に応じて下線を引き分けると同類項を見つけやすくなります。
\underline{\underline{{ x }^{ 2 }}} \ / \ +\underline{x}y \ / \ -2{ y }^{ 2 } \ / \ +3\underline{x} \ / \ +2
\end{equation*}
下線を引くメリットは、次数の区別だけでなく、係数の区別にも役立ちます。自分なりに下線の引き方を工夫しましょう。
着目する文字とその他を区別する
\underline{\underline{{ x }^{ 2 }}} \ / \ +\underline{x}y \ / \ -2{ y }^{ 2 } \ / \ +3\underline{x} \ / \ +2
\end{equation*}
注目している文字 $x$ について、次数に応じた下線を引きました。これで同類項を見つけやすくなりました。
2,4番目の項が同類項なので、1つの項にまとめてしまいます。
なお、4番目の項には下線が引かれていないので、文字 $x$ が含まれていない項です。文字 $y$ は数として扱うので、この項は定数項として扱います。
着目した文字について降べきの順に並べる
同類項をまとめた後は、項を降べきの順に並べ替えます。文字 $x$ について次数の高い項から順に並べます。
並べ替えるときは、次数に応じて引いた下線を参考にしましょう。
- 二重下線を引いた項(2次の項)
- 下線を引いた項(1次の項)
- 下線なしの項(定数項)
の順に並べていけば、降べきの順に並びます。このような手順で多項式を整理すると、以下のようになります。
&\underline{\underline{{ x }^{ 2 }}} \ / \ +\underline{x}y \ / \ -2{ y }^{ 2 } \ / \ +3\underline{x} \ / \ +2 \\[ 5pt ]
= \ &{ x }^{ 2 }+\left( y+3 \right) x+\left( -2{ y }^{ 2 }+2 \right)
\end{align*}
なお、文字 $x$ の1次の項において、$(y+3)$ は係数なので文字 $x$ の前に書きます。また、定数項はカッコでくくることで、どの部分が定数項かがはっきりします。
さいごに、もう一度まとめ
- 多項式を見たら、項を把握する。
- 特定の文字に着目するとき、その文字に下線を引く。
- 下線を引くとき、次数に応じて引き分けると、同類項を見つけやすい。
- 着目する文字だけに下線を引くと、その項の係数がはっきりする。
- 数と同じ扱いをする文字は係数の一部なので、文字部分よりも前に移動する。