図形と方程式|三角形の面積について
三角形の面積を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
次の $3$ 点
\begin{align*} \quad A(-4 \ , \ 3) \ , \ B(-1 \ , \ 2) \ , \ C(3 \ , \ -1) \end{align*}について、次のものを求めよ。
$(1) \quad$ 点 $A$ と直線 $BC$ の距離
$(2) \quad$ $\triangle ABC$ の面積
問(1)の解答・解説
問(1)
次の $3$ 点
\begin{align*} \quad A(-4 \ , \ 3) \ , \ B(-1 \ , \ 2) \ , \ C(3 \ , \ -1) \end{align*}について、次のものを求めよ。
点 $A$ と直線 $BC$ の距離
例題と問を比較してみましょう。問では、例題(1),(2)が省略されています。
入試レベルになると、必要な作業があるにも関わらず、その作業を省略したような問題が出題されます。小問どうしの関係をしっかりと把握しておきましょう。
点Aと直線BCの距離を求めるには、直線BCの方程式が必要でした。2点を通る直線の方程式に代入して、直線BCの方程式を求めます。
問(1)の解答例 1⃣
直線 $BC$ は $2$ 点
\begin{align*} \quad B(-1 \ , \ 2) \ , \ C(3 \ , \ -1) \end{align*}を通るので
\begin{align*} &\quad \left(-1-2 \right)\left\{x-\left(-1 \right) \right\}-\left\{ 3-\left(-1 \right) \right\}\left(y-2 \right)=0 \\[ 7pt ] &\quad -3\left(x+1 \right)-4\left(y-2 \right)=0 \end{align*}よって
\begin{align*} \quad 3x+4y-5=0 \end{align*}図に直線の方程式を追記しておきましょう。
点Aと直線BCの距離を求めます。点と直線の距離の式に代入します。
問(1)の解答例 2⃣
\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad 3x+4y-5=0 \end{align*}点 $A$ と直線 $BC$ の距離を $d$ とすると
\begin{align*} \quad d &= \frac{| 3 \cdot (-4)+4 \cdot 3-5 |}{\sqrt{ 3^{2}+4^{2}} } \\[ 7pt ] &= \frac{| -5 |}{\sqrt{9+16}} \end{align*}よって
\begin{align*} \quad d=\frac{5}{5}=1 \end{align*}これは点 $A$ から $BC$ に下した垂線の長さに等しい。
問(2)の解答・解説
問(2)
次の $3$ 点
\begin{align*} \quad A(-4 \ , \ 3) \ , \ B(-1 \ , \ 2) \ , \ C(3 \ , \ -1) \end{align*}について、次のものを求めよ。
$\triangle ABC$ の面積
三角形の面積を底辺の長さと高さを用いて求めるのであれば、問(1)を解いただけでは足りません。底辺の長さを求めていないからです。
2点間の距離の式に代入して、底辺である線分BCの長さを求めます。
問(2)の解答例 1⃣
線分 $BC$ の長さは $2$ 点
\begin{align*} \quad B(-1 \ , \ 2) \ , \ C(3 \ , \ -1) \end{align*}間の距離に等しいので
\begin{align*} \quad BC &= \sqrt{\left\{ 3-(-1) \right\}^{2}+\left(-1-2 \right)^{2}} \\[ 7pt ] &= \sqrt{16+9} \end{align*}$BC \gt 0$ より
\begin{align*} \quad BC=5 \end{align*}△ABCの底辺の長さ、高さが分かったので、面積を求めます。
問(2)の解答例 2⃣
\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad BC=5 \end{align*}$\triangle {ABC}$ の面積は
\begin{align*} \quad \triangle ABC &= \frac{1}{2} \cdot BC \cdot d \\[ 7pt ] &= \frac{1}{2} \cdot 5 \cdot 1 \end{align*}よって
\begin{align*} \quad \triangle ABC=\frac{5}{2} \end{align*}問(2)の別解例
問(1)を無視して、問(2)を単独で解くこともできます。
点Aが原点に重なるように平行移動させると、2点B,Cはそれぞれx軸方向に4、y軸方向に-3だけ平行移動します。
平行移動後の2点B’,C’の座標を用いて、三角形の面積を求めます。
問(2)の別解例
点 $A(-4 \ , \ 3)$ が原点 $O(0 \ , \ 0)$ に重なるように$\triangle {ABC}$ を平行移動させると
\begin{align*} \quad (-1+4 \ , \ 2-3) \ , \ (3+4 \ , \ -1-3) \end{align*}より、$2$ 点 $B \ , \ C$ はそれぞれ
\begin{align*} \quad B'(3 \ , \ -1) \ , \ C'(7 \ , \ -4) \end{align*}に平行移動する。
このとき
\begin{align*} \quad \triangle ABC=\triangle OB’C’ \end{align*}であるので、$\triangle ABC$ の面積は
\begin{align*} \quad \triangle ABC &= \frac{1}{2}| 3 \cdot (-4)-7 \cdot (-1)| \\[ 7pt ] &= \frac{1}{2} \cdot 5 \end{align*}よって
\begin{align*} \quad \triangle ABC=\frac{5}{2} \end{align*}頂点の座標を用いた三角形の面積の式は、かなり便利な式です。時間短縮だけでなく、検算にも使えるので、ぜひともマスターしておきたい式です。
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さいごにもう一度まとめ
- 底辺の長さを求めるときには、2点間の距離を利用しよう。
- 三角形の高さを求めるときには、点と直線の距離を利用しよう。
- 頂点の1つが原点であれば、残りの2点の座標で三角形の面積が決まる。
- 頂点がどれも原点にないときは、三角形を平行移動しよう。