図形と方程式|直線に関して対称な点について
直線に関して対称な点を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
直線ℓ:$y=2x$ に関して、点 $P \ (3 \ , \ 1)$ と対称な点 $Q$ の座標を求めよ。
問の解答・解説
与えられた直線の方程式や点の座標が例題と変わっているだけです。例題と同じ方針で取り組みましょう。
作図は以下の通りです。
点Qの座標を求めるので、座標を定義しておきます。点Qの座標を定義した後は、2直線の傾きをそれぞれ求めます。
問の解答例 1⃣
点 $Q$ の座標を $(a \ , \ b)$ とする。
直線ℓの傾きは、与式から $2$
ここで、直線 $PQ$ は $x$ 軸に垂直でないので
\begin{align*} \quad a \neq 3 \end{align*}よって、直線 $PQ$ の傾きは
\begin{align*} \quad \frac{b-1}{a-3} \end{align*}直線PQがx軸に垂直でないことを断っておきましょう。減点されない記述を心掛けましょう。
直線PQは直線ℓに垂直です。2直線の垂直条件を利用して、a,bについての方程式を導きます。
問の解答例 2⃣
\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad \frac{b-1}{a-3} \end{align*}直線 $PQ$ が直線ℓに垂直であるので
\begin{align*} \quad 2 \cdot \frac{b-1}{a-3}=-1 \end{align*}これを整理すると
\begin{align*} \quad a+2b-5=0 \quad \cdots \text{①} \end{align*}2つ目の方程式を導くために、線分PQの中点の座標を求めます。線分PQの両端にある2点P,Qの座標を利用します。
問の解答例 3⃣
\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad a+2b-5=0 \quad \cdots \text{①} \end{align*}また、線分PQの中点の座標は
\begin{align*} \quad \left( \frac{a+3}{2} \ , \ \frac{b+1}{2} \right) \end{align*}であり、これが直線ℓ上にあるので、直線ℓの方程式に代入すると
\begin{align*} \quad \frac{b+1}{2}=2 \cdot \frac{a+3}{2} \end{align*}これを整理すると
\begin{align*} \quad 2a-b+5=0 \quad \cdots \text{②} \end{align*}中点が直線ℓ上にあることを利用して、中点の座標を直線ℓの方程式に代入します。これでa,bについての方程式を導くことができます。
a,bについての方程式を2つ得ることができたので、連立方程式を解きます。
問の解答例 4⃣
\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad a+2b-5=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad 2a-b+5=0 \quad \cdots \text{②} \end{align*}①,②を連立させて解くと、①+②×2より
\begin{align*} \quad a=-1 \end{align*}これと①より
\begin{align*} \quad b=3 \end{align*}したがって、点 $Q$ の座標は
\begin{align*} \quad Q \ (-1 \ , \ 3) \end{align*}点Qのx座標aとy座標bを求める必要があります。未知のもの(a,b)が2つなので、これを求めるためには方程式が2つ必要です。
問の別解例
作図が丁寧だと、かなりの精度で求めたい座標が分かることがあります。
直線ℓの傾きは与式から2です。直線PQが直線ℓに垂直であることから、直線PQの傾きは-1/2であると分かります。
直線PQ上の点で、直線ℓに近い点を調べます。直線PQの傾きを利用すると、点(1,2)が得られます。
点Pと点(1,2)で傾きを求めてみると、直線PQの傾きと一致します。ですから、点(1,2)は直線PQ上の点です。
また、直線ℓの方程式に点(1,2)を代入すると等式が成り立つので、直線ℓ上の点でもあります。
このことから、点(1,2)は2直線ℓ,PQの交点であることが分かります。
直交する2直線ℓ,PQの交点は、線対称な2点P,Qを結んだ線分の中点となることが分かっています。ですから、点(1,2)は線分PQの中点です。
線分PQの中点の座標が分かれば、あとは簡単です。2点P,Qは対応する点です。上図のように合同な直角三角形を利用して、点Qの座標を図形的に求めることができます。点Qは、点Pから左に4、下に2だけ移動した点となります。
もちろん、中点の座標が整数でないこともあるので、この解法が上手くいくとは限りません。ただ、作図したからこそ気付けたことです。
このように取り組み方次第で、それほど労力を掛けずに解ける問題があることは知っておいて損はありません。
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さいごにもう一度まとめ
- 直線ℓに関して2点P,Qが対称であるとき、直線ℓは線分PQの垂直二等分線である。
- 直線ℓに関して2点P,Qが対称であるとき、直線PQは直線ℓに垂直。
- 直線ℓに関して2点P,Qが対称であるとき、垂直条件を利用しよう。
- 直線ℓに関して2点P,Qが対称であるとき、線分PQの中点が直線ℓ上にある。
- 直線ℓに関して2点P,Qが対称であるとき、線分PQの中点を直線ℓの方程式に代入しても良い。